初の快挙!IBMが分子構造の生の姿を3D視覚化に成功

初の快挙!IBMが分子構造の生の姿を3D視覚化に成功 1

化学で分子習った時のこと、覚えてます?

コンピュータの画面とか模型で習いましたよね? 

それがこの画期的発見のお陰でこれからのエンジニアは、なんと、天然のブロック構造を目で見て制御できるようになるそうな。なんともうらやましい話ですね。

さてとそこで上の写真ですけど、これ、何か分かります?

モヤッとしてモノクロ(トリビア:分子は無色です)、荒くて、まるでニコンD40の自動設定どまりの男(僕)が撮ったピンボケ写真ですけど、ちょっと待って...これ、どっかで見覚えないですか?

高校の化学の授業で... ボールと棒...とくれば...

同じもののコンピュータ生成画像も、以下でどうぞ。その昔に分子と原子のこと習った人はこっちの方がピンくるかもしれませんね。

 090828_Pentacene_model

さあ、もう分かりますよね? そう、冒頭のモノクロの構造は、これと同じ分子とその原子結合を実物からイメージに起こしたものだったのです。

この種の映像はなんとこれが初めて。

チューリッヒのクレイジーなIBM研究員たちが単体の「標本」を20時間ぶっ通し眺めてやっと手にしたブレイクスルーですね。因みにサンプルは、22個の炭素原子と14個の水素原子から成る全長1.4nmのペンタセン分子だそうですよ。

原子と結合部の視覚化を行う上で活躍したのは、以下の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope=AFM)

090828_Pentacene_3D

このAFMは昔ながらの電子顕微鏡のようでありながら、倍率がさらに強く、3次元化の装備もついてるスゴ腕で、ナノの世界を人間が眼で観察できる世界に置き換えてくれます。

ナノメートルのペンタセン分子の視覚化の作業は、このAFMで二酸化炭素をコーティングしたシリコンのマイクロスケールなカンチレバー(ちっちゃな釘)とレーザーを駆使しながら、「超高真空」な5ケルビン前後の超低温で行いました。

米ギズには「IBMチューリッヒ研究所は走査型トンネル顕微鏡[STM]で有名なんじゃ?」というコメントもついてますけど、発表ではいちおうAFMということになってます。

AFMの構え位置は、従来目に見えなかった結合・分子表面からたった0.5nm上。その至近距離から20時間じっと動かず押さえた執念の一枚!というわけですねー、いやはや素晴らしい。

特に注目なのは、イメージ生成に20時間もかかったという、この時間長だと、IBM研究員レオ・ゴス(Leo Goss)氏は同社声明で書いてます。原子結合はデリケートで、何かひとつでも動けば乱れて、せっかくの画像も台無しになっちゃうから。

なるほどねー。こうして説明を聞いて、やっとこの画像の素晴らしさが分かった気がします。―炭素と水素の原子がどこにどう並び、全体としてシンメトリーを成す様を、こんな風に目で見れるなんて。それも3Dで!

量子コンピューティング

これを最初に実現したのがハードウェア会社のIBMだったというのは、今の量子コンピュータの動向を見ても順当かと。IBMの代表の方から今朝きたメールには、こうありました。

「この実験で得た未踏の成果と新たな洞察は、今後の原子分解物質の研究の可能性を広げ、今のプロセッサ・記憶端末より格段に小型で高速かつエネルギー効率の良い、究極の原子・分子スケールの電子的ビルディングブロック&デバイス研究にエキサイティングな新しい可能性をひらくものです」

えーと、つまりなんですかね...今後は原子と結合んとこに手を加えたり、パワフルな省エネタイプの量子コンピュータを開発して暗号化やらスペーストラベルやらのニーズを満たしていける、ということ!? 

...というのは先走りし過ぎですけど、でもきっとこの発見が弾みになって、物の成り立ちについて今僕らが持ってる原始的知識も、進歩しそうですね。

ここにご覧に入れたのは、ちっちゃなナノメートル単位のパズルの1片です。まだパズルのピースは全部揃ってないし、ピースの在り処さえわからない段階ですけど、こうして画像が見れたということはいつか近いうち揃う日が来るのかも。

[画像ソース: IBM]

関連:ZDNetComputerworld.jp

Jack Loftus(原文/訳:satomi)