ビル&メリンダ・ゲイツ財団はこう世界を救う

ビル&メリンダ・ゲイツ財団はこう世界を救う 1

ゲイツのビジョンは世界の近代化のみならず世界救済に変容しています。

世界最大のチャリティー団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」は現在の信託財産贈与額が総額373億ドル。昨年寄附したのは合計20億ドルです。

ここが他と違うのは、信託者3人のうちビルとウォーレンが世界長者番付けトップの座を絶えず争う間柄というだけでなく、その進め方がどこよりもスマートなことにあります。だからこそ、成功に期待が持たれているのです。

まずは事業目標を見てみましょう。

 財団が展開する事業は3本柱で「世界開発」「世界保健」「米国(の教育)」の各プログラムですね。

世界保健プログラムは病気撲滅が目的のプログラムで、進め方は2通り。ワクチン・薬品をもっと身近に入手できる環境を整えることと、昔ながらの新種ワクチン研究開発(ワクチン開発&アクセス確保の事業は世界保健プログラム予算の半分を占める)と治療法、ハイテク・ソリューションの推進事業を通して行います。ビルが今かなり夢中になっている分野の模様。

世界開発プログラムは3極構造で、「貧困と飢えの撲滅」という全体目標のもと、資金供与、ネット接続の拡大、小規模農業従事者の収穫生産・食物市場出荷支援など展開しています。

米国プログラムは要は教育支援事業ですね。例えば「ゲイツ・ミレニアム奨学プログラム」を通して「United Negro College Fund」に奨学金13億7000万ドルを供与しています。

こうして見てくると、ゲイツ財団も―ビッグで、天井知らずで、不可能を可能にする目標という意味では、他と大して違わないことが分かります。ただ同財団の場合、世界の諸問題に膨大な戦備を気まぐれにばら撒くのでなく、ちゃんとソリューション(解決方法)に投資してるところが賢い。例えば、きれいな水の入手経路を整備する部分とか、水がないところに水を供給する部分とか。

Seattle PI紙の記事によると、財団では問題分析に何年もかけているんだけど、大型水道整備事業にはまだ資金は投じていないんだそうですよ? 何故かというと、水道管工事だけでは根っこの問題解決にはならないから。世界開発プログラムのSylvia Mathews Burwellディレクターはこうコメントを寄せています。

「私たちはプロジェクトをスケーラブル(大きな規模に耐えうる)でサスティナブル(持続可能)、かつcatalyticなものにすることを目指しているのです」。
その角度から見ると、ワクチンに注力しているのも納得ですよね。

換言すると、小さなハイテクの種を何トンも植えて、完全に独立&自活できるまで愛とお金を降り注いで育てることは育てるけども、その場限りの解決策に出すお金は1セントもない。解決したいあらゆる問題に、大きな枝を広げるすばらしい巨木を1本植えて良しとするのではなく、財団が目指しているのはきめ細かな計画・管理の行き届いたちっちゃな木の種を1トン分も植え、えーとなんだろ…そう、素晴らしい森を作ることなんですねー。

因みにこれは、「魔法の妙薬」ひとつだけに投資を絞るより、同時進行でたくさんの薬品に投資を分散する製薬会社のアプローチから拝借したものだそうです。

「その場限りの解決策に出すお金は1セントもない」と言っても、彼らはしみったれではないんです。—タイム紙が『今年の人』特集で伝えたように、ゲイツは2005年「人類史上だれよりも速く多くの金を寄附した」人ですけど、その投資は鐚一文にいたるまで、マイクロソフトの黄金時代と一分も違わぬ鋭利さで臨んでいる。だからこそ15億ドルの奨励金を受けた世界ワクチン・予防接種同盟(Global Alliance for Vaccines and Immunization)にしても、スタッフ全員が全力で働いているのです。

こうしたビルのフィランソロピー魂は、ほかの人たちにも影響を与えています。一番有名なのは言わずと知れたウォーレン・バフェットで、ゲイツ財団の目指すところ、スマートで実践的なアプローチに全幅の信頼を寄せ、自己資産を粗方寄贈してしまった。その成り行きを世界中が見守っています。

ビルなら、情熱が続く限り、マイクロソフトでやってくれたように今度もひょっとして…世界をあっさりと救ってくれちゃうかもしれませんね。

matt buchanan(原文/訳:satomi)

*ゲイツ引退特集の残りです。訳者の夏休みを挟んで掲載が遅れました!

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