アグリーなイオンでできた月面望遠鏡の液状ミラー

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ずっと実現が不可能とされた「月面液体望遠鏡(Lunar Liquid Mirror)」に使う液状ミラーです。

imidazolium ethylsulphateという粘着性の高い塩混合液」表面に、赤外線を反射する銀のナノ粒子をデポジット。従来分析可能な赤外線光の千倍暗い光も感知できるようにしました。何千倍ってすごいですねー。

液状ミラーと言えば今普及しているのは、メタル水銀のものです。面が重力場を一定速度で回転すると、これが望遠鏡のフォーカスに最適なパラボラに。グランドガラスの鏡より100倍安く作れて、直径最大6mまで大きくできるので天文望遠鏡に世界中で採用されてます。

ただ月面となると話は別。月面温度は-147℃まで下がるんですが、水銀の氷点は-38℃。すぐ凍ってしまうのです。英クィーンズ大学の化学の専門家Ken Seddon氏に言わせると、どのみち「水銀の密度は高く、月面で十分量確保するには重すぎる」らしいんですけどね。あと水銀の毒性は技師にも危険だし。

そこでケベックのラヴァル大学のErmanno Borra氏率いるチームが開発したのが、上の写真にあるような、水銀に頼らない月面液状ミラーというわけです。Seddon氏が「アグリー(ugly)」と愛情込めて呼ぶ、大型で扱いにくいイオンを採用。従来より軽く氷点なんと-98℃です。これをさらに50℃下げて「赤外線反射を改善」してから、NASAとカナダ宇宙庁(CSA)に披露したいとSeddon氏。

液体鏡と言ってもバケツに入れてモーターで回すとかじゃなく、超伝導磁気を活用するみたいですけど。ちなみにNASAとCSAは2018年までに月の極の片方に月面液体望遠鏡の設置を目指していま~す。  – Jesus Diaz (原文/翻訳:satomi)

Liquid mirror could be used for Moon-based telescope [New Scientist]

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