証言独占入手!「気球少年騒動の捏造を助けたのは僕です」(動画)

先日お伝えしたUFO気球騒動で当局は18日、「リアリティー番組を売り込むための狂言だった」と断定、両親刑事提訴に向け家宅捜査に踏み切ることを明らかにしました。実刑が確定すれば懲役2~6年、罰金最大50万ドル(約4536万円)となります。

この発表に先立ち、ギズ系列のGawkerブログnは、リチャード・ヒーニ父をよく知る25歳の調査員ロバート・トーマスさんから、世紀の自作自演のマスタープランを練るに至った経緯を語る証言が寄せられていました。この証言内容と同時掲載のメール履歴も捜査に動き出す重要な手がかりとなったものと思われます。

トーマスさんはリチャード父と数ヶ月前からTVネットワーク局に売り込む科学系リアリティー番組の構想を温めていたらしく、あのCNNにファルコン君が語った「番組のためだって言ったじゃない」の「番組」はこれのことだったのだと、語ってます。

リアリティーTV番組の企画提案に向け、リチャード父とトーマスさんと残り2人が出したアイディアの中で、リチャード父が最も乗り気だったのが「気象観測気球をUFOの外観に改造して打ち上げ、ヒーニ家とシリーズの両方に一気にマスコミの注目を集める」という案だったのです。

でも、トーマスさんもまさかリチャード父が自分が有名になるために「世界中のマスコミを巻き込む狂言」の大芝居に6歳の息子を巻き込もうとは、想像もしていなかったそうですよ。

以下に掲載するのは、ライアン・テート(Ryan Tate)記者がトーマスさんにリチャード父と共に過ごした時期の話を取材し、それをベースにまとめたものです。最後まで一気に読ませる素晴らしい証言です。買取り希望のマスコミを公募していたので、ゴーカーが買い取らせていただきました。

では、どうぞ。

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フォートコリンズに引越したのはコロラド州立大に通うためです。その前はウェブ起業家として小さな会社をいくつか立ち上げました。それが発展したのが、科学・技術を通して人類発展に寄与するオープンソースのオンライン百科事典「Extropedia.org」という大規模なプロジェクトです。

GoogleとYouTubeでこのプロジェクトの調査を行っていた折、リチャード・ヒーニと彼の動画リーズ「Psyience Detectives」を偶然目にした僕は、フォートコリンズみたいな小さな町にも一緒に仕事組めそうな人がいると知って驚きました。

僕はものすごく小さな頃から電磁気学と応用物理学と、こうした概念から発展した技術がどう世界を変えるか、ということに並々ならぬ関心を持ってきました。リチャードも基本的に追求してるのは僕と同じだったのです。彼が言い張っていたのは、例えば、竜巻とハリケーンは気圧の変化で起こるんじゃなく、地球内部で磁極が変わることから引き起こされる現象だ、というようなことです。

3月に僕の方から彼にメールを送って、僕が創設し再ローンチを希望しているExtropediaというサイトの紹介をしました(ここをクリックするとトーマスさんとヒーニ家の間のメールのやり取りがご覧になれます)。

そこから付き合いが発展し、あっという間に連絡なく家に立ち寄って夕食をご馳走になる仲になりました。僕は50年代、60年代の特許の情報を持ち寄って、今使ってるものより遥かに進んでる技術があったと論じ、どうしてそれが実用化されなかったか彼と一緒に考えたものです。

そんなある日、リチャードは自分が抱えている陰謀のセオリーを語り始めたんです。-- 今にして思えば結局それは常軌を超えた、パラノイアだったわけですけどね

 

 

 

スターダムに上り詰めたい、という飢え

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こうして交友を温めている裏では、もうひとつの物語が進行していました。妙な話ですが、「Wife Swap」に1度ならず2度出演したことでリチャードはすっかり有名人気取りで、科学を語るときも先輩面でした。そうして、だんだん僕が貢献しなきゃならないことは少なくなり、ますますリチャードのやりたいことが主体になっていきました。

