3Dデジカメ「FinePix REAL 3D W1」試用レポート by うるまでるび

3Dデジカメ「FinePix REAL 3D W1」試用レポート by うるまでるび 1

「おしりかじり虫」や「しかと」で有名なアニメーションクリエイター、「うるまでるび」のうるまさんが、今年最高のガジェットとなるかもしれない3D写真撮影デジカメ「FinePix REAL 3D W1」のレビューを寄稿してくれました!

うるまさんは3D写真マニアだそうで、今回の製品には異常に興味津々。そしてどうやら、3Dの動画も撮れるらしいことがレポートから伺えます。

もしかして伝説のガジェットになる!? いやこれはかなり欲しくなってきましたね...

以下、レポート全文です。

  

みなさんご存じないでしょうが、おいらこと、うるまでるびのうるまは3D写真のマニアなんです。3D写真や動画にもいろんな方式があることや、かつて「写ルンです」に3Dカメラがあったことなども、非常に詳しかったりします。マニアですから。

3D写真マニアが集まる「ステレオクラブ東京」という同好会があります。おいらももちろんそのメンバーですが、いま我々の間では世界初のデジタル3Dカメラ、富士フイルム「Finepix REAL 3D」の件で、騒然となっています。その騒ぎが富士フイルムさんの耳に届き、先日クラブ会員向けに製品をいじらせてくれる会を催してくださいました。おいらもいじってきたので、ファーストインプレッションというんですか? みなさんより先にいじった者の義務として、感想などをお知らせしようと思います。

最初に総評を言ってしまいますが、この商品はすごいです。コンセプトにびっくり、技術にびっくり、値段にびっくりです。あまりに感動したので、帰ってすぐ...どころか、その会場内でiPhoneからamazonを開き、ポチってしまったほどです。

W1(カメラ)

Real 3Dの主商品。それがこの3DカメラW1です。高級感のあるブラックボディ。大きさは今どきのコンパクトデジカメよりは明らかに大きい。男らしい大きさと言えましょう。

普段はレンズが見えませんが、前面のバリアを下にスライドさせると2つのレンズが現れます。これが人間の目でいう右目と左目です。こうしてレンズが2つあるおかげで、立体感や奥行きを捉えることができるのです。開発者の方は、レンズが露出した状態で、人間の顔に見えるようにデザインしたかったとおっしゃってました。確かにそう見えないことはありませんが、残念ながら「顔に見えるものコレクター」でもあるおいらとしては、顔度は30点しかあげられません。

前面バリアをスライドさせてレンズを露出させると同時に、背面の液層もONになります。この液晶こそが3D液晶で、表示画像が飛び出して見えてしまうのです。しかも赤青メガネなどを必要としません。裸眼でOK。ここが一番すごい技術です。画像の飛び出し度もかなりイケてます。斜めから見てもちゃんと飛び出します。明るさも充分で、相当明るい会議室でも、液晶が暗いと感じることはありませんでした。

起動時の「Real 3D」ロゴから飛び出していて期待が膨らみます。この状態でカメラをいろんな方向に向けると、レンズが捉えた風景が、液晶内で3D画像に見えています。あの独特の3D画像。カキワリのような...。なんとも不思議な感覚です。パチリと撮影すると、そのカキワリのまんま、撮影できてしまいます。ビューモードに切り替えて確認すると、これもまたさっき見たまんま。飛び出してます。というかむしろ、引っ込んでます。実は3D写真の世界では「手間に出すより奧に引っ込めろ」というのが常識です。その辺は機会があればまたお話しします。

W1では動画も撮れちゃいます。ピっと押して録画スタート。ピッと押して録画ストップ。それだけで3D動画が撮れてしまう。撮影中にカメラを横に動かせば、風景をが3Dでパノラマ撮影できてしまう。あまりに簡単で拍子抜けしましたが、このカメラの一番すごいところは、こういうスゴイことが簡単にできてしまうことです。決してマニア向け商品ではないというメーカーの思いを感じます。

