Windows Mobile 6.5レビュー:言い訳する余地もない

2009.10.08 23:00
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次世代携帯OS「Windows Mobile 6.5」(WM 6.5)がリリースになりましたね。WM6.5搭載フォンは「Windows Phone」と名称も新たになります。

こんな門出にWinMo叩きなんて本当はしたくないんですけど、僕個人は期待外れというだけじゃなく、間に合わせという印象受けましたよ。

ギズでもWM 6.5のことは2月にJesus記者が字にして以来、ずっと見守ってきました。開発者向けビルドをインストールする方法も紹介したり。

でも、僕がテスト用にもらった最終版は、あの何ヶ月も前に見たビルドとほぼ一緒なんですよ。外観・仕組みもこっちが既に知ってる通りだし、WM端末が面白い携帯になるようなアップデートじゃ全然ないんです。

ああ、これでWindows Mobile 7のリリース(いつ出るものやらですが)までWinMo派のハートを繋ぎ止めておけるんでしょうか...。


インターフェイス

Windows Mobile 6.5で最初に気づくのが「Titanium」という、MENUスタイルの新しいホームスクリーンです。大きくて、活版印刷っぽい書体で、Zuneに近い雰囲気。これは幸先の良いスタートです。


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各メニューアイテムにはアプリ、機能、ウィジェットへのショートカットも。プレビューっぽい機能が備わってるものがほとんどで、写真のサムネをフリップしてめくりながら眺めたり、ミスった電話を確かめたり、メール、カレンダーのアポ、IEのお気に入りまでホーム画面にいながらにして確認できますよ。

スクローリングは滑らか。6.1で不在が目立った慣性スクローリングってのにも対応してます。新しく入ったロックスクリーンからも情報は表に出てきますけど、量はそんなに多くないですね(テキスト受信通知はしてくれるけど文面までは教えてくれない、とか)。携帯メーカーさんの方で、ほぼ確実に独自仕様のホームスクリーンを被せちゃうはずなので、せっかくのTitanium、一度もお目にかかれないユーザーも多そうです。

さて、次に最も目につく変化はStart Menuですね。マイクロソフトは6.5対応のWindows Phones全てにPCのWindowsキー風味の専用ボタン設置を要求するみたいです。これも目立つし、スムーズに動作するんですけど、最終版というよりデザインの試作品みたいな印象を受けました。例えば! アプリのソートで使えるツールは「Move to Top(一番上に動かす)」コマンドだけ。ドラッグもアルファベット順の並べ替えもできないんです。パズルじゃないんだからと思ってしまいますよ。


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さらに、自分が持ってるアプリが何個あるか調べようがないし、アプリも削除できないし、 自分がスタートメニューのどの「ページ」にいるかも確かめようがないんですよ。アイコンとアイコンの間のスペースが入り乱れてるのも見づらいような...。あとこのWindowsのボタン、これが期待通り動かない曲者で、スタートメニューは開けるくせに、閉じれないんです。

コンテクスチュアルメニューも若干改善が。前と並び方は一緒ですが、表示が巨大になり、親指スクロールも可能になりました。

でも、表面からちょっと掘り下げると、そこには何年も前から基本的に変わってないOSが...。Windows Mobile 6.1そっくりで、あのPocketPC 2002に似てなくもないんですよ。新装備のホームスクリーン、Start Menu、ロックスクリーン、コンテクスチュアルメニューなんてのは単なるベニヤ板。それもあんまり厚みがないベニヤなのです。


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残りの変更点は、目につかないような変更です。スタイラスを使わなくて我慢できる端末にするための、インターフェイス改善がほとんどです(6.5の端末も大体はスタイラスが付属してきますけどね)。デザインを一からやり直したんではなく、6.1を通したデザインのバリューを若干調整し、メニューの空白ここ何ピクセルか足して、そっちはプラスチックな質感のハイライトのグラフィックス足して、ブーン、6.5できた! さあ、ランチ、ランチ。というノリで仕上げたかのよう。


UIギャラリー
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Windows Media Playerアプリも同じ。フォトアルバムは、スクローリング操作が滑らかになって、スワイプのジェスチャーに対応したのがせめてもの救いです。テキスト、メール、ノート、設定ページも古臭い外観で、ペンより大きいもの(特に指)だと反応が鈍るんです。

6.5の開発者用ビルドを何ヶ月か使ってから、6.1に少しの間もどったんですけど、使えなくて困るものなんて慣性スクローリングぐらいでしたよ。


携帯用アプリストア「Windows Marketplace for Mobile」

WMにもついに待望のApp Storeが登場しました!
(今どきアプリストア構えてない会社もないですけど)

インターフェイスはやや中途半端で、Titaniumの大きな書体と、このOSの残り部分に見られる無味乾燥なリストの中間をいく感じなので、文字のフローがちょっと変かも(Zune HDっぽいんだけどあんなキレイじゃない)。アプリはカテゴリ別か検索機能で探せます。ダウンロードもインストールもボタン押すだけ。簡単にできましたよ(アプリのインストーラーの入力画面がちょくちょく出ますが)。


