スチームパンクの異才Rich Nagy単独インタビュー

071124Datamancer.JPG

 

ビクトリアンな時代から抜け出たような彼はリック・ナギー(Rich Nagy)、「Datamancer」というサイトの中の人で、スチームパンクなモノづくりにかけては、いまやトップのクリエイターです。

僕の大好きなスチームパンクなラップトップ、スキャナー「Opti-Transcripticonscanner」はじめ、デスクトップ「Nagy Magical-Movable-Type Pixello-Dynamotronic Computational Engine」なんて「こんな狂ってるモッド、見たことないぞ」という秀作でした。

先日「WSJ」のサイトにインタビュー動画(下)も掲載され、ますます注目株な彼。

 

(via MAKE Japan)

 

今をときめくリックさんにギズモは早速インタビューを断行、次なるプロジェクト「Tesla Cane」もスニークピークさせてもらいましたよ? 

全文写真ギャラリーは、以下にてどうぞ。

  

071124Datamancer2.JPG
Gizmodo(以下、G) : スチームパンクなものを作り始めたのはいつ頃でしょう? 最初のプロジェクトは何でした? 当時と今で、どう違います?

Datamancer(以下、D) : 最初にやった「スチームパンク」なモッドは「The Nagy Magical-Movable-Type Pixello-Dynamotronic Computational Engine」(デスクトップ)ですね。数年前ケースをちょっと改造してみたんです(改造したのはパソコンのケースだけ)けど、年々大掛かりになってきて今に至るというわけです。

ここ2年かそこらは改造もデザインも腕が一番上達した時期だと思います。かつての作品を振り返ると粗が見えて、ちょっと恥ずかしいですね。僕は昔からなんでも目につくものは半ば無意識にカスタマイズしてしまう性質(たち)でしたが、何かカスタムの改造向けにスキルを「調律」したのは最近になってからです。スチームパンクの「モッド作り」のサブムーブメントには本当にインスパイアされました。僕をずっと高いところまで引き上げてくれた。ずっと没頭してかかり切りなところを見ると、天職なのかもしれません。

G : プロジェクト実現の上で一番のインスピレーションの源は?

D : 初期の影響はたぶん、テリー・ギリアム監督映画『未来世紀ブラジル』、ブルース・スターリングとウイリアム・ギブスンの小説 『ディファレンス・エンジン (The Difference Engine)』です。「スチームパンク」という言葉を最初に聞いたのがいつだったかは忘れてしまいましたけど、その当時はグーグルで検索しても10件程度しかヒットしなかったのは覚えています。ティーンになって最初の頃に覚えたロールプレーイングゲームが同じ名前だったと思います。

最近はアンティークのお店をぶらついて、昔のモノがどんな風に作られていたか見て回るのがとても楽しいですね。昔はモノが長もちするように作られていた。小さな工夫や装飾要素は目につくとメモに書き留めておいて、一緒にするとどうなるか後で試してみるんです(店の主人がびっくりすることもあります)。

G : なるほどね。

D : 最近はBrass Gogglesのブログとフォーラムにだいぶインスパイアされてますね。気の合うクリエイティブな仲間が集まる小さなコミュニティで、スチームパンク関係のクールな掘り出し物を共有して、作品を見せ合うんです。Aetheremporiumにあるスチームパンク関連のすばらしいリンク集をクリックして回ったり、専門誌の『Steampunk Magazine』をめくったり。

何よりも仲間が作ったものを見るのが最高です。例えばJake von SlattCrab-fuJake Hildebrandt (Jake of All Trades)AlexCFProfessor Fzzなどなど(多過ぎて挙げ切れない!)。みんな互いにインスピレーションを与え合ってレベルを一緒に高め合える仲間ですね。

G : プロジェクトは大体、完成までどれぐらいかかりますか?

D : プロジェクトによりますね。完成を待ってる人がいるかどうかにも左右されます。これまでは7件ぐらい同時進行のプロジェクトを抱えていましたね。部品調達が遅れると次の仕事に飛びついて、また別の仕事のアイディアが浮かべば、そっちに飛んで最初の仕事に戻ったり行ったりきたりですよ。プロジェクトごとにタイムラインは自ずから決まってくる、という感じですね。

今は締め切りのある依頼の仕事なので、もっと集中して時間の管理も効率的に行うよう心がけてます。仕事はどれも非常に細かくなってきています。どうしても完成までに時間はかかりますね。キーボードはメタルフレームの切断、やすりがけ、紙やすり磨き、手磨き、材料探しが全部終わってから、タイプライター専用キー105個の調整・改造、スペースバー作り、フェースプレート切断、組み立てなどなどなどなど。…かれこれ完成までに1カ月ぐらいかかりました。

 

071124Datamancer3.JPG
G : どんな工具をお使いですか?

