ダークマター探索に新兵器!

ダークマター探索に新兵器! 1

これが、その「scintillating bolometer(輝くボロメーター)」?

全然そうは見えないんですけどねー。

スペインのサラゴサ大学の物理学者Eduardo Abancens氏のチームが開発した「ダークマター検出装置」なるものの試作機です。

ダークマター(宇宙暗黒物質)は、宇宙の闇に漂っている観測不能なモノ。物理学者たちによると、全宇宙を構成するもののうち現在観測可能なものはたった5%程度に過ぎないんだそうな。遠くの星雲の動きなんかを観測すると目に見えるものの引力だけでは到底説明のつかない現象もあり、専門家の間ではそうした目に見えないダークマターが大体20%で、残る75%はダークエネルギーやら斥力やらだという説もあります。

で、この「scintillating bolometer」ですが、これは理論上、ダークマターも検出できる装置ということになってます。

決め手はクリスタル。ものすごく純度が高いクリスタルなので、ダークマターの粒子がクリスタルの原子のひとつの原子核に衝突して生まれるエネルギーも伝導可能なんだそうですよ。

宇宙線の干渉を避けるため、この大事なクリスタルちゃんは鉛の鞘に収めて半マイル(約800m)の地下岩盤の下に置き、しかも、あらゆる動きが静止する絶対零度、これに近い低温で冷凍します(補:詳報によると実験が行われたのはウエスカのカンフラン地下実験室。Tobazo山の下に超低温設備を置き、鉛・ポリエステル強化ブリックで固めて干渉から保護したそうです)。

なんでそんなキンキンに冷やすのかって? 

 

絶対零度の端まで下げると、華氏数百万分の1度という、衝突で発生が予想される温度の変化(「high heat signal」)も観測が可能だからですよ。

つまり、仮に温度がチラッとでも動いたら ―その「チラッと」が華氏数百万分の1度分だったりするわけですが- それがクリスタルにダークマタークちゃんの粒子がぶつかった動かぬ証拠! やみぐろの正体見たり! というわけでございますね。まあ、少なくともチームの理論では...。

なにやらゴーストバスターズの幽霊探知機を彷彿とさせる話ですが、やっぱりそんな大変なんですねー。

同チームの研究報告は『Optical Materials』8月号に掲載となり、9月下旬にはオンラインにも出ました。ボロメーターは目下、原子核の振動と電子の回転が生む揺れを観測できるところまできており、Abancens氏は5年以内に実用化できる可能性もあると話しています。

絶対零度近い低温で作動する検出装置の研究を10年間続けている米ブラウン大学の物理学者Rick Gaitskell氏はワイヤードに、実用化するにはもっと感度を上げなくてはなならないし、その感度を維持したまま重量46gの今のプロトタイプから重量半トンの実用モデルにスケールアップしなきゃならないよ、と前途多難なことを示唆してますよ。

あたたかく成り行きを見守って参りましょう。

[Wired Science, Science Daily]

関連:「宇宙暗黒物質(ダークマター)の探索」大阪大学

Photo: IAS/SINC

Jesus Diaz(原文/satomi)

 

※UPDATE: 記事修正致しました!ご指摘ありがとうございます。