Snow Leopardレビュー:さらに軽く、快適に(ベンチマーク&動画)
一見新しい芸がないMac OS X Snow Leopardですが、案外これって10.0.0.以来最重要なOSなのかも。
Snow LeopardはLeopardの後継としてリリースされたOS。最初は「どこが変わったの~?」と思う人もいそうです。新OSには毎日の単純作業(例えばファイルを開けるとか)を高速化できる性能も備わってるんでございますが、まだ現段階ではこれを活用してる非純正プログラムもないし。アップルの純正プログラムも特に新しいもの入ってないし。あるのは単に古いプログラムの焼き直しとインターフェイスのちっちゃな改良だけなので、「これが新OS!?」と信じられない顔するファンボーイもいそうですよね。でもそう思っちゃう人はポイントが分かってないんです。
よーく調べてみると、Snow Leopardは目立たない面がすごいのです。例えばフル活用し切れてないCPUマルチコアやGPUなんかからパフォーマンスをギュッと搾り出してるところとか、基本UIの改良...その洗練度は職人の域です。深いところまでスピードの最適化を徹底したところが武道の名人なら、UIの細やかな改良は彫刻の仕上げで余分なところをコツコツ削ぎ落とす彫刻家を思わせます。
ソフトウェアは過去30年重くなる一方ですけど、Snow Leopardにはその因習に歯向かい、メディアとハードウェアの間でもっと効率の良いミドルウェアとなり、摩擦を減らし、より軽量に、目に見えないOSになろうという、変化が見てとれます。
異論のある人も、気になるお値段が中古ゲーム並みに安くなってるので、まあ、納得圏内じゃないでしょうか。
ではさっそく、ベンチマーク13連発から、どうぞ!
ベンチマーク結果
ベンチマークは初代MacBook Airと前の15インチMacBook Pro、今の13インチMacBook Pro2台で実施しました(注: 図中「15-Inch PowerBook」とあるのは「15-Inch MacBook Pro」の意味です。マシンは全てIntelベース)。ご覧のようにSnow Leopardの方が高速で、だいぶ開きが出てるテストもあります。ただし、サードパーティーのアプリでは違いがほとんど出ていません。

ディテール満載(=圧縮しづらい)35MB・幅2万ピクセルの風景写真6枚を開くテストです。大幅改善。Snow Leopard(赤)はパラレル、Leopard(青)がシーケンシャルでファイルが開くようですね。

アドビは「CS4はSnow Leopard互換」と発表しましたが、最適化はまだこれからみたいですね。いずれSnow Leopard内蔵マルチコア&GPUと連動できたら超高速になることが予想されますが、まだ今は「遅くはなってない」という程度。

ジェームズ・キャメロン監督の映画『アバター(Avatar)』のトレーラーを1080pで再生しながらCPU使用量をテストしてみました。Snow Leopard搭載Quicktime 10(QT10)は旧バージョンより楽勝で上です。サポートしてないH.264のハード(例:Macbook Pro 15インチの8600GTカード)でもQT10の方が動作は良かったですよ。

GeekbenchはCPUとメモリーのパフォーマンスをテストする総合ベンチマーク。32bitと64bitで試してみましたが、アップルの言う通りSnow Leopardの方が高速でした。

Xbenchは少し前のソフトです。CPUからディスク、グラフィックスまでシステム全体をテストできます。妙なことに13インチMacbook上のOpen GLのパフォーマンスはLeopardの半分で、これが原因でSnow Leopardはスコアがやや下がってます。数式演算処理はSnowの方が速いんですけどね...。

インストール時間はSnowが30%短いです。まあ、インストールのサイズが16GBから10GBに減ってるので、これは当たり前。

Quicktimeで使ったのと同じファイルを圧縮してみました。Snow Leopardの方が速いですね。これはたぶん、数式演算処理のパフォーマンスが改善したおかげ。

javascriptのスピードテスト。使ったのはグーグルのv8スイーツです。Safari 4ではSnowの方が高速でした。

USBへのTime MachineのイニシャルバックアップもSnowの方がスピーディー。

インストレーションのサイズは、そう、前より小さくなってます。OSアップデートでは初めてじゃないかと。プリンタ専用ドライバは抜いて、ネットからオンデマンドでインストールできるようにし、バイナリは全てインテルだけにして、バイナリのPowerPCサポートを排除、これで6GBぐらい減りました(アップルの発表では7GB)。尚、Power PCベースのアプリはまだ使えます。これはファーストインプレッションの記事にもあるようにPower PC用のRosettaバーチャルサポートをインストールディスクからダウンロード&インストールすればOKです。