D :  ドリルプレス、ベルトディスクサンダー、バンドソーは必須。あとは「Leatherman and Dremel」の素晴らしいスタッフが作ってくれる丈夫で頼りになる安価なツールが無かったら大変です(はいはい…スポンサー? です)。旋盤とか切削機のような「スペシャルティ」な改造ツールは持ってませんね(高くて手が届かない)。

大体の作業は普通のお店で手に入るようなツールで行って、普通じゃないことする必要性に駆られたら自分でカスタムのジグやスペーサー、マウントを作ります。 そんな時は古めのツール使う方が良いですね。古いツールというのはまるでモッドされるために作られたようなところがあるんです。必ず小さなマウント、タブ、あるいは取り外しできるフェイスプレートがついているので、妙なカスタムの仕掛けやガイドアセンブリもボルトでくっつけたりできます。

クールなもの作るのにファンシーな店なんか必要ないんですよ。僕も大体の仕事は地下にある古いコーヒーテーブルか、1台収容ガレージの後ろに置いた自家製ベンチで済ませてます。

G : 楽曲プレーヤーみたいなポータブルなスチームパンクを作ってみたいと思ったことは?  あれぐらい小さいと何が大変?

D :  昔の懐中時計からスチームパンクなiPod作ろうかと思って図案は引いてます。 ヘッドフォン専用ワイヤは金鎖に通して、ね。ジーンズの懐中時計用ポケット(そうです、あれは元々懐中時計のためにあるんです)に入れて持ち歩きたい人は上着の折り襟やベルトのループに付けられるようにしたり。

当然、コンピュータやなんかの大モノやるよりちっちゃな端末は手間がかかりますね。虫めがねみたいな中に全部詰まってて、ケーブルもコネクターも小さい。でも不可能ではないです。デザインの見地から言うと、携帯、PDA、MP3プレーヤーは端末の使い易さを損なわず修正は難しいもの。モッドでは常にフォルムと機能性のバランスが課題ですが、ポータブル端末は殊にそれが難しいですね。

G : 次のプロジェクトは?

D : 世界制覇後に軽い昼食…というのは冗談で、とりあえず差し迫った課題はまともなワークショップを立ち上げることですね。それが済んだら、もっとクールなもの、例えばパソコンの全一式なんてやりたいです。モニター、ケース、マウス、スキャナー、プリンターなど全部統一して作りたい。

大型のhot rodの組み立て、カスタムのモーターバイクも考えてます。自分のアートワークを駆使して理に叶ったエンジニアの仕事を極める中から自分なりにハードサイエンスの道にも入っていけたらなあ、と思いますね。 パイロット免許とって、15-17世紀ごろのスペインの大帆船様式のクレイジーな飛行船、操縦したいです。

 

スチームパンクの異才Rich Nagy単独インタビュー 1

スチームパンクの異才Rich Nagy単独インタビュー 2

スチームパンクの異才Rich Nagy単独インタビュー 3

スチームパンクの異才Rich Nagy単独インタビュー 4

 

暇があるといじってるのが、「The Tesla Cane(ザ・テスラ・ケイン)」(仮称)という作品です。最近スチームパンクの技師がみんなやってんのがこの杖(ケイン)ですね。ジェダイのライトセーバじゃないですけど、みんなで冗談で「Steampunk Signature Cane」と呼んでるの見て、僕もやってみようと思ったんです。

黒の剣の杖から始めました。中が空洞ですから、短くカットして、ブレードのこぶを使って長く薄い電源パックを固定しました。これが中にスライドして入って、トップにある3インチの小型プラズマの球体を照らします。電源サプライは半分にカットして杖の頭に入るよう薄型にしました。球体は、防弾の産業用照明設備の保護ケージのようなスチール製のケージに収容。高い電圧がテーマなので、80万ボルトのスタンガン(stun baton)を杖の底に入れ、先がスライドしてゴム製の杖のフットの先まで伸びるようにし、使用後は引っ込むようにします。

 

リックさん、今日は取材にお答えいただき、Tesla Caneまで見せてくれて本当にありがとうございました!

 

[Datamancer]

ADAM FRUCCI(原文/訳:satomi)

 

【関連記事】 X-ウィング製作チームにインタビュー(動画)

【関連記事】 変時計の奇才・木村康氏にPingMagがインタビュー

【関連記事】 サンコー山光社長、インタビュー(動画)