コンソール七変化~Ryota Kuwakuboの世界

    super_looper

    (“デューパールーパー”(Kuwakubo, 2003)

     

    ドラムマシンのデューパールーパーから、アニメーションをRCAプラグに統合するビデオバルブまで、ポータブル端末のユビキタスな世界を創出する日本人アーティストRyota Kuwakuboにギズモード本家がインタビュー。

    Ryota Kuwakubo (35):筑波大学大学院修士課程デザイン研究科修了、国際情報科学アカデミー[IAMAS]アート・アンド・ラボ科卒。“SIGGRAPH” (2002年、ロス)、 Ars Electronica (2002年、オーストリア、リンツ)、東京ガジェット(2003年、東京)、 Ars Electronica (2003年、オーストリア、リンツ)、 文化庁メディア芸術祭(2004年)、 Rock The Future (2005年、英リバプール)、Slow Life:John Hansard Gallery (2006年、英ロンドン)。

    公式ウェブサイト

     GIZMODO:デューパールーパーでは何を表現したかったのでしょうか?

    RK:月刊誌に電子玩具の作り方を連載していたときに紹介したものの一つがコレ。記事はhttp://www.vector-scan.com/workshop/TTL/09/http://www.vector-scan.com/workshop/TTL/10/にありますが、英訳したい方がいたら大歓迎です。メカ二ズムは単純なフィードバック・システムで、音を出すトリガーとセンサー、音を遅らせるメモリで構成されています。誰でも一目で分かるシンプルなものですね。

     

    PLX

    (“PLX”(Kuwakubo, 2001)

     

    GIZMODO:ディスプレイをはさんで2人のプレイヤーが別々にプレイするんだけども動いてるアイコンは同じ、というのがこの“PLX”ですね。片方がハートを射るキューピット、でも反対側は宇宙船を射るプレイヤー、みたいな。このジュクスタポジションを選んだ経緯は? コンソールのデザインでプレイヤー間に生じるテンションは何故重要と考えるのか? という辺りですけど。

    RK:PLXの基本モチーフはミス・コミュニケーションです。 例えば普段の会話でも知らぬ間に互いにすれ違うことって、ありますよね? それでも長い時間、会話は成り立ってしまう。 あと、褒めるつもりで言ったことが逆に相手を傷つけちゃったり。PLX はそういった状況をシミュレートしています。あと一つの隠されたモチーフはもっとオタッキーで、ずっと昔バンダイの潜水艦ゲームLSIを解体したことがあって、 その時このゲームを戦車の戦闘ゲームとしてコンフィギュアする別の接続オプションがPCBにあったんですね。で、これを見て、バイナリーの世界では別々のものも似たように表現されることに気づいた。コンソールのデザインに関しては、最近はアーケードに行くとみんな(僕自身ゲームはあまりやらないんだけども)背筋をピンと伸ばしてスクリーンと真剣に向き合っていて互いのことなんか目もくれないんですよ(なんだか役人みたいに)。それが悪いと思ってるわけでは全くないんですけど。あとPLXではゲームや仕事にまつわる偶然性を表現しています。全然話は変わるんですけど80年代のはじめにはスペースインベーダーが出てビデオゲームが喫茶店に置かれていたもんです。そんな古いスタイルが僕は好きなんですよ。コンソールでありながら同時にそれがテーブルにもなりコーヒーも味わえる、という。

     

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    (“ビットマン”(Kuwakubo, 2001)

     

    GIZMODO:このビットマンは本体自身の動きに応じて小さなLEDのフィギュアをディスプレイに表示するシンプルな端末。振れば振るほどフィギュアは激しくダンスして興奮する…最初に意図したのは何? 商品化されて一般の受け止め方はどう変わった?

     

    RK:プロトタイプというのは製品バージョンのようには機能しませんし、これは単なる8×8のLEDサインボードです。自分が電子で最初に手がけた作品ですね。最初はこれをビットマンにしようなんて特に考えていなかった。ただ自分の電子スキルを生かして何か面白いものを作ってやろうじゃないか、ということだけでしたね。ビットマンでコラボした明和電気さんが製品バージョンを作ろうと企画した時、まず考えたのは皆を巻き込めるものにしたいな、ということ。ボタンの代わりに傾きセンサーを採用したのもそのためです。ライブのアニメーションをわずか8×8ピクセルという中で生成することにも興味がありました。なもんだから、アニメーション・エディターを最初に作ってしまった。

     

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    (“ループスケープ”(Kuwakubo, 2003)

     

    GIZMODO:このループスケープは、2人のプレイヤーが360度の円形スクリーンで宇宙船を追いかけながら行うアクションゲームですね。既存ゲームのインタラクションの効果をどう高めたかったんでしょうか?

     

    RK:最初に意図したのは終わりの無い世界をつくることです。“Lifegame”も“Defender”もやってることなのでバーチャル分野では珍しくないアイディアですけど、実際フィジカルにそんな世界が存在したらどうなるか、と思ったんですね。で、ちょうど秋葉原でカーブしたLEDのマトリックスが安く売ってたので作ってみました。このゲームには2つの効果があります。

    (1)フィジカルなインタラクション…自分が制御する戦士を追い掛け回さなきゃならない。バーチャル世界がフィジカルな世界に影響を及ぼし、その逆もアリなので、肩と肩を小突き合わせて戦ってるプレイヤーもいたりしますね。

    (2)戦略…無闇に弾を撃ち過ぎると自分自身を撃ってしまうんです。これが非常に面白いところ。因果がループになっている。

     

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    (“HeavenSeed”(Kuwakubo, 2003)

     

    GIZMODO:この“Heaven Seed”はプラスティック製ボールで埋め込みセンサーが本体自体の動きを監視し、そのデータをワイヤレスでコンピュータに送信したら、コンピュータがその動きをベースに音声を生成する、という作品。 企画意図は?

     

    RK:僕が作りたかったのはボタンやパッドのないデジタル玩具ですね。昔ながらの玩具や自然物のような。何かにウィジェットがついていると人間はそれで何かをやらなきゃならなかったり、何かすることができたりしますが、そこにはいちいち目的が存在します。これが単なるボールを手にした時には目的はそれほど明確ではないから無意識のうちに物体をいじってみたりしちゃうんですよね。僕はここからファンタジーが始まるんだと考えています。物と人の関係性を高めるオブジェクトをイメージしてみました。

     

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    (“ビデオバルブ”(Kuwakubo, 2000)

     

    GIZMODO:“ビデオバルブ”はどんなRCA入力端子にもプラグを挿し込んでビットマンのキャラのアニメーションを生成できる作品ですが、どうこのコンセプトに辿り着いたのでしょう?

     

    RK:アニメーション企画のビットハイクを手がけたとき、アニメーションを内臓して再生できる端末が欲しいな、と思ったのが始まりです。

    GIZMODO:現在はどんなプロジェクトを手がけていますか? 過去作品とどう違う?

    RK:これまで僕の作品はイノベートするためではなく、イノベーションの世界を観察するために作ったものでした。僕が常に気になるのは、新たな技術の登場によって人の行動がどう変わるか(いつも例として挙げるのは携帯電話がもたらした変化です。自分たちの暮らしがどう変わり、自分たちのプライベートな空間をパブリックな場に持ち出すことでどれだけ興奮したか、満員電車で大声で話す人をどんな風に見ているのか)隠れたイマジネーションを呼び覚ます何か、それを作り出していきたいですね。

    (編訳/satomi)