グーグルの新モバイルプラットフォーム「Android(アンドロイド)」を読み解く

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グーグルフォン(俗称gPhone)の新オープンプラットフォーム「Android(アンドロイド)」が発表になりましたね。Android実現を推進する通信事業者&メーカー計34社の同盟「オープンハンドセットアライアンス(OHA)」のイニシアチブとあわせてこの月曜(米時間)、記者発表がありました。

キャリア選べないのにウンザリ気味の人には風穴ですね。いろいろ考察を深めてみると、gPhone/AndroidはiPhoneより幸先がいいのでは? という気さえしてしまいます。少しギズモ的に注目したいポイントを並べてみましょう。

 

まず、最初にこの同盟に乗ったのが米国内キャリアではT-Mobileスプリントだったこと。両社とも大手ですが、人気と加入数では米トップの携帯通信キャリアAT&Tやベライゾンには敵いませんからね。T-Mobileは加入数2600万人の赤ちゃんです(世界規模で見るとその利用者数は1億900万人ですが)。スプリントは加入数こそ5400万人と健闘してますが業績不振は公の知るところ。どちらも業界大手に戦いを挑むには、最大手グーグルにしがみつくほかないのでしょう。

両社が乗るあと一つの理由はHTCですね(gPhone製造委託先)。 HTCは両社と関係がとても良好です。最新モデルの中でも選り抜きのクールな製品を独占契約で出しています(T-MobileのShadow、SprintのTouch)。ベライゾンとAT&TもHTCの提携先ですが、Android対応フォンの製品開発を考えた場合、HTCが小さい通信キャリア2社を好むことは想像に難くありません。

それにしてもクアルコムがOHAに深く関わっているのにはほんとビックリでしたね。クアルコムと言えばベライゾンと提携関係も緊密なら、米国内でクローズドなアプリ&サービス配信環境の構築を手がける大手のひとつ。クローズドなJavaに相当するBrewも、クアルコムが生んだベイビーですから(Brewは開発は簡単ですが制約もついてきます)。

壁を張り巡らした庭で造園を手がけるプロでさえオープンな野外に出たがってる、ということのあらわれでしょうか。僕はそうであって欲しいです。クアルコムがいればベライゾン版Androidフォンも遠くないだろうし。

続きは以下で。

 

ベライゾンに今日話を聞いたら「弊社ももっとオープンなモバイルアプリの開発に向け取り組んでいる、目指すところは同じですよ」ということでした。グーグル側から競争を仕掛けたこの動きを眺めていると、イノベーションは「法律や規制」を待つ必要もなく訪れることがわかります。望みはあるような。

今回の発表はスプリントやT-Mobile使ってない人にとっても朗報でしょう。グーグルは「OHAは誰にでもオープン」であることを明言しました。提携電話会社の不在(AT&Tとベライゾン)イコール除外であってはならないと。

スプリントとT-Mobileは GSM/HSDPAサイドとCDMA/EV-DOの両方に同等の開発時間をかけなくてはなりません。T-Mobile はHSDPA(3G)ネットワークの方は来年にもAndroid対応のスマートフォンが作れる準備が整うだろう、と約束しました。

ちなみにHTCが製造する携帯端末(OHAにはモトローラ、LG電子、サムスンも加盟しています)は米大手キャリア4社全てで使えるようです。端末に人気が出たら大手も加わるだろうというTreoやBlackBerryのシナリオですね。TreoやBlackBerryがデビューした当時はまだ市場にはCDMA対応版がなかったので、スプリントとベライゾンの加入者は散々な目に遭って、満足のいくものが出るまで開発に何年もかかりましたが、Androidはそういう心配はないようです。

iPhoneは違います。iPhoneはGSM/EDGEオンリーで、米国内最大手のGSMキャリアと独占契約で開発された製品。アップルは肯定も否定もしていませんが、巷では独占契約の期限は5年とも噂されています。前例のないニーズがありながら下手するとみんなの手の届かないところにロックされたままになる可能性もあるということです。

ロックと言えば、最初出るスプリント版AndroidフォンにはCDMA携帯のようなSIMカードがついてません。HTCに聞いた話では、Androidをベースとする携帯電話はロック解除の状態で直接顧客に販売するようです。つまりAT&T加入者も出たらすぐ買って試すことができそうですね。

グーグルとアップルはアプローチも違います。グーグルはオープンプラットフォームを作って、ソフトやハードの販売から利益を出そうとしているのではなく、携帯利用者の大きな群れをつくり、そこに出す広告から利益を出そうとしているのです。だからグーグルはデザインも他人任せだし、完成度にもそれほどこだわらない。

グーグルのボス、エリック・シュミットCEOはインディーの開発を取り締まるのは自分たちの流儀ではない、と僕らに語ってくれました。その声の調子から察するに、サードパーティーの開発には非介入のポリシーにするよう通信事業者に働きかけるんじゃないかと思いますね。

きっとグーグルがキャリアに言いたいのは、客はもう立派な大人だということでしょう。ウィルス、マルウェア(不正ソフト)、容量食いなジャンクにまみれたパソコンでも何年だって使ってる。携帯電話でソフトが使える別の世界をもうひとつ作ってやったらいいじゃないか、リスクは分かりきったことだし、と。このグーグルの動きでアップルにプレッシャーがかかってSDK公開が早まるなら、iPhoneオーナーにとっても悪い話じゃありません。

もっと大きな疑問は「何故Symbian、Palm OS、Windows Mobileで失敗に終わったことが、Androidで成功するの?」という部分でしょう。

グーグルには体力、オープン宣言、PCで使い慣れた機能をAndroid携帯に取り込める能力、さらに失敗したスマートフォンと同じ間違いを繰り返さぬよう、協力者たちの巨大なシンクタンクもあります。

豪奢を極めたガジェットと契約義務…通信事業者が競うあまり統率力を失った最も有名な事例が、iPhoneです。まあ、…そうは言ってもAndroidだってメインストリームには相手にされなくて、Linuxの歴史の片隅で終わってしまう可能性だってあるわけですけれど…さて?

(訳注 : 日本からはNTTドコモとKDDI、アプリックスが参加表明しましたね)

 

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WILSON ROTHMAN(原文/翻訳:satomi)

 

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