意外と間違えてる 包丁の買い方・使い方・手入れ法(動画あり)

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包丁はキッチン・ガジェットの要! なのに、みんなその辺で25本セット買って満足しちゃってません?

そんなわけで今回はNY調理師専門学校「The Institute of Culinary Education」で教鞭を執る包丁のグル、ノーマン・ワインスタイン(Norman Weinstein)先生に包丁の正しい使い方をズバリ訊ねてみました。

包丁の選び方

デパートとかで売ってる包丁セット。あれはあんまりオススメじゃないそうです。「42本入りセットなんて本当は買っちゃいけないんです。たぶん使って5、6本ですからね」(ワインスタイン先生)。その5、6本って? 

洋包丁は和包丁のような片刃ではないし品揃えも違いますけど、重要度順に見てみましょうね。

 

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Chef's Knife(シェフナイフ、シェフズナイフ、牛刀、洋刀): なんにでも使える万能ナイフです。よってケチケチせず、型打ち(stamped)ではなく、金属を熱しキンコンカンコン叩いて成型した鍛造(forged)の鋼物を買いたいところ。

先生のおすすめ(=掟)は刃渡り最低8インチ(20.3cm)、できれば10インチ(25.4cm)のもの。10インチって柳刃に近いですけど、「手が小さいから」、「台所は得意じゃないから」と小さな包丁買ってもテコのかかりが弱くなって「仕事はずっと大変になるだけ」だそうです(アメリカでも8インチが人気ですけどね)。

シェフナイフは日本で言う三徳、文化包丁ですかね(両者の違いはこの動画で)。毎日使うものだけに、どれにするか決めるのは一苦労ですけど、頭に入れておきたいキーポイントは、「このナイフは重さとバランスがすべて」だということです。「刃だけ重くてもだめ、柄だけ重くてもだめですよ」(ワインスタイン先生)

090907_knife2_paring_knifeParing Knife(ペアリングナイフ、ペティナイフ、果物ナイフ):  刃渡り2~4インチ(5cm~10cm)。極めて繊細な作業(ぶどうや苺みたいな小さなフルーツを想像してみて)、エシャロットみたいな小さな素材に使います。

090907_knife3_bread_knifeBread Knife(ブレッドナイフ、パン切りナイフ):  必須アイテムのラストはこれ。長くて、ピンと真っ直ぐで、ギザギザの鋸歯はこの包丁ぐらいかも? パンはもちろん、トマトみたいにツルツルぐんにゃり刃が逃げる素材に使っても重宝します。

090907_knife4_utility_knifeUtility Knife(ユーティリティーナイフ、サンドイッチナイフ): シェフナイフより刃は小さく薄め。長さは大体6インチ(15.24cm)で、「果物ナイフとして使うとパーフェクト」だと先生は言ってますけど、予算がない方は果物ナイフで十分代用できますよ。

090907_knife5_carving_knifeCarving Knife(肉切り包丁): 長く薄い刃で肉を薄~くスライス。薄切り肉しょっちゅう食べる人は元が取れるんじゃないでしょうか。

090907_knife6_boning_knifeBoning Knife(ボーニングナイフ、筋切り包丁): 骨スキ用。肉切り包丁同様、使う人は限られてそうですけど、鶏を丸ごと買って殺めて羽をむしるところからやる本格派には手放せないナイフ。フレキシブルな薄い刃はガラスキ以外使わないと言っていいぐらいです。

 

 

 

包丁の手入れ

さーてと、これで10インチ(25.4cm)の鋼物のシェフナイフも買ったことだし、あとは夢の包丁ライフが...と思ったら大間違いで、包丁は手入れが肝心です。切れ味悪くなった包丁ほど危ないものはないですからね。刃が横にゴロンと滑るだけじゃなく、力も込めなきゃならないので外れると余計に危険です。

[シェフ・ワインシュタイン直伝のアドバイス]

ホーニングスチールを使いこなそう: 洋包丁セットに入ってるスチールの棒。あれって研ぎ器とよく間違えられますけど、実は右や左に曲がった刃先を真っ直ぐにする道具なんです。「正しくやれば大体15秒で終わるので、これはナイフを使う都度毎回やること」と師匠。

