海上国家建造計画「Seasteading」事業本部長に聞く、楽しく儲かる海上国家の作り方

海上国家建造計画「Seasteading」事業本部長に聞く、楽しく儲かる海上国家の作り方 1

シリコンバレーの金持ち数人が海上自治国家建造計画を立てている話、覚えてます?

掘削機のような足場を海に建て、そこに移住する「Seasteading」プロジェクトですが、この海の国では自分で自分の法律も作ることができるそうですよ? どういうことなんでしょう? 早速、元グーグルのエンジニアでSeasteading研究所事業本部長のPatri Friedman氏に話を聞いてみました。

 

海上国家建造計画「Seasteading」事業本部長に聞く、楽しく儲かる海上国家の作り方 2

 

Gizmodo : 「seasteading」に来るのはどういう人なんでしょうね? 日々の暮らしには、どんなメリットが?

Patri : 開拓者たち - フロンティアに何か新しいものを築きたい、そんな気持ちを抱える人は多いと思います。今の世界にはフロンティアと言っても、それほど残されてませんからね。

ユートピアンたち - 文字通りの意味じゃないですけどね(結局この言葉は「No Place」という意味だし)。 今の社会・政治・経済・法律の制度に問題を感じる人たちは、こうすればもっと良くなるというアイディアを持っていて、それを実行に移してみたいと願うほど思い入れが強いんです。

そこで暮らすメリットは、各自のモチベーションと、今の国のどこが気に入らないかによって違ってきます。環境にあんまり影響を与えず、持続可能な暮らしを実践したいという人も多いでしょう。私自身は自由主義者で、もっと自由が欲しい。意味のない戦争、世界一円に食料価格の高騰をもたらしているバイオ代替燃料の支援に自分の金を盗用されるのは嫌ですね。大手製薬会社が販売していないような成分を含む薬品で自分の脳を変える行為(←麻薬?)を伴う趣味やったぐらいで刑務所送りになるんじゃないかって、冷や冷やしなきゃならないのも嫌です。[...]自分の声が聞き届けてもらえないほど大きな社会に住むのも嫌。 大勢の人が、自分も同じだと言ってます。

Gizmodo : 普通の人が海上国家の住民になるまでの基本ステップとは?

Patri : その辺がどうなるかは自分たちにもはっきりとは分からないんだけど、思い描いているのは、普通の暮らしから新生活にゆっくり、一定のペースを保ちながら、少しずつ移行していくような道のりですね。

まず、自分たちの社会に対し同じビジョンを抱える全員似た者同士のグループを探し、できれば同じエリアに住めるようにできたら理想的でしょうね。何年もかけて会合を開いて、物事を整理して、自分たちの社会のルールを決め、物理的なプラットフォーム(水上の足場)を買えるだけのお金を貯める(あるいは僕らのデザインを利用して自力で組み立ててもOK)。プラットフォームが完成したら(地元の水域に)、それに乗って移動します。陸上の仕事から水上の仕事に転職も図らなくてはなりません。コミュニティの目標が自給自足社会なら、それも実現。最終的には陸を離れた水上に移動します。最初は通勤圏内に、最後は遠洋に。

もちろん、既存コミュニティに参加もできますし、その方がずっと早いでしょう。各コミュニティが独自に基準を定めているので、まずそのコミュニティとルールが好きなこと、そこで生計が立てられることが前提になりますかね(仕事を持って、テレコミュートできる、あるいは人に頼らなくて良いほど裕福だとか)。参加要件が厳格なところもあれば、来る者拒まずのオープンなところもあるでしょう。

あと別のオプションとしては、別荘として始めることも考えられそうです。年に数週間のタイムシェアとか。これなら徐々にタイムシェアの滞在期間を伸ばしていって、最後はフルタイムで引っ越せるでしょう。 最初はこのタイムシェアがいいと思いますね。いきなりフルタイムで引越すよりも、年に数週間のバケーションなら試してみたい人が大勢いそうですから。

Gizmodo : 30歳の男が14歳の彼女と一緒に住みたいと言ってきたら、どうします?基本的なルールはどう決めて、徹底を図るんでしょ?

