iPhone Appの闇市場が未だに要るのは何故なのか?

2008.07.25 14:00
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1年前ここで「iPhoneもSDKが無いんじゃキラーアプリなんか出ないよ」って書きましたよね? 無事SDKが出てアプリも百花繚乱になったのはいいんですが、非公式アプリにも使ってるうち手放せなくなる秀逸なアプリやコンセプトも多いし、公式ストアが取り揃えているアプリは900点以上あっても本当に使えるもの、需要のあるものは100点ぐらい。―残りは子供騙しか単なる粗悪品です。

iPhoneを懐中電灯として使えるアプリは5指に余るほどあるのに、3G用Wi-Fiホットスポットには依然として変えられない。理由ですか? このSDKはキューバのグアンタナモ顔負けなぐらい規制が厳しくて、(闇)デベロッパーはOSに統合化もできない上、著作権・商標問題は絶対避けなきゃならない。なもんだから、業界のゲームを一から塗り替える最も画期的アプリが出ても、そのほとんどは皆さんのiPhoneまで辿り着かずに終わってしまうんです。

だからこそアップル公式ストア以外のものが要る。人が本当に求める超パワフルなオープンプラットフォームへと、iPhoneを変えるためにも牢破りのInstaller.app(現在はCydia)も必要なら、未公認のサードパーティのアプリも必要なんだと、僕は思いますよ?

ここでは、岩(障害)を検証してみましょう。:


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いかなるかたちであれデベロッパーたるものiTunesやiPodの機能に触れるべからず、改善するべからず —自分の楽曲ディレクトリにさえアクセスできないんです。「iPodのボタンはこのままでいいじゃん、いくら素晴らしい楽曲ライブラリを持ってても、活用できるアプリは期待しない方がいい」と言ってるようなものですよね?

被害者: Instinctiv Shuffle(ユーザーの選曲スキップ行動を学習し、次に本当は何が聴きたいのか予想できるスマートなシャッフル専用アプリ)、Tap Tap Revolutionも気の抜けたTap Tap Revengeに…。
 

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バックグラウンドではなんにも処理できない —アプリを去ること即ち完全終了+小さなsandbox(砂箱)にアプリを閉じ込めること。
被害者: よく引き合いに出される例はIMです(バックグラウンドで開いてないと他の作業しながら受信する芸当もできない)けど、これはアップルから今度出るプッシュ通知機能で意味ない争点になりそうですね。なんせテキストを別のアプリに動かしたりとかもできないので、サードパーティーのコピペのソリューションも使えないし、電話の会話(特に合法以外のね)が録音できる僕らの夢のアプリ「TrippWire」も使えませんよね?


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デベロッパーはアプリも機能もOSに統合できない —サードパーティのアプリは永久二流市民です。あんまり大胆にはiPhoneの機能を変更できません。カレンダーとかSMSへのアクセスとか。「電話を起こすと出てくるロックスクリーン。このままじゃ使えないから、なんかコンテンツ足してやりたいなー」と思ってもダメ、できません。
被害者:  IntellibornのMario Ciabarraが僕らにブツクサ言ってたのは、このSDKはアップルと全く同じAPIとツール群という触れ込みだったけど実はそうじゃなくて、ロックスクリーンにコンテンツ追加したり、カレンダーの予定やメールの情報にアクセスしたり、iPhoneのイベントに対するリスポンスを変えるのにどうしても必要な基幹部分がゴッソリ抜けている。なもんだから彼のアプリ「Intelliscreen」(上)もこのSDKでは作れないんだそうです。 Instinctiv社CEOのJustin Smithlineも、Instinctiv Shuffleみたいに“統一感の良いアプリは単に作れない”と言ってましたよ? 「可能な限りベストなユーザーエクスペリエンスを備えた素晴らしいソフトを作る…そのアップル流哲学とこの規制はまるで正反対なんだ」(Smithline談)


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ゲームも映画もその他なんでも海賊版はダメダメ —App Storeでの話。当然か。
被害者:  NES.appほかエミュレータはなんでもダメ。昔のStage6や QuickSilverScreenみたいな動画ストリーミング専用アプリもダメ。まあ、控え目に言って「法的に一点の曇りもないコンテンツとは言い難い」コンテンツだらけですからね。


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違法コピーとは異なるけども、大企業の著作権・商標権・知的所有権、これも使うと後が面倒なのでApp Storeも避けたがる —企業の自社開発は別ですが。
被害者:  Apps TiVoRemoteのようなアプリは、TiVoが自社開発すべきものなので危険です。IP・商標はこれを所有する企業でもない限り誰が使ってもアウトですね。あと例えばDVDレンタル「Netflix」のサイトにある“この映画を今すぐ観る”ボタンを使ったアプリも当然、アウト。


