この世にふたつとない家族写真

091009_A16_Duke_family_detail

これはデューク家の人々。

1935年10月3日生まれの父チャールズ・モス・デューク・ジュニア(Charles Moss Duke, Jr.)さんと母ドロシー・ミード・クレボーンさん、そして長男チャールズ君と次男トーマス君の4人家族がベンチに座っています。場所はたぶん庭。とても幸せそうです。

幸せなのも無理ないですよね...。

父チャールズさんは1972年に月面着陸したアポロ16号のパイロットだった方です。この写真が特別なのは、なんと、ジョン・W・ヤング船長と一緒にチャールズさんが「神酒の海」デカルト・クレーターの北50kmのデカルト高地に降り立ったとき、そこに置いてきた写真だからなんですよ

以来、写真は誰にも指一本触れられることもなく、置いてきたままの場所に今も残っているのです。因みに撮影機はハッセルブラッドの70mmのフィルムカメラ。

無知を晒すようで恐縮ですけど、こんな素晴らしい写真があるというのは僕も数日前初めて知りました。僕と同じ宇宙探検のファンボーイの友人Adánの薦めに従って、『Full Moon』という本を買ったんですね。ブランチのカリカリベーコンみたいな鮮明写真128枚で振り返る月の旅の本です。4ページにおよぶ壮大なパノラマ写真も沢山収蔵されてます。

どれもクリーンで、背景は漆黒、文章は1文字もなし。まるで宇宙の静けさそのまんま。

少し離れて見てみましょう。

 

この世にふたつとない家族写真 1

Full Moon』は新刊本ではありません。マイケル・ライト(Michael Light)さんが1999年に監修・出版した本です。

本には、アポロ計画で撮ったオリジナルのカメラのフィルムからスキャンした世界初にして唯一のデジタル画像を収蔵しました。

NASAでは宇宙から返ってきた写真は1枚1枚コピーをとり、コピーし終えたオリジナルのフィルムは将来スキャンする時のために、すぐ保管してしまうんですね。ですから、みなさんがこれまで見てきた月の写真は全部オリジナルのコピーのそのまたコピーなんです。

この貴重なフィルムの蔵出しは、本書が初めて。ライトさんはオリジナルの透明なフィルムに全部目を通し、ベストと思えるものを選び、今あるデジタル機器でベストな機器でスキャンし、必要とあればパノラマに引き伸ばしました。こうして仕上げたのが、本書です。

本当にクオリティーは完璧、セレクションも秀逸。いくら人に薦めても薦め足りないぐらいです。

座って息を詰め、この世のものならぬ眺めをゆっくり惜しむようにめくっていたら、この写真が出てきたんです。見た瞬間に目が離せなくなりました。

こんな寂寞たる大地にこんな幸せな写真を残してくるとは...。そう考えるだけで、幸せと哀しさ、強い強い郷愁がない交ぜの感情に満たされてしまいました。きっとあれも、デュークさんが撮った最初の家族写真にインスパイアされた1枚なんでしょうね。

091009_A16_Duke_family_cartoon星の光は悠久の時間をかけて届く。星はみんな過去の写真、という漫画

これはマストバイです、『Full Moon』。

Jesus Diaz(原文/satomi)