使い方は簡単。柄を持って台に逆さまに直角に立てて固定し、もう片方の手で包丁を持って右から22度の角度でシュワンと手前に引き、反対の刃を左から22度の角度で当ててシュワンと引き...を2回ずつ繰り返します。これで終わり。動画見た方が早いですかね。あ、ギザギザの鋸歯はやっちゃだめですよー。

自動皿洗い機には入れない: 包丁もまな板も洗い方は一緒で、「使ったらすぐ洗剤とお湯を注ぎ、研磨の心配のないもの(スポンジでOK)で洗う」のが基本です。上物の包丁は自動皿洗い機なんか入れちゃいけません。水の力で刃が鈍くなるし、あんな鋭い刃物は突っ込んでいいことないです。熱で柄が歪んでも困りますからね。

包丁研ぎは職人さんに頼もう: 包丁の素行が悪くてお仕置きするんでもない限り家庭用の刃研ぎマシンは使わず、プロの包丁研ぎの方に1年に1回ぐらい研いでもらいましょう。(砥石ならいいのかな?)

 

 

 

まな板の基本

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まな板も誤解の多い分野です。

シェフ・ワインシュタインが言うには、まな板はやっぱり「木」が一番。プラスティックもだめ(「包丁の切れ味が悪くなるよ」)、竹もだめ(「木より硬くて包丁には最悪だよ」)、石は論外(「おいおい気は確かか!?」)だそうですよ。

ここは上質なハードメープル材のまな板に。まな板はシェフナイフの次に奮発して悔いのない、重要な投資のツボです。「良質なメープル材のまな板は一生ものですよ」とワインシュタイン先生は言ってました。力んで表面が抉れちゃっても、やすりをかけてミネラルオイルを塗ったら新品同様になります。

これも自動皿洗い機は禁物です。使ったらすぐお湯と洗剤で洗い流すこと。また、カピカピに乾いてるな、と思ったら、いつでもミネラルオイルで拭いて潤いを回復してあげましょう。

 

 

 

包丁の持ち方

シェフ・ワインシュタイン直伝の包丁さばきの極意は、一にも二にも「リラクゼーション」。肩の力を抜き、腕を常にリラックスできる姿勢に保ち、グーにして柄だけ握るんじゃなく親指と人差し指でちゃんと刃を挟んで持ちましょう。 こういう風に構えたことのない人には若干慣れが必要ですが、「ナイフも正しく使えないうちから、切るのは早い」そうです、はい。

こうして刃の動きを見ると、トントントン上下にリズム良く叩き切るのではなく、流線を描きながら引いてることが分かります。「とにかくリラックスして流れに任せることですね。ゴルフやテニスのように」(ワインシュタイン先生)。

 

 

こちらはサイコロ切り(長いです)。;



記念日に花を買い忘れたら、トマトでバラを作りましょう。;




 

いかがでしたか? ここで紹介したのは入門のヒントです。基本を身につけたら、あとは練習あるのみ。にんにくを数百個みじん切りにし、セロリの株を2ダース切り刻み、軍全員のたまねぎをさいころ切りに。正しいナイフのスキルは繰り返し叩き込んでこそ、時間の節約、指の安全確保、料理上達につながる...ということですね。

シェフ、本日はどうもありがとうございました!


Norman Weinstein(ノーマン・ワインシュタイン)

ニューヨークのInstitute of Culinary Educationシェフ兼講師。料理好きなアマチュアコック(ギズのWilson Rothman記者もかつての教え子)からプロのシェフまでを相手に20年以上に渡って包丁の選び方、使い方を指導してます。著書に『Mastering Knife Skills』。ワインスペクテイター誌、ニューヨークタイムズマガジンで紹介されたほか、料理専門ケーブル「Food Network」にも出演。New York Association of Culinary Professionalsより2003年栄誉賞受賞。NYC在住。

注: 上の写真のナイフは単に一般的形状を示すものであり、シェフ・ワインシュタインやGizmodoの推奨ブランドというわけではありません。一番上の1枚はWikimedia Commonsより使用させていただきました。

訳注: 刃先がシェフナイフより鋭角(15~18度)の「SANTOKU」はアメリカでも人気ですよ。みなさんの「一生モノ」、教えてくださいね。

Dan Nosowitz(原文/satomi)