CIA極秘マニュアルに記された、スパイの華麗なるマジック

CIA極秘マニュアルに記された、スパイの華麗なるマジック 1

冷戦の頃、CIAは当代一流の手品の名人を雇い、敵の目を欺く手練手管をスパイにみっちり仕込んでいました。これから紹介するイラストは、当時使われていた最高機密マニュアルからの抜粋です。

米政府が30年以上も前に焼却処分したはずの「マジック」日誌のひとつを、元CIA勤務のBob WallaceさんとKeith Meltonさん(共著にスパイ専用ガジェットのバイブル『Spycraft』)が発掘し、そこに記されたマニュアルの一言一句を採録、新刊『The Official CIA Manual of Trickery and Deception』として今月発売したんですね。

同書ではマニュアル以外にも、機密