で、彼がやりたいのは何はさておき、またリアリティーTVシリーズに出ることだったのです。リチャードは「Wife Swap」の製作を助けたABC放送の誰かとやり取りを続けていました。「ディスカバリーの人気番組MythBustersとマッド・サイエンティスト(狂人科学者)を掛け合わせた」という謳い文句で、何か売り込んでいたようです。難解極まりない理論の実験を行い、各種理論の成否証明を試みる企画です。

僕が任せられたのは、彼が正式な企画提案書を用意するお手伝い。52週放映の1話ごとに具体的なテーマを選び、その選定理由を説明する仕事です(企画提案書全文はここ)。

日を追うにつれ、僕は基本的に速記者のような役回りになっていきました。リチャードはハイパーアクティブです。必死でそのスピードに追いつくよう、彼の口から出てくるアイディアをタイプするのが僕。2人で5時間ブレインストーミングしたり、リチャードが湧いてくるままアイディアを5時間垂れ流した暁には、こちらはその考えを字に起こし、清書し、話の流れを整理してすんなり頭に入るようにするのにまた10時間かかる、という具合でした。彼がABCの局の人たちと話す中で出てきた科学理論には、ハイパーリンクも加えて。それで時給は15ドル(1360円)。口頭の約束ですけどね。でもそんなことより僕にとっては、もし仮にリアリティー番組シリーズの企画がABCに通れば、その時には僕もリード調査アシスタントのひとりとして番組に出ることができる、という話の方が重要だったのです。

一般の人向けに難解な科学の話を選んで紹介するアイディアは、僕には非常に受け入れ易いものでした。番組という名目で局の金がもらえるなら、それを本物の実験をやる予算に充てたり、学生や起業家の身分ではとても手の届かない機器の購入代金に充てられるし、電磁、クリスタル形成、新種の素材を使う実験も、可能です。

そんな僕の思惑とは裏腹に、リチャードの方は、やもするとエゴと名誉欲に駆られて動いてる節がありました。

彼は騒ぎさえ起こせりゃ何でも良かったんです。そうしてライバルのリアリティーTVが霞んじゃうぐらい重大な何かに速攻でなれたら、それで。放送も、みんながアッと驚く衝撃的な内容で、自分の露出が最大限になるものが欲しかったんですね。その実現に向け、何ヶ月もがんばっていました。椅子に座って、「実現のためなら何だってやる」と僕に言ったことも、何度かあります。―勝つためなら何だって。

そしてとうとう最後には、奥の手を出してしまったのです。

 

 

 

UFOを使うアイディア(2012年、世界は永久に変わる)

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ある晩のこと。リチャードと座って話していたら、「Wife Swap」に出演した当時の話を持ち出して、自称超能力者の女性の出演者と険悪になった話を教えてくれました。本当にお互い大嫌いだったそうです。リチャードはこう言いました。

「だって考えてもみてよ。うちはWife Swapの第100回放映分に出たんだよ。なぜWife Swapに出た家族の中でうちが一番注目された家族で、うちの出た回が一番注目されたんだと思う? 物議を醸したからさ。人が俺のことを人間としてどう言おうが、それは俺の知ったこっちゃない。現実にどうよ? 俺が誰か知らない人はいないじゃない」

あとはUFOの方面の話題を掘り下げていきました。僕はちょうどその頃、ロズウェル事件の目撃者の報告書についての本を読んでいたんですね。単なる好奇心からです。― 本当に起こった話か、入念な作り話か、それはいくら考えても結論は出ませんでした。そんな話をしていたら、リチャードがこう言ったんです。

「うちがロズウェルと肩を並べるぐらい根深いマスコミ騒動を起こせるとしたらどうだい? それも、気象気球を飛ばして物議の種を撒くだけでそれが実行可能だとしたら。できる方に君ならいくら賭ける?」