それから、ちょっとおもしろい機能があります。ツインカメラモード。レンズが2つあって2枚同時に撮れる機構があるのなら、タッチの違う2枚を撮ることができるじゃないか!! ということで、一回のシャッターで白黒とカラーとか、テレとワイドとか、2つのタッチを撮影することができちゃうのです。ただしこの場合、写真は飛び出しません。

V1(ビューワ)

W1で撮った静止画/動画は、カメラの液晶で見ることもできますが、別売りのビューワ Real 3D V1で、大きく表示して、みんなで楽しむことができます。W1からV1へは、赤外線通信かメモリーカードでデータを移します。

ビューワV1の液晶は8インチです。デザインは電源OFFなら真っ黒の板。印象としては、かっこいいめのデジタルフォトフレーム。電源ONでブルーの操作パネルが左右と下に浮き出します。特に下に現れるバーは上をなぞるだけで「進む/戻る」の操作ができて、ちょっと新しい感じがしました。

液晶は明るく、室内なら問題なし。反応速度も速く、動画の残像なども全くありません。ただ、肝心の「飛び出し」が、ちょっと厳しいけれど、ビミョーです。真正面から見ると確かにいい感じですが、斜めから見ると厳しい。視野角が狭いかもしれないです。裸眼で飛び出す液晶は、今はこれが限界なんでしょうね。

ちなみにこのV1のみ、発売日が一週間ほど延期になるそうです。予想外の予約数で生産が追いつかないそうです。

プリント

W1で撮影した画像は、普通の写真サービスと同じように、紙にプリントできます。インターネットからデータ入校するスタイルで、8月8日からサービスが始まります。

サンプルプリントを見ましたが、レンチキュラーってわかります? コーンフレークのおまけに入っていたでしょう? 写真なんだけども、奥行きがあって、角度を変えると絵が変わる、アレ。それの角度を変えても絵が変わらないものを想像してみてください。このサービスで上がってくるプリントは、まさにそんな感じです。

すごーく奥行きがあるように見えるか?というと、ちょっとビミョー。奥行きをどのくらいつけるかは、おいらの知る限り手作業でやっているはずなんだけど、たぶん五反田工場の、たぶん日本的な技師さんが、遠慮がちに奥行きをつけている印象です。それとも、このために奥行き設定の自動化をしたのかな。そのあたりは是非直接聞いてみたい。

富士フイルムの開発担当者によると、やはり「世界初」と言いたいために相当がんばったようです。カメラだけでも売値5万ナンボでは赤字でしょうし、プリントサービスのことを考えると、いったいいくら投資したんだろうと思います。

おいらは、富士フイルムが「世界初」となったことを、すごく良いことだと思います。たとえばカメラ専門メーカーや家電メーカーでは、プリントサービスができないからです。「カメラで撮る/ビューワーで見る/プリントで配る」この3つが揃ってこそ3D写真が普及するインフラが整うのだと思いますし、それができるのは世界でも富士フイルムと、あと数社しかないでしょう。

デジタル3Dカメラというアイデア自体は、ずいぶん昔からありますし、おいら自身も某メーカーに「作ってよ!」とスケッチまで描いて提案したこともあります。でもこのジャンルはずっとマイナーで、大きな市場はあり得ないと思われてきました。

飛び出す映画が次々と制作され、YouTubeもステレオ対応になった今、もしかしたら個人で楽しむ3D写真が、史上初めて大ブームになるかもしれません。富士フイルムもそれを考えて投資を行ったのでしょうし、あえて高級マニア向けカメラではなく、誰でも扱えるコンパクトカメラを投入したのではないでしょうか。

REAL 3D W1/V1は、いずれカシオQV-10と同じように語られる製品だと思います。ちょっとでも興味があったら絶対に買うべき

[うるまでるび]

(いちる)