宇宙トイレ事情 ~無重力でどうする?

宇宙トイレ事情 ~無重力でどうする? 1

(出てくるものを無重力でどう封じこめるのか!? 宇宙飛行士のLeroy Chiao博士がズバリお答えします!)

初期の頃の宇宙船には、トイレはなかったんです

最初は分単位の飛行だったので、必要ないものと判断されたんですね。

宇宙服の中に用を足さなきゃならなかったアレン・シェパード(Allen Shepard)の逸話が映画『The Right Stuff』でドラマ化され一躍有名になりましたけど、その後のアポロなんかの宇宙船にもトイレ設備はなかったので、クルーは改造したおしっこ専用パック(軍が使用するもの)を使ってました。コンドームを使って、そこにホースとバッグを繋げて尿を回収するものです。

女性はどうするのか? 当時、宇宙プログラムに女性は一人もいなかったので問題はなかったんです(例外はロシアの女性初の宇宙飛行士ワレンチナ・テレシコワですね。彼女はきっとおむつ使ったんじゃないかな)。

ナンバー2(大)のときは改造した密閉バッグを使います。ジェミニとアポロ艦内にプライバシーなんてもんはないので、これもみんな仲間の至近距離でやるんですよ。ったく、想像してみてくださいよ! さらに悪いことにバッグは透明だったんです。というか、透明です。収拾のつかないトイレの惨事に備えて、米国の宇宙船にはあれを今でも積んでるので。

幸いシャトル事業では、ずっと文明的になりました。シャトルはビジネスクラスみたいなものですからね。トイレは面積も比較的広く、プライバシーが守れるよう、仕切りのスクリーンも備わってますよ。

ソユーズ艦内では、上の住居用モジュールにトイレがあるので、誰かナンバー2でそれを使うときには残り2人のクルーは下階のモジュールに非難し、第3の男に多少プライバシーを確保してやることもできます。ただ普段このトイレは、その目的のために使われるんじゃないですけどね。

クルーは飛行前に浣腸してお腹を空っぽにするので、これで普通はソユーズのフェーズからランデブー(飛行)、宇宙ステーションへのドッキングまで所要2日間は用を足さないで、もつはずです。

国際宇宙ステーション(ISS)内のトイレは、ロシアのミールステーションのものと同じ。文明的で、面積は比較的広く、プライバシーを守るスクリーンも備わってます。

  

さて、こういったトイレはどう使うのか? 

まあ、みんな仕組みは同じですね。重力の助けがないので、エアフロー(空気の流れ)で全部集めて、正しい方向に送るんです。

尿は非常に簡単です。先端にじょうごがついてる長いホースを使います。装置をオンにし、ちゃんとエアフローが出てるか確かめてから放尿します。その際、大事なところがじょうごに当たんないようにします。これは第一、考えるだけで気持ち悪い。第二に当たるとなかなかオフにできなくて、できた頃には体の精気全部吸い取られて無茶苦茶後悔するんです!  因みにこの装置は女性でも使えますよ。液体を正しい場所に確実に誘導する程度の吸引力はありますからね。

ナンバー2の時は、シートが上がって、小さな穴が現れます。この任務成功の極意は己を良く知り、(出てくる)ものをちゃんと行儀よく並べること! このシステムもまたまたエアフローで集めて、行くべきところへ送り、終わったらバッグは口を結んで外し、取替え可能な銀色の缶の中に押し込めます。

もちろん粗相もあります。その際は国際合意に従い、自分の不始末は自分で掃除!

そういえばスペースシャトルで一緒だったクルーのひとりが僕に一度、こう漏らしたことがあります。毎朝地球に着陸して、向こうで用足して、離陸して軌道に戻れたらどんなにいいだろうってね。ほんとに快適とは程遠いですからね。でも、こういう衛生面の不便には慣れるものだし、慣れちゃえばそんなに悪くはないですよ。

(スペースシャトル搭乗歴3回、国際宇宙ステーションに長期滞在経験もあるベテラン宇宙飛行士リーロイ・チャオ(Leroy Chiao)博士の残りのゲストコラムはこちら(英文)、日本版はここ、宇宙開発の今を探るギズのウィーク企画「Get Me Off This Rock"」(英文)も是非どうぞ)

Astronaut Leroy Chiao(原文/訳:satomi)

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