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米スパイ衛星爆破の背景とコスト
↑ こういう状況(想像図)を避けるため、「空中で撃ち落としちゃえ!」ということになった例のスパイ衛星。あれって1発10億円だったんですねえ。 成功した瞬間の動画を見ても「なんのことやら」な方+訳者のために気になるポイントをもいっかい!…おさらいしてみましょう。
2008.1.28.
問題の衛星はヴァンデンバーグ空軍基地(加州)から打ち上げた国家偵察局(NRO)の「L-21」です。ロッキード社が数億ドルかけて作ったもので、大きさは大体ミニバンかスクールバスぐらい。重量2 268kg。地球を1日16周します。
2006年12月の打ち上げ直後、低高度軌道(LEO)に乗ってすぐ制御不能となり通信が途絶え、それ以降70km以上高度を下げ地上約280kmの軌道を回ってました。
燃料タンクは宇宙空間で一度も使ってないので「ヒドラジン」という「気化吸引、皮膚への接触ともに腐食をもたらし全身を骨までドロドロに溶かす。また中毒症状をおこす」(Wikipedia)聞くからに恐ろしい毒物が半トン(453kg)詰まってます。大気圏に再突入する際、爆発して燃えてくれないと大変なことに。
でも、1月28日(米時間)に「数週間以内に落ちてくる可能性アリ」と発表があった時点では、まだホワイトハウス国家安全保障局(NSA)Gordon Johndroe報道官も
「地表の75%は水面で、陸地も大半は人の住まない場所ですし、衛星および破片が人の住むエリアに落ちる可能性はかなり低いですよ」
と話してましたし、Bryan Whitman国防総省報道官も
「過去50年以上で人工の物体は1万7000点以上地上に再突入しましたけど、大事故には至ってませんねえ」
とコメント(ロイター)。
中国も去年1月、気象衛星SC-19を高度764kmで撃ち落として約1600個の破片を宇宙にばら撒いて世界中の国々から非難轟々だったことだし、米国もこういう衛星撃ち落としは1985年から一度もやってません。「まさか撃ち落とさないっしょ」という空気だったのです。
でも、今読み返して流石だなーと思ったのは米Gizmodoロスマン記者ですね。「被害軽減の『可能なオプション』がないか検討中」というNSA報道官の言葉が気になって気になってしょうがない様子で、「政府が『potential options』検討中…と聞くと背筋がゾクッとくるんだよね」と騒いでます。鼻が利く人ですね…。
2008.2.14.
政府、数週間以内に撃ち落とすと発表。使うのはイージス艦が運ぶスタンダードミサイル-3(SM-3)。この段階のプラン予想と米中比較は『Popular Mechanics』が詳しいです。大陸間弾道核ミサイルの撃ち落としにすごく似てるんですが、ただ軌道が大体分かってるので「1発目ミスってもグルグル回ってくる間に2発目、3発目の準備をする時間的余裕は十分ある」てなことをNYタイムズは伝えてますよ?
「人命のためであって軍事・科学技術のテストが目的ではない」と米政府は説明に躍起でしたけど、米Gizmodoアダム君は「中国とかの手に渡ったら大変、スパイ衛星だし結局そういうことでしょ」とクールに観察してます(現実にはアンテナや映像機材なんかは脆い部分なので再突入の時、燃えちゃうんで特にその心配はないようですが)。
2008.2.20.
いよいよ今晩発射!
「一発1000万ドル(約10億7226万円)もするんだって。2発、3発だと5000万ドルもかかっちゃう!」とハタと事の重大さに目覚めた米Gizmodoアダム君は;
「再突入のとき燃える可能性もあるものを何故こんな税金使うんでしょう? …結局、海の戦略ミサイル防衛システムからもこんなことできるってとこ見せたいだけなんじゃ…」
とひとり納得してますね。うーん、外交・政治の面からは非難もありそう。
2008.2.20. 10:30PM EST
ミッション成功
以上です! 動画と順番が逆になってしまってすみません。
WILSON ROTHMAN、ADAM FRUCCI(原文1、原文2、原文3/訳:satomi)
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