ピタゴラそうちのような時計「L'Anchrone」とマルセル君(動画)

ピタゴラそうちのような時計「L「なんて不器用な子なんだ」

先生もサジを投げる落第生だった、フランスのシオンに住むマルセル・ベトリゼイ(Marcel Betrisey)君が、ガラクタの山で見つけた部品を甦生して、18カ月かけて組み立てた逸品の時計「L'Anchrone」です。

落ちる玉の重み。

それだけを頼りに振り子が時を刻みます。

マルセル君は、6段階評価の2.6という最低の成績で学校を退学になった人。今で言う非適応児ですね。居場所を失い、リュックひとつ担いで世界4大陸67カ国2万5000マイルをヒッチハイクして回ります。徒歩750マイル、自転車1800マイル、テントなし野宿300夜という長い長い放浪の旅です。

途中マラリアにかかったりしてホウホウの体で帰郷。電気通信会社で2年働いた後、電気修理のお店を出し、独立します。壊れたCDやDVDプレーヤーを直すのは楽しい仕事だったけど、何年か使うと壊れるよう予め設計されていることが、長持ちするものが好きなマルセル君には、どうしても耐えられません

「自分が生きている間に実をつける姿が見届けられないことが分かっている木の種を、慈しんで植えるおじいちゃんの姿」が憧れだったというマルセル君は、やがて中古のがらくたの山を掻き回して部品を何カ月もかけて甦生し、時計を組み上げる仕事に没頭していきます。

 

 

これが2001年12月の初展示で大反響を呼んで今に至る、というわけですね。

いや~、この経歴があまりに面白くて、つい読みふけってしまいましたよ。何事もすんなり適応する器用な人には、一つの部品に数カ月かけるような執念、ないですからねえ。

動画の時計は何度もデザインを練り直し、行き詰ると1894年出版の物理の古書を引っ張り出してきて原理を確かめながらアイディアを積み上げていったそうです。

使ったパーツ1600個、玉軸受け95個、全重量300kg。「ピラゴラそうち」のようなカラクリ仕掛けを英語で「ルーブ・ゴールドバーグ・マシン(Rube Goldberg machine)」と呼びますけど、まさにルーブ・ゴールドバーグの世界を極めた芸術品と言えましょう(音が駅前パチンコですけど…)。

目下、時計づくりに夢中なマルセル君。

車はドアが壊れっ放しで4年間も窓から出入りしていたそうです。 (satomi)

L'Anchrone [Betrisey.ch, via Hacked Gadgets]