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デベロッパーはハードの深部にアクセスできない — NES.app製作者でiPhone関連本を何冊か出してる Jonathan Zdziarski氏は、「より低いレベルの機能は沢山SDKの内部に隠されている」ので、「自分のアプリに求められる政治的要件を満たすことを考えると、こういったもっとパワフルな機能には手が届かない可能性も考えられますね」と言ってました。
被害者:  Camera Proなど。これはカメラをひどく沢山制御できるアプリなんですけど、SDKの基準に準拠するのは大変でしょう。何よりもZdziarskiが言うには、そのCoreSurfaceのフレームワークをアップルは「私物化」(プライベート化)してしまったため、「デベロッパーたちも自分の動画プレーヤー、2Dゲーム、類似のレンダリング製作がものすごく大変になってる」そうなんです。特にパフォーマンスも一応の基準を満たすところまで近づけるとなると、これが結構大変らしくって…


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アップルのアプリ評価プロセスはデベロッパーには完全なる謎。しかも永久なる時間がかかる —これではアプリの品質にも影響が出るし、アップデートにも恐ろしく遅れが出ます。
被害者:  Aurora Feintの開発者のみなさんがこんな裏話を教えてくれました。「この[アプリ]審査のプロセスは僕らにも全く知らされていないんだ」。アプリのダウンロード回数さえアップルはデベロッパーに教えてくれないので、それは小切手の額面で想像するか、アプリレポートを取り返して確かめるほかない。NetNewsWireのBrent Simmonsはこの問題をスパイに絡めて、デベロッパーは「iPhoneで誰ともプログラミングについて話しちゃいけないことになってるのさ―それが例えアプリの質を上げる話であっても」とワイヤードにうまいこと書いてます。なんでも7月11日から17日の間にSimmonsはアプリを5回アップデートしたんですが、17日になるまでひとつとして反映されなかったそうですよ?


アップルはアプリのテスト実施を端末5台に制限している。つまり基本的にベータテストというものはない
被害者: 僕ら。ベータテスターなんで。Aurora Feintのデベロッパーたちが言うには、アプリテスト実施の際、「アップルは各アプリを特定端末にデバッグ目的でバインドする旨、特別な署名取り交わしを要求する」んだそうで、それが5台に制限されてる。従って「テスト要員はオフィスに泊り込みが絶対必要なんですよ」。 TwitterificのクリエーターのCraig Hockenberryがここに書いてるのは、デベロッパーに届くiPhoneアプリのクラッシュレポートはスワヒリ語と変わんないぐらい意味不明で、アプリ外の電話本体で何が起こってるかの報告もない上、仮に修復が必要でもテストする術がなくて、ただApp Storeから荒野にリリースするほかないという話。まるで「ロシアン・ルーレット遊びのデベロッパー版だよ」

明るい材料としては、アップルがベータテストプログラムを間もなくローンチするらしいということですね。 これでデベロッパーたちも最大100台の端末でベータテストが可能になります。Tapulous社CEOのBart Decremが僕たちと話した際、それとなく仄めかした話とも合致します。 あと期待通り数日以内に一斉展開になってくれたら。でもそれでも端末にベータ専用ソフトを実装するには、iPhoneかiPodのシリアルナンバーが必須だし、App Storeを無理やり通過しなきゃなりません。


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アップルにとって一番のプライオリティはアップルである
被害者:  基本的にiPhoneの中核機能やキーを握る利益の源を脅かすものすべて。 Operaが言うには、自分らがiPhone向けに開発を行わない理由は、そのSDKが「コードを解釈するアプリを許可しないから」だそうです。「でもそれがブラウザの仕事なんだよね」。MozillaのCEO、John Lillyは今月のワイヤードでもっと辛口なこと言ってました。「アップルはこれをとても難しくしている」が、「テクノロジーの論理を装って実のところビジネスの論理を使っているんですよ」。

アップルがサポートしないフォーマットは、基本的に存在しないに等しいんです。AT&Tが僕らにそれとなく暗示してくれた話ですけど、ラップトップに繋ぐの許可してないのはアップルなんだそうです。もちろん電話通信キャリアにとってはネットワークの問題もあるはずなので、常識範囲で信用はするものの、100%信じちゃってるわけじゃないです。NYタイムズがはっきり伝えたことは、無料楽曲・動画の配信企業も厳しい状況になるそうなので、MyWavesやHuluのアプリは規則がもっとクリアになるまで出ないと思った方が良さそうですね。ジョブズはタイムズに、これは競争の脅威だとし、デベロッパーのアプリとは“競争していく構えだ”と身も蓋もなく語っちゃてます。

2.0ソフト使ってる人は誰でも知ってるように、安定性の問題は絶対ありますよね。アプリが入ったら、今以上に不安定になる。想像できます? 


このように、iPhone SDKが必要なものすべてを提供するわけじゃなくて、その隙間を埋めるのがブラックマーケットのアプリだということが分かっていただけたでしょうか? アップルは閉鎖を求めるかもしれませんけど、結局こうした二階級の市場経済がiPhone一番の強みと分かる日が来るかもしれないですね。


matt buchanan(原文/訳:satomi)


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