以下は、こちらの資料16「ABCに提出する番組企画提案書」からの抜粋です

自家製の空飛ぶ円盤でUFOはおびき出せるのか? 我々は気象気球をUFOそっくりな、飛行物体のスキンを電気でチャージ(ビーフェルド-ブラウン効果:Biefield-Brown Effect)できるものに改造する。その映像はフィルムに捉え、一般に我々の存在を知ってもらう道具としてマスコミを使う。結果、映像に信憑性が生まれるだけでなく、社会に賛否両論の多大な物議を醸し、さらにはメインストリームのマスコミにも宣伝となる。事件は1947年のロズウェル墜落事故以降、最も重要なUFO関連ニュースとなり、ヒーネ家と我々のリアリティー・シリーズ、UFO現象全般の認知度は地方および全国で劇的に高まるだろう。

こう僕に言った時のリチャードのことは今も鮮明に覚えてます。もしこれが成功したら1947年のロズウェル事件以来最も世間に物議を醸し、広く知れ渡るUFOニュースになるだろう、と。

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しかし、彼をモチベートしていた理論は、斜め上いってる理論でした。「レプティリアン(爬虫類型ヒューマノイド:Reptilians)」―地球外生命体が僕らの中に紛れて歩いていて、変幻自在に形を変え、ヒトに化けることもできれば、政府の上層部を動かしているのも彼らだ、という説です。米国建国以降、秘密政府はなんらかの方法でその事実を全て隠蔽した。そして真実を白日の下に晒す唯一の方法はメインストリームのマスコミを使ってリチャードをセレブのステータスに高め、彼と一般大衆の間のコミュニケーションを可能たらしめることなのだ、というんですね。

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週を追うに従い彼のセオリーはますます極論に走り、パラノイアの度合いを深めていきました。その話の多くは2012年に集中しており、その年に黙示録的な瞬間がくるという発想が核にありました。リチャードが好んで語っているのは、太陽爆発によって大規模な太陽フレアが起こり、地球が焦土と化すという可能性のことです。話はエスカレートし、しまいには、もう時間がない、もう時間がない、世界の終わりが来る、と言って、本気で僕を急きたてるようになりました。だから抹殺されるマジョリティーに僕らが絶対入らぬよう、必要な対策を講じなくてはならんのだ、と。

しまいにはこちらも、ただ頭を縦に振って、彼の言うことに調子を合わせている自分がいました。異論を唱えて言い争うより、その方が楽ですから(本稿末尾に収録した音声をご参照ください)。

 

 

 

ウソ丸出しのファルコン君飛行遭難事件

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僕に電話をかけてきて、あの僕が担当した気球がテーマの放送回の筋書き(上)を丸ごと教えてくれたのは友人です。その時、僕はちょうど引っ越した直後でテレビもまだ取り付けていなかったので、何ヶ月も前にリチャードの話をした近しい友人がそれを思い出してくれなかったら、きっとこの事件のことも一生聞かなかったと思います。彼は言いました。「ロブ(リチャードの愛称)、テレビつけてみろよ、今すぐ! おまえさんが一緒に働いてたあのリチャードって男、大々的に売名行為やっちゃってるよ!

リチャードの話は、辻褄の合わないものでした。「ファルコン君が気球に乗ってると思った」と言うかと思えば、「自分がファルコン君に怒鳴ったので走っていって隠れたんだろう」と言う。彼らとは長く一緒に過ごしましたけど、そもそもファルコン君は父親を怖がらない子なんんです。子どもたちがパパを怖がる場面なんて見たことないですよ、一度も。―ファルコン君がどこかに隠れるのも見たことないし、彼は3人兄弟の中で一番人に物怖じしないタイプの子です。

第2に、ファルコン君は車庫のあの屋根裏に隠れたという話になってますよね。あのガレージは僕もよくお邪魔しましたが、ボール盤や溶接の工具がいろいろ置いてあって片付いてなくてグジャグジャに散らかってるんですよ。屋根裏と言ったって、支柱の梁にベニヤ板を渡して繋いだぐらいの、屋根裏とも呼べない代物です。中背の大人の僕だって背伸びして入るのは難しいでしょう。それを6歳の子どもがどう登ることができたのか? 僕には見当もつきません。あの突き出しまで行く簡単な方法はないんです。僕が子どもを抱いて乗っけてあげたら、あるいはそこで休めたかもしれないけど、居心地は良いとは言えないでしょうね。

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ニュースを聞いて僕が抱いた疑念と懸念は、CNNで両親に「どうして出てこなかったんだい?」と尋ねられたファルコン君が「番組のためにやるんだって言ってたじゃん」と言った時、確信に変わりました。 頭の中で灯が消え、鐘が鳴り、警報を吹く音がして、僕は思わずこう呟きました。

「ワオ~、リチャードのやつ、自分の子どもを歩兵に使って、世界のマスコミを揺るがす大芝居を打ってやがる。これで知名度も上がって一時的にはAリストのセレブのステータスも獲得できるわけだ。それでネットワークの関心が引き寄せられたら、万々歳だね」

 

 

 

自暴自棄の代償

人間、自暴自棄になる時期は、自暴自棄な手段に走るものです。本件では、その自暴自棄な状況がとてもリチャードひとりの手に負えるものではなかったのだと思います。リチャードが手がける建設事業は、そんなに好調とは言えなかったんですね。みんな家賃の支払いが心配な苦しいご時世に、家の外観にお金を出す人なんて、探すのもひと苦労ですから。

ヒーニ家と一緒にやった仕事の多くは、チラシを配って、人様の正面玄関のドアに貼る方面の仕事でした。チラシには、屋根の修理や日曜大工全般の商売の宣伝が載っていました。月を重ねるごとにリチャードのパラノイアは指数関数的に強まり、僕の支払いチェックの額面は指数関数的に小さくなりました。ABC放送に出す企画提案書作成のため僕が行った作業の報酬の支払いは、一度もありませんでした。リチャードは、僕に払えるだけの金がないと遠まわしに言いながらも、必ずこう言って僕を安心させたものです。

なーに、最後には全部取り返せるさ

ところが、「最後」にリチャードは、自分の行為がどういう影響をもたらすかも顧みない人になっていました。自分の子どもの無事を祈る人たちのことも、頭にない。この気球の捜索活動で迷惑を蒙った何百、もしかして何千人という数に上るかもしれない人々のことも頭にない。納税者の何千ドルという血税を、無駄に遣ったことも。

ハッキリ言わせてもらうと、リチャードは自らのエゴ(名誉欲)に目がくらみ、才能の使い道を誤ったんです。彼の中に棲んでいるのはただひとつ、有名になってハリウッド流のライフスタイルで暮らすという、鋼の決意だけです。 もうそろそろ誰かがその横面をひっぱたいて、「目を覚ませ! こんなの、重要でもなんでもないことでしょ」と言ってやらなくてはならないんです。

彼には素晴らしい家族もいます。なのに家族は既に大変な非難の的になっています(訳注:日本でもさっそく日本人妻マユミさんの誹謗中傷がすごいことなってますよね...)。特に可哀想なのはファルコン君で、一生「Balloon Boy(気球少年)」として記憶に残るんですよ。最初のデートで女の子に語りたい話とは違うと思います。

僕にとってこれは、大きな経験でした。悔いはありません。リチャードからは非常に多くのことを学ばせてもらいました。僕がなすべきこと...ではなく反面教師に近い面もあるけど。今後のキャリアの道、目標を考える上で勉強になったし、お陰で、こう自問するようになりましたよ。「この世界で価値が見出せるものはなんだろう?」って。ここから導き出される結論は、僕にとって重要なのは友だち、家族、愛する人たちだということ。それ以外のことはみんな些細なことです。

リチャードの2012年終末論じゃないけど、明日世界が終わるとしたなら、みなさんは誰に会いに行きたいですか? メチャたくさん投資家に会って会社とかリアリティー番組の売り込みに行きます? それとも家族や友だちのところに行きますか?

(ライアン記者のトーマスさんインタビューの録音もはっておきますね)

(リチャードさんとファルコン・ヒーニ君の写真はAP経由/爬虫類ヒューマノイドの写真はこちら経由/2012年の黙示録の写真はこちら経由)

Robert Thomas(原文/satomi)

UPDATE:読みづらい箇所を修正しました。