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アプリはかなり安定したペースで雪崩れこんでます。開店から数時間で判定下すのは酷ですが、開店段階の品揃えは少なく、無料アプリも数えるほどで、ほぼ全部マイクロソフト製でした。WMアプリデベロッパーが出してるアプリは高いものだと平気で20ドルもします。


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いや、Marketplaceができたのは歓迎すべきことだと僕も思いますよ。お陰で値段も下がって、アプリ探しもずっと楽になりますよね。でも、iPhone App Storeみたいにデベロッパーが飛びつくか、BlackBerry App Worldみたいにスルーするかは結果見てみないと何とも言えません。

因みにMarketplaceは6.5限定のサービスではありませんよ。6.5向けに書いたアプリは6.1でも6.0でも動くし、その逆も然りです。6.5だけ便利になるんじゃなく、WM全体の成果ですね。

[Marketplaceの特長]
ユーザーは24時間以内なら返品OK
• アプリは携帯・サイトの両方で閲覧可。
• 請求は携帯かCCの請求書に回りますよ。
• 6.0と6.1のMarketplaceは12月スタート!
• Marketplaceでは自分の携帯に対応するアプリのみ表示されます。
• アプリがインストールできるのは内蔵ストレージだけ(手動でならSDカードにも問題なくインストできます)
• アプリ購入はWindows Live IDに連動しており、ひとつのIDで携帯は最大5台まで使えます。―これはやや寛大な計らいですね、サンクス!


My Phone

もうひとつ、6.5注目の新機能は「My Phone」です。これも他のWindows Mobile OS対応の携帯でも使えますよ。My Phoneは超シンプルなバックアップサービスです。米版では既に紹介済みですが、正式リリースに合わせて新機能がさらに加わりました。米版ジェイソン記者も「ファンシー」と見出し打って騒いでます。


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[My Phoneのファンシーな機能いろいろ]
• 遠隔で自分の携帯のデータを一掃できる「Phone wipe」機能
• 携帯の現在地を地図に表示できるので、紛失した携帯、近所の泥棒のランチ休憩場所も一目瞭然!
• 携帯メール(テキストメッセージ)も検索できます。

僕が気に入ったのはこれ ↓
• サイレントやバイブレーションのモードのまま携帯を失くし、呼び出し音で探したい時には、遠隔で携帯のボリュームを最大に切り替えが可能です。

すごいですねー。以上のエキストラな機能は11月30日までは利用無料、その後は7日間のアクセスで$4.99の有料となります(みんな緊急時に使うサービスだし、7日もありゃ十分なんでしょう)。無料で使える機能は基本機能だけですけど、連絡先や写真、その他の情報を毎日、毎週、毎月という頻度でバックアップ取れるのは便利ですよね。ウェブのインターフェイスも良くできてます(米版関連記事)。


ブラウザ

ブラウザは「Mobile Internet Explorer 6」ですね。これはデスクトップで言う「IE6」に対する「IE 7」みたいなもので、Mobile IE 5に比べたら大躍進ですけど、ライバルよりは1世代遅れてます。ちょうどIE7が他のブラウザの後追いで約2年前になってようやくタブやポップアップブロックを加えたみたいなもので。スムーズなパニング、スクローリング、インテリジェントズーミングも実現。Mobile IE 5で表示がギクシャクするCSSとJavascriptのページにも、さらにフル対応しました。


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レンダリングも改善しましたが、あのWebKitほど良くはないです。テキストのフローが妙な具合に変わるんですよ。カラムを必要以上に狭くリフォーマットしてしまったり。Zune HDのブラウザに比べると、まだまだです。

ページの読み込みは遅く(高速なWi-Fi接続でも)、ロード完了後ブラウザに反応が戻るまで、だいぶ時間ラグがあります。みんなOpera(レンダリングがより高速で、ナビも簡単)とかSkyfire(Flash対応が良好)をインストールしたくなっちゃうかも。IE6はFlash Lite搭載です。まあ、無いよりはいいんですが、SkyfireのFlashサポートには敵いませんからね。どっちみち携帯には既にOperaかSkyfireのどちらか1つが搭載になってるはずですよ。売り手だってユーザーには携帯楽しんでもらいたいので。

もちろんIEは完全に削除はできませんよ(マイクロソフトはWindows MobileウィジェットのプラットフォームでIEを使う予定ですから)。


パフォーマンス

Windows Mobile 6.5についてはマイクロソフトも特に高速感をアピールしてませんよね。それもそのはず。ベースは6.1、6.0と同じWindows CE version (5.2)ですから。古ーーーーいんです。アプリの起動は十分高速ですけど、6.1と目に見えて違うほどじゃないですね。それはハードウェアがややパワフルな携帯も同じです(6.1のTouch Proに対する、6.5のTouch Diamond2みたいに)。

