MSトップに衝撃の独占インタビュー! Windowsの未来は、脳内に埋め込まれるデスクトップへ…

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フォーストレーニングで、キーボードもマウスも不要になるそうですよ…

ビル・ゲイツ氏がマイクロソフトを去った今、当然ながら、これからのマイクロソフトの指揮を執っているスティーブ・ バルマーCEOに注目が集まったりするわけですけど、実のところ、経営分野ではなく、研究開発分野での指揮系統を束ねる人物としては、最高研究戦略責任者(CRSO)のクレイグ・マンディ氏のほうが、大きなカギを握っていたりもするそうですね。

いよいよ「Windows 7」の発売間近か…なんて騒がれてますけど、Microsoft Researchでは、もっともっと先の未来のWindows像なども描きつつ、想像を超えたR&Dが進められていることを、マンディ氏が語ってくれましたよ。

では、この度、米GIZMODO編集チームが、果敢にもマイクロソフトへと突撃し、マンディ氏に行った独占インタビューの興味深い一部始終を、かなり長文ですけど、続きにまとめてレポートしてみましたので、どうぞお読みくださいませ。驚くべきWindowsの未来形の一端を垣間見ることもできそうですよ。

 Q:まずは、CRSOとして、かなり長期的な視野で研究開発を指揮しておられるわけですが、どのくらい長期のビジョンを持って取り組んでおられますか?

A:単刀直入に申し上げますと、私が担当している中に、これから3年以内の早期の実用化が目指されているようなものはないでしょうね。すべてどんなに早くても5年ほど、長ければ、20年後の未来に実現するといいなって感じのコンセプトの最新技術ばかりに目を留める日々を過ごしていますよ。

実のところ、Microsoft Researchで、最初に何かの研究に取りかかる時、それをいつ頃になれば実用化できるかなんて、まったく考えることすらないわけです。コンピューティング業界にとって、ドラスティックな変化をもたらすような技術であればあるほど、実用化などとは、程遠いレベルから研究がスタートすることになりますね。量子コンピューティングの研究なんて、その良い例かもしれません。将来、どんなふうに実用化されているのかを、思い描くことすら難しい技術ほど、すばらしい発明の成果であることが多いわけですよ。

Q:それは楽しそうですけど、でも、CRSOの立場から、研究戦略の方向づけを示していくのは、簡単なことではないでしょうね?

A:何度も繰り返すようですが、その研究が、どれほど実用化に近い、現実的な内容かといった観点から、戦略を立てていくようなことはありませんね。結果として、早期の実用化ということになれば、それはそれで良いことでしょうが、あくまでも、それは結果論でしかないですよ。だって、本当にすばらしい発明であれば、実用化までにどれくらい時間を要したかなど、一般のユーザーは、気に留めることすらないわけです。そこにどれほどの歳月を費やそうと、本当に価値ある研究開発は、必ず実らせるというビジョンを大切に、戦略を立てるようにしています。

Q:CRSOの仕事は難しいなって感じられませんか?

A:まぁ、はっきり言いまして、こういう才能に最高度に長けていた人物は、やはりビル・ゲイツでしょう。非常にたくさんの情報が集まってくる中から、重要性の高い研究戦略の方向性を、トップに立って指し示していく…。ビルは、この分野で優れた天才的才能を発揮してきたと思いますよ。でもね、実は、自分で言うのもなんですけど、私にも、この点で、天性の才能に恵まれているところがあると言いますか、結構、自分では、このCRSOというポジションが向いているかなって、気に入っているんですよ。数あるR&Dの流れの中から、時代と共に戦略を立てていく…。容易ではありませんが、エキサイティングに感じています。

Q:ここからは、具体的な戦略を伺いますが、コンピューティングパワーの未来について、どのように考えておられますか?

A:「Second Life」って、仮想世界の驚くべき体験を人々にもたらしたという意味では、とても大きな役割を果たしたと思うんですよね。そして、仮想世界をスムーズに楽しむために、どれほど強力なコンピューティングパワーの存在が重要なのかということも、人々に明確に示すものになったと感じています。あくまでも、現在は仮想世界なんて呼ばれてますけど、これからは、もっともっとコンピューティングパワーが向上していけば、現実世界と、PCの中だけで実現する世界との差が、ますますなくなってくることになるでしょうね。極めてナチュラルでリアルな仮想世界! これこそ、今後のコンピューティングパワーの進化がもたらす、典型的な成果に挙げられるのではないでしょうか。

Q:でも、その実現には、まだまだ一般人の手には届かない莫大なるコストがかかるのでは?