Patri : 各コミュニティが独自にルール決定・運用を行います。もっと大事なのは、ルール策定手順も各コミュニティが決めるということです。ここでポイントなのは、あるひとつの政治制度や制度のタイプを決めてしまうんじゃなく、新国家創出のためのターンキープロダクトを作る、ということです。こうすれば、グループごとにいろんなことが沢山試せるし、そこからいろんなことが学べる。

seasteadsでお互い課すべきルールはひとつ。個人が自分の社会を選べる権利を保証することですね。みんな自由に自分の社会が選べる限りにおいては、どんなルールを決めようと社会の自由にしていいと、個人的には思います。[...]

Gizmodo : 海賊が襲ってこない?

Patri : 可能性はありますが、どうでしょうね。クルーズ船が襲われたって話は聞いたことないです。襲われるのは決まって貨物船ですね。何故なら「船を守る人々」対「動かせる貨物」の割合が両者では全然違うからです。乗組員10~20人の貨物コンテナ襲うのと、自分の家を守る住民が何百人といる海上コロニー襲うのとでは天地の差ですよ。

金持ちが住んでるなら、人質狙いで海賊の攻撃もあり得るんじゃないか、と言う人もいますが、今世界を見回してもそんなことは起こってません。世界初のコンドミニアムのクルーズ船「Residensea」は分譲最低500万ドルからですから、住民はたいへん金持ちなんですけど問題は起こってない。身代金要求は危険な試みです。- 海上では衛星から逃げも隠れもできませんから、基本的に自分よりずっとリソースもパワーもある相手を人質に取って、身動きが取れない状態に陥ってしまう。

あと、海賊と言ってもその大半は数カ所に海域が限られてますから、もちろんそんな縄張りは避けます。

とは言っても、簡単に狙えるカモになるのは僕らだって避けたい。となれば、少しは武器も備えておく方が良いアイディアかもしれません。それで攻撃してくる国や海賊から自衛する。米軍が来たらお手上げですが、船から船を撃つクルーズミサイルのようにコスト効率の良い自衛策もあるので、その辺は僕らも詳しく調べたいと思ってます。

Gizmodo : 実現の最大のハードルは?

Patri : 経済(採算)ですね。海は過酷で、資源の乏しい環境です。オイル掘削の足場が作れるのは、そこで黒い金(原油)を掘ってるからです。安物のクルーズライン買うぐらいなら楽観もできますが、遠洋に国家を適正価格で建造するのは至難の業。全てのことはコストで決まります。高いなら金持ちだけのものになって、クールなリゾートになることはなるけど、新しい社会を実験するという当初の目的は失敗に終わります。手ごろな価格になれば「普通の人生なんか糞食らえ」と言ってるだけの普通の人にも、それを実行に移してもらえます。定年退職後、アメリカ人がコスタリカに隠居するように、リタイア後の隠居先としても良いでしょう。 とにかく、seastead独自の経済もないと、seasteadは貧しい国になってしまいます。

政府も脅威ですが、政府はいわばワイルドカードのような存在。衝突を避けつつ普通と違う新生活は営めると思うんですが、政治家のことですから、いつどこでムカっ腹立てるか読めないところがある。自分たちの強みはスケール(規模)と多様性だと思います。 - 海上の街ひとつ侵略するなら簡単ですけど、何百という街が毎日のように生まれていたら、そんな易々とはいきません。そこまでなると政府も警戒するでしょうけど、地方分散型なら簡単に手は出せないでしょう。それに、ゆくゆくは僕らも独自の軍隊も持つ予定ですから。

 

[Seasteading]

Adam Frucci(原文/訳:satomi)

 

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