Google Voice却下はアップルの判断だった(FCCに3社回答出揃う)

2009.08.24 13:00
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アップルのApp StoreがGoogle Voiceアプリを却下した件で米国連邦通信委員会(FCC)がアップル、グーグル、そして電話会社AT&Tの関係3社に事情説明を求めていましたが、その回答が21日出揃いました。

まずはAT&TシニアVPの回答から見てみましょう。

グーグルがアップルのApp Store販売用に申請したアプリケーションについて、誤解を晴らす機会を与えていただき感謝します。当社は、政策決定に必要な事実・情報を集めるという、FCCの本調査の目的を諸手を挙げて支持するものです。

この目的に向け、ここにきっぱり明言します。AT&TはGoogle VoiceアプリケーションのApp Storeでの販売を認めない決断をアップルが下す上で、なんらの役割りも演じていません。AT&Tは本件に関し、アップルから一切相談を受けていません。また、当社の意向を先方にあれこれ伝えたこともありません。

うちは関係ない! ということです(仮に関係あったとしてもウェブアプリでもう使えるんだからいいじゃないか、というのは深読みが過ぎますかね)。

一番興味深いのはVoIPの扱い。アップル、実は3Gのスカイプも承認したいならしても問題なかったようなんです(AT&T的にはVoIPアプリはすべてWi-Fi経由にしてもらいたいのが本音でしょうけどね...)。また、iPhoneで最初に契約を結んだ際、アップルは自社開発のVoIPアプリは作らないことをAT&Tに約束したようですから、iChatの動画版はしばらくお預け、ということになりますね。 :

アップルは、AT&Tから事前の合意を得ることなくAT&Tのワイヤレスサービス(2G、3G、Wi-Fi含む)を使ってiPhoneでVoIP通話を可能にするような積極行動は取らないことでAT&Tと合意しました。しかしさらにアップルとAT&Tは、仮にサードパーティーの会社がAT&Tのワイヤレスサービスを使ってiPhoneでVoIP通話を可能にした場合も、アップルにはこのサードパーティーの会社を取り締まる義務が及ばないことでも合意に達しています。


次にアップルの回答。こちらはもっとすごい。却下なんかしてないと言ってますよ。
 

各所で報道されている内容とは裏腹に、アップルはGoogle Voiceアプリケーションを却下したわけではなく、まだ審査中です。アプリが承認されていないのは、審査に出た内容から見て、これがiPhoneの中核の携帯電話機能とアップルのUIを自分たち独自の通話・テキストメッセージ・ボイスメールのUIに置き換えることで、iPhone特有のユーザーエクスペリエンスを変えるものに思えるから。アップルは多大な時間と労力をかけて、iPhoneの中核機能をシームレスに提供するこの独特のイノベーティブな手法を開発しているのです。[太字は編集部]

以下は、Google Voiceを撃ち落すことを決めたのはアップル単独の判断だったと述べているパートです。:

これはアップル単独の行動です。Google Voiceを承認すべきか否かについて、AT&Tに相談は一度もしていません。AT&Tとのいかなる契約上の条件も契約外の理解も、本件をめぐるアップルの意思決定のプロセスには影響を与えていません。

却下の主な理由が「iPhone独特のユーザーエクスペリエンスを変えるように見える」というのは、変な話ですよね。米ギズがここで書いたように、他にもダイアラーやメッセージアプリは山とあるので...。

アップルの回答には、これもみんなのセキュリティのためなんだよと装うキュートな釈明もあります。:

さらにまた、iPhoneユーザーの連絡先の全データベースがグーグルのサーバーに転送されるのですが、まだグーグルの方からはこのデータが適正な方法でのみ使用される旨、確約が得られていません。

はいはい。

こんな猿芝居はさておき、アップルの回答で興味を引いたのはApp Storeの審査プロセスの詳細です。あの何千とあるアプリの審査をフルタイムで担当してるのは、たった40人なんですね。各アプリとも最低2人はレビューしなきゃならない上、問題がありそうなアプリは「週1回」の執行審査委員会の審議に上げるんだそうですよ。

これだけの制約があるにも関わらず、アップルは申請されたアプリの95%は2週間以内に審査プロセスを通過していると主張しています。しかも信じられないことに、これまでに目を通したアプリとアップデートは累計20万件を超えるんだそうな。

グーグルは、iPhoneと重複する機能はないはず...こういう問題を回避するため契約キャリアの音声・データ通信ネットワークを使うよう気を配ったのに...と怒ってます。肝心のグーグル対アップルの話し合いのパートは非開示なので、「アップルがグーグルに本当はどう説明したのか?」の核心部分はブラックボックスのままです。

というわけで、正式な回答を読んでもGoogle Voiceに一体なにが起こったか、真相はよくわかりません。興味のある方は、AT&Tの回答全文がこちら、アップルはこちら、グーグルはこちら。警告: 長ーーーーいですよ。


John Herrman(原文/訳:satomi)
 

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