[Giz Explains]技術標準化がなぜ大切なのか? Appleを例に考えてみる

[Giz Explains]技術標準化がなぜ大切なのか? Appleを例に考えてみる 1

Appleを例に、ギズが解説します!

「技術標準化」はなぜ重要か? 

それはこの標準が世界で何をどう使うかの元になるから。つまり、もし自分のまわりの世界に何か影響を与えたいを思ったら、自分でこの標準値を作ってしまえばいいわけです。

Appleを例に考えてみましょうか。

最新OS Snow Leopardの最も素晴らしいことの1つは、OpenCL 1.0(Open Computing Language)のデプロイにあります。プログラマーがより自由にそして簡単にGPUやマルチコアCPU等のプロセッサをミックスして使えるということにあります。OpenCLはその名の通り、ロイヤリティフリーの開けた基準です。Khronos Groupによって管理され、AMD/ATI、Apple、ARM、IBM、Intel、Nvidia等によってサポートされています。

ここでおもしろいのは、このオープン業界の基準はAppleによって作られ、提案されたということです。

【標準化とは?】

標準化

フォーマット、インターフェース、プログラムの骨組み、等々、たくさんの人、会社、組織によって賛同された基準になるやり方を指します。この「やり方」が動画のエンコードの仕方だったり、ウェブサイトのプログラムだったり多種に及ぶわけですね。

もし、これがなかったら、各人各社好きなように作ってしまうので、コンピューターAで再生できた動画がコンピューターBでは再生できなかったり、ブラウザAで見れたウェブサイトがブラウザBでは見れないということが起きてしまいます。

多くのマシンと多くのプラットフォームの連携がより高くなることによって、標準化の意味もより大きなものとなっていきます。

もちろん一口に標準化と言っても、オープンなものから、条件付きオープンなもの、さらに使用許可が必要なものまで、いろいろあります。企業によっては、標準化を特許を持っているマシンだけにとどめている場合もありますし、標準化をお金儲けに使うのではなく、開発者が仕事をする上で、行ってほしいことやその方法の道しるべとして使っている企業もあります。

Appleはその後者にあてはまります。

【市場シェアの重要性】

もちろんAppleはOpenCLだけを作り開発し、世に送り出して使ってきたわけじゃありません。

AppleがまだOSの市場シェアが10%にも満たなかった小さな企業だった時、大手他社の標準はAppleにとって重要な意味を持ちました。自社のプラットフォームとプログラムが潰されずにゴールまで行くためには、この大手他社の標準を必要としたのです。

言い換えると、市場シェアの90%を握る企業の標準が、世界の標準に強く影響するということなのです。

大手企業にとって、標準をつくることに成功したら、次にする事は、その標準に周りを巻き込んで従わせることです。標準化の重要性をいまいち信用できない人は、昔のSonyがどれか根付くまで新しいものを毎週どんどんだし続けたことや、Microsoftが数年前までiTunes以外のみんなにPlayForSure DRMを使わせていたこと考えてみてください。

標準化、そこにはお金儲けがついてきます、ただし、その標準がまわりから受けいられ、特許申請でお金を得られた場合のみにかぎりますけどね。

残りは続きで。

 【ウェブの標準化】

標準化が難しいものにウェブが挙げられます。

ウェブは言ってしまえば「ユニバーサルOS」です。乱立するブラウザの能力は、ウェブ開発者にとってどんなウェブサイトを作ることができるか、という大きな問題につながります。Internet Explorerは長年に渡って、標準化の足を引っ張りまくっています。「IE6なんて世の中から消えてしまえ!」と思っているウェブ関係者は少なくないはずです。

そこでWebKit。KHTMLエンジンをベースにAppleが開発したブラウザエンジンのオープンソースです。WebKitは、最初にAcid3テストを突破したOperaのPrestoエンジンと結びついたとても協力的な標準と言えます。

Safari、Google Chromeを動かせるということはもちろんのこと、最も注目すべき点は、基本的なスマートフォンのブラウザを動かせる(iPhone、Android、Palm Pre、Symbian、たぶんBlackBerryも。)ということでしょう。WebKitはただ単に、ウェブの標準化に影響を与えただけでなく、モバイル端末からPC並のネットが行えるということ自体に影響を与えました。

OpenCLとWebKitは共にオープンソース。Appleはオープンースにすることによって、標準化を進めるという賢い手法にでたわけです。OS Xを見てもそれが伺えますよね(Darwin、XNUなど)。

ただし、もちろんAppleは「無料!オープン!」と言うもの全てを受け入れたわけではありませんが。

【動画コーデックの標準化】

次世代ウェブ(HTML5)の動画の標準が論じられる中、MozillaはオープンソースのOgg Theoraビデオコーデックをサポートしていますが、Appleはそれじゃ質が悪いとし、AdobeのFlashから抜け出そうとしています。

Apple曰く、Oggの質やハードウェア・アクセラレーションの点で、AppleのサポートするMPEG-4 H.264コーデックとは合わないとのこと。ただし、このH.264はライセンス付きなので、無料でオープンに提供はされません。

(※Googleはこの件に関してまだ中立の立場のようで、ChromeはOgg TheoraとH.264両方のサポートがあります。)

Appleは長年MPEG H.264コーデックを推しています。iPhoneのデフォルトのビデオフォーマットもこれで、Snow LeopardでのQuickTime Xならハードウェア・アクセラレーションも機能します。H.264はビデオコーデックの中で大きな地位を占めつつあります

なんでAppleはこだわるのでしょう? それはMicrosoftがWMVの標準化に失敗したからではないでしょうか。

MP3の後継者であるAACと同じような話です。以前AppleはiPodやiTunesでの推奨オーディオフォーマットをAACにすることによって、標準化するという大役を背負っていたわけです。

またこれによって、MicrosoftのWMAは一時期人気を得たものの、定着はしませんでしたよね。

【FireWire、IEEE 1394】

iPod初期はこれで接続してました。

OpenCL同様、Appleは初期の開発を多く手がけました。(Sony、IBM等も同様。)FireWireは標準化され広く使われるようになり、Appleは初め特許権使用料をとろうとまでしました。USBの方がよりメジャーになったとはいえ、FireWireは最も成功した技術標準の1つであると言えるでしょう。

その他Appleが標準化しようとしたものでMini DisplayPortもあります。

さて、さて。

以上はAppleが技術標準化に関係したものです。Appleを例にあげて見てきましたが、企業にとって標準化というものがどれだけ重要なことがわかったでしょうか?

たとえ市場シェアが小さくても、自分の推しているものが標準化されると、標準化を武器として、いかに自分にとって有利な世界になるか、ということです。

こう見ると、技術の標準化を手中に収めるのは、お金儲けと市場征服のため...。そんな欲張った印象が前にでがちですが、もちろんそれだけじゃないんですよ。技術を標準化することによって、我々の生活はよりよく便利なものになっているのも事実です。

matt buchanan(原文/そうこ)