A:いい質問ですね。そこが、Microsoft Researchの究極の目標でもあるので、どうぞご安心ください。とてつもない金さえかければ、ある意味で、だれだって、世界最強レベルのコンピューティングパワーを手に入れることくらい、そう難しくはないわけですよ。でも、ごく一般的な家庭のデスクトップに、何百万ドルもかかるようなPCを導入させるわけにはいかないですよね。それゆえに、さらなる研究を進めていく価値があるのであり、当初はとんでもない値段でしか手に入れられなかったような最先端の技術を、研究の成果により、どれほどリーズナブルなプライスで提供できるようにするかも、研究戦略を立てる上で、重要度の高い選択肢となっています。

そういう意味では、最初に、早期の実用化を目指せない技術だって、積極的に研究開発に取り組んでいくなんて話したりしましたけど、ここに大きな理由があったりします。その技術を、今すぐにでも世に送り出せないこともないけれど、もう少し余裕を持って、時間をかけて研究を進めれば、より安価で提供可能になっていくと考えられる場合には、CRSOとして、発表を遅らせる方向性を示したりしますね。私の重要な仕事は、どのタイミングで、どのすばらしい技術を発表まで持っていくことが、もっともふさわしいのかを見極めていくことでもあるわけですね。

Q:さらに具体的な話を伺いましょう。デスクトップOSとしてのWindowsが消える時代は来るのでしょうか?

A:話題のクラウドOSのことですね。PCの電源を入れはするものの、実は立ち上がるのは、ローカルのデスクトップOSではなく、インターネットにつながったクラウド環境のOSが立ち上がっている…。これは、はっきり言いまして、やろうと思えば、すべてのWindows PCを、そういう環境に置いてしまう世界だって、実現可能ですね。

ただ、率直に申し上げますと、そういう方向性で、世の中が進んでいくようなことはないと考えています。むしろ、デスクトップOSには、やはり果たすべき重要な役割があり、クラウド環境との共存共栄が、もっと進んでいくとにらんでいますよ。

つまり、PCであれ、ゲームコンソール機や携帯電話であれ、テレビであれ、車であれ、それぞれのデバイスの性能は、今後のコンピューティングパワーの進化により、さらなる飛躍をローカルデスクトップ環境で遂げていくこととなり、そこへ、さらにパワーアップしたクラウド環境のアプリケーションとの融合が実現する…。これこそ現実的に描かれた未来像で、それをベストにサポートするOSとして、引き続きWindowsの存在があるともとらえていますね。

Q:究極のデスクトップとして、Windowsが脳内に搭載される時代が来るなんて話も出ていますけど、いかがでしょうか?

A:これは、私が個人として、最も興味を持って取り組んでいる分野に挙げられますね。かなり特殊なプロセッサではありますけど、人の脳内と連動するコンピューティングパワーで、Windowsが立ち上がり、いざ起動するデスクトップ環境はと言えば、なんとそれは眼球の視界の中に、直接広がっていくことになり、ディスプレイさえ不要になる時代を思い描いてますね。

Q:そういう観点からも、Windowsのデスクトップ環境は、今後も切り離せない存在であるというわけですね。ユーザーインターフェース(UI)は、どうなっていくのでしょうか?

A:マシンと人間とのコミュニケーションの形は、まだまだ発展途上にあり、今後の進化の姿は、現時点では鮮明に思い描くことすら難しい段階にはあるのですが、脳波でダイレクトにコントロールしていくのが現実的でしょうね。興味深いことに、すでにトイレベルではありますけど、「Star Wars Force Trainer」などの、脳波でコントロールを試みたユーザーインターフェースが、現実の形になってきていますし、Microsoft Researchでも、脳内で、部屋の電気を点けたり消したりする指令を送るだけで、それを感知して、実際に部屋の電気の点灯・消灯をコントロールするくらいのことなら、容易に実現できるレベルにまで、もう数年前に、このユーザーインターフェースは完成していました。

キーボードから、マウス操作に至るまで、すべて脳波からダイレクトに指令を感知して、同じく脳内に搭載されたプロセッサにより、眼球上にWindowsのデスクトップ環境を映し出す…。現在は夢のような話にしか思えないかもしれませんけれど、これが数年後には普通に実現しているとしても、私は不思議ではないと考えていますし、これぞ目指している戦略の一端でもありますね。

もちろん、当初は、かなり専門的な医療分野での応用からスタートすることになると思いますよ。視覚を失ってしまった方々へ、より現実的な視力回復治療を施したりすることに用いられていくかもしれませんね。また、手が不自由になってしまった人々に、ただ視線を読み取って、マウスやキーボード操作を実現するという、現在の初歩的なユーザーインターフェースレベルにとどまらず、より直感的なPC利用環境をもたらすことができるでしょう。

あくまでも本日はコンセプトとして、現在、Microsoft Researchで進行中のR&Dの一面をご紹介しましたが、私は、こうした夢のような新技術が、必ずや、いつの日か現実のものとなる時代がやって来ると信じています。どうぞ今後の発展を楽しみにしていてください。

いかがでしたか? さすがはマイクロソフト、まだまだWindowsは死せず、人体にデスクトップ環境が展開するような時代にまで、さらなる進化を遂げていくビジョンが描かれているとは、なかなか根性あるWindows開発チームの強い意志すら感じられますけど、でも、現在のキーボードやマウスのユーザーインターフェースとは異なる未来像については、なんとなく夢のある話でもありますよね。うん、いろいろマイクロソフトへの賛否両論はありますけれど、ちょっとこれからも温かく応援していきたいなって気持ちになっちゃいましたよ。マンディさん、どうもありがとうございました!

Wilson Rothman(原文/湯木進悟)

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