WMは実際の遅さより、遅いというイメージを持たせてしまうことがずっと問題でした。Flashyなアニメーションも少なく、アプリをロードして閉じて最小化する動作もちょっと野暮ったく見えるので。6.5ではスクローリングが滑らかになって、ナビも簡単になったので、若干軽く締まって見えるし、ラグも少なく感じます。表面的な変化で、裏で何が変わってるわけでもないんですけどね。

でも、ROMクッカーなんかは何年も前からWindows Mobileからものすごいスピード搾り出してますから、侮っちゃいけませんよね。彼らは6.5のプレリリース版でもビックリするような成果を収めてます。


問題の核心

僕は先月HTC Touch Pro2のレビューを担当しました。人に薦めるには高価過ぎる携帯だけど、ソフトはうれしい驚きでしたね。コンテキスチュアル・メニューには指で触りやすい大きなボタンのスキンもかかってるし、パネルベースのアプリランチャーもあるし、内蔵ブラウザもすごく良くて、バージョンによってはスタートメニューが他のに変えられたりするんですよ。全アプリで慣性スクローリングの操作が使えるし。

でもあの携帯って...Windows Mobile 6.1なんですよね...。

HTCは自社独自のソフトウェア改良によって、6.5の機能をほぼ全部再現したんです。そしたらTouchFLO 3DのホームスクリーンはTitaniumよりずっと良いものになっちゃった。これって全部6.5が出る前の話ですよ? あれに「My Phone」と「Marketplace for Mobile」をインストしちゃったら、6.5にアップデートする理由なんてひとつも思いつかないんじゃないでしょうか。


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要するに何が言いたいかというと、携帯メーカーさんたちもこの2年、マイクロソフト以上にWindows Mobileを良くする努力はしてきたってことです。

Windows Mobile 6.0が2007年2月に発売になってから、アップルはiPhoneを何度もリリースしてきましたよね。3回ですよ。Palmは全く新しいWebOSを開発し、Preを作りました。Androidも無から生まれ、なんだかすごいものに変容を遂げつつあります。RIMはRIMでタッチの携帯作って、その上さらにBlackBerry OSを改造しました。こうした企業にとって世界はがらりと変わってます。

マイクロソフトは? 6.1でパフォーマンスを改善し、新しいホームスクリーンを出しました。6.5ではシワ取り手術もしました。以上おわり。マイクロソフトがWindows Mobileでやったのは、たったこれっぽっちです。

Windows Mobile 6.1が重い腰上げて6.5に変身する、ちょうどその頃、マイクロソフトは僕がこの数年来見たこともないような素晴らしいハンドセットを作りました。そのソフトは才気とひらめきに溢れ、ウェブブラウザは堅牢で、アプリストアも羽がついたような軽さでした。でも唯一問題が!それは携帯じゃなくて...Zune HDだったんです!

WMとZuneでは直接プラットフォームが比べられないことぐらい分かってます。Zune OSはスマートフォンで使ってもそんな良く動かないし。でもZuneはテイストが素晴らしいですよね。一体どうしてZune HDのブラウザの方がMSのスマートフォンOSより良いんでしょう? これじゃあ、まるでZuneチームが携帯担当に恥かかせようとした風にしか見せませんよ? 実際そうなんですけど...。


まだまだ

6.5対応製品の第1陣を見る限り、OSが変わったとは気づけない人がほとんどでしょうね。TouchFLOやTouchWizなどの代替インターフェイスはそのまま残るだろうし、外観も変わらないだろうし、搭載アプリも変わらず全部互換ですからね。

Windows Mobileを買う人は、おそらくサードパーティーのインターフェイスで選ぶ人かもしれませんね。もちろん今持ってる人は勤務先の使用機種だったり、WMのソフトがどうしても必要な人だろうし、これからも使い続けるでしょう。

でも、アプリメーカーさんたちのMarketplace進出の足並みはノロノロしそうです。Windows CE 5がベースのOSがあとどれぐらい残るか読めないので...。Windows Mobile 7が出るのは当初の予定通り来年4月でしょうか? (来年12月とか言わないでくださいよ) それまではトボトボ長く辛い強行軍になりますね...。

6.5の技術革新不足は、プロジェクトが後回しにされた結果出た症状なんでしょうかね...。Windows Mobile 7が出るまで何か繋ぎが欲しいマイクロソフトですけど、スティーブ・バルマーCEO自身があっさり認めたように、この2年マイクロソフトはただ間違った方向に闇雲に進んでしまったのかもしれません。助かったのは他社です。みんな(ノキア以外?)この機に乗じて、びゅんびゅん追い越してってしまいましたよ...。


[Microsoft] 関連:Cnet

John Herrman(原文/satomi)
 

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