起動時間

終了時間

Handbrake DVDリッピング所要時間。違いナシ。これはまだSnow向けに最適化されてないため。
[ベンチマークのまとめ]
• 35MB・幅2万ピクセルの東京の風景写真をプレビューで開くテストでは、各写真ともかかる時間はSnowが半分でした。
• Safariのjavascript処理はSnowの特殊技術採用により約40%高速化。--Ajax満載のサイトでは大助かりですね。
• Time Machineは1GBのデータセットをLeopardより40%近く高速バックアップ可能に。
• 最適化がまだ行われていない32bitのプログラムには目につく改善は見られませんでした。:Photoshopテスト、 Handbrake DVDリッピング所要時間は前OSとほぼ横並び。QuickTime 7(新しいQuickTime 10ではなく)のHD再生もCPU使用量は同じ。
• 総合ベンチマークは興味深い結果に。古いXbenchアプリで計測してみたところ、パフォーマンスは漸減。古いソフトなのでそっちのパフォーマンスが落ちているんでしょうかね? 32bit、64bit両対応でマルチコアに最適化したGeekbenchという比較的新しいベンチマークだとSnowの方が上でした。が、これはCPUとメモリの理論上のパフォーマンスだけ重視したものなので、毎日の利用でもこの結果通りとは限らないですよ。
以下は、JPEG画像のプレビューがシリアルではなくパラレル風に開くシーン(左がSnow Leopard、右がLeopard)。
「だから何?」って? えーとこれはですね、アップルが実際に僕のハード(パソコン)からソフトの力だけで2倍のパフォーマンスを引き出してる場面なんですよ。ひゃ~!
Snow Leopardが速くなった理由
なぜこんなに速くなったのか? 理由は3つあります。
(1)アップルが「GCD(Grand Central Dispatch。米ギズの解説)」と呼ぶものを通してマルチコアプロセッサのサポートが改善したこと。
(2)GPGPU技術「OpenCL」APIサポートにより、GeForce 8600シリーズ以降のどんなグラフィックカードの処理能力も動画アクセレレーションならびに汎用コンピューティングに活用可能になったこと。
(3)Snow Leopardに出荷時搭載となるアプリはほぼ全て、GCDとCoreCLの利点を活用しながら64bitモードで使えるよう、書き直した。
このように、今のチップも、開発者がもっと効率良く簡単に処理できるようにしてるんですね。プログラムは、ゲームをプレイしてない時はビデオカードの処理パワーも活用できます。また、プログラムは64bitモードでも使えるんですが、これには4GB以上の大容量RAMのシステムで4GB以上活用できるという理論上のメリットがあります。
Snow Leopardは別の面でも効率化を図ってます。繰り返しになりますが、インストールサイズは16GBから10GBにダウン(減量は主にプリンタ専用ドライバとユニバーサルバイナリのPowerPCのパート削除による)。Snow Leopardが使えるのはIntelマシンだけ。プリンタ専用ドライバは必要に応じてネットからダウンロードします。インストールのフットプリントが小さくなった分、どのハードでもインストールは30%ぐらい速くできますし、(これはニッチだけど)途中で電源切れてもインストは完了できます。
でもそれは横道ですね。パフォーマンスのボトムライン(一番重要な点)はこうです。
つまりマルチコアMacやNvidia 8600シリーズ以降のビデオカードなんかの技術に対応している今のマシンでは、OSに搭載になってるプログラムがあらゆる面で速くなるんです。それも少々なんてもんじゃなく、25~50%という規模で。つまりみなさんのビデオカードやCPUにはそれだけ潜在処理能力が残っている、ということ。
...とまあ、すごいんですが、正直、実生活では言葉で聞くほどすごさは実感できないかもしれません。だって今や基本的なシステムのタスクはどれも十分速く処理できちゃってますからね(最後にJPEGファイルが開くまでジッと座ってたのは、いつの話?)。それにさっきも書きましたが、GCDやOpenCLを使うアプリは、アップル以外のソフトウェアメーカーさんからまだひとつも出てないし...。でもでも、理論上の改善がこうして現にあって、それを従来以上に簡単なプログラミン手法で活用できるんなら、そんなアプリが登場する日も近いはず。
インターフェイスは無駄を排除
UIの変更点は主に5つ。:

1. Finder
アイコンはペイン右下の小さなスライダーで幅512ピクセルまでサイズ変更できます。これは動画ファイルがFinderのウィンドウから直接再生できる以外は無駄に思えます。LeopardのQuickLook(スペースバーを押すとクイックプレビューの窓がポップアップする)ほど好みじゃないので、それをSnowでも使うことに。選択の幅が広がるのはうれしいんですが、この機能は使うこともないと思って。

2. Dock
少し前からOS Xのドックはインタラクティブになってます。ここのアイコンにファイルをドロップすると、この2つがインタラクトできる...はずなんですが、ドックで使いたいアプリのウィンドウが選べなかった。それがクリック+長押しすると(ファイルがあってもなくても)、そのアプリ専用のExposeが起動するようになりましたよ。アプリのウィンドウがすぐ立ち上がってワンステップで選べるなんて最高ですよね。と言っても、ウィンドウ内でお目当てのブラウザタブをExposeを使って素早く探すことは依然できません。これはブラウザを使う時間が長くなるにつれ、ますます大きな問題になりそうです。

3. Expose
Expose本体も改善しました。Exposeのズームアウト・ビューで、アプリの全ウィンドウを表示するとシングルでなくグリッドでアイテムが表示されます。各ウィンドウにはテキストのラベルも。似たようなウィンドウが沢山あって、しかもExposeでちっちゃくレンダリングされちゃってるので、あるウィンドウを見分ける時、ラベルがあると助かりますよね。
4. Stacks
StackはLeopardでデビューしたものの、むらっ気があって使いづらい面もありました。ファイル動かそうとするとバチンと閉じたり。スペースも限られてて、ファンやグリッドモードで表示するとアイコン数個でいっぱいでしたよね。今回のStacksはそこのところを改善。グリッドビューでスクローリングも可能になったし、一度に沢山のファイルを一括表示できるスマートリストビューも加わりました。これは改善ですねー。
5. QuickTime 10
QuickTimeをこのリストに加えるのはどうかなと思いますが、アクセレレーション以外にも大きな改善点が...。マウスを離すと、ビデオ画面からボーダーとボタンが全部消え、まるで超薄型LCDや(海側に淵がなくて水が溢れ落ちる風に見える)インフィニトプールみたいなるんですよ。動画、音声クリップのみならず音声注釈付きスクリーンキャプチャまでエンコードできる新キャプチャーシステムも搭載。トリミングのサムネイルラインもiMovie '09から借用しました。これはいいですよ。
「大きな」改善というのは大げさだけど、もっと小さな変化なら文字通り何ダース分もあるし、どれもOS使用のストレスや必要なクリック数を減らし、OSをノロくないものにするような改善です。全新機能はこのギャラリーでご覧ください(ワンページ一括表示版はここ)。
UIや処理能力とは関係ないですけど、Snow LeopardではExchangeが無料でサポートされてるので、従って自分のメール、アドレスブック、カレンダーは全部これで同期とれますよ。僕は会社勤めじゃないので関係ないけど、関係ある人にはうれしいプラスですね。
欠点(updated)
flashのページはSnow Leopardの方がLeopardよりクラッシュする頻度が多いみたいですが、Safari 4は不安定なブラウザ用プラグインをセグメント化できるので、そんな時にはこれが役に立ちます。
Snow Leopardでは「一部アプリが使用不能になったり、変になった」というレビューも。
Exposeもあんまスムーズに動作しなくなりました、スペースで。
「これがないと毎日の仕事が始まらない」、そんなサードパーティーのアプリをお使いの方は、OSアップデートの前に互換性をダブルチェックして新バージョン出るまで待ちましょう。このOSはそんな根っから新しいってほどでもないので。
おまけのMeow(ニャー)
今回、変化は控え目です。パフォーマンスが高まった分、期待は持てますが、内蔵アプリ以外はまだ期待という段階なので、もっと派手なもの期待してた人は今しばらくアップグレードを控えるのも一案でしょう。Snow Leopard最大のフィーチャー(特徴)は新しいフィーチャー(機能)がないこと。ですが、既にあるものは洗練され、また一歩完成に近づいてますよ。まあ、次回は新機能も発表した方が良いでしょう。こういう目に見えない改良版アップグレードが通用するのは数十年に1回ですからね。
Brian Lam(原文/訳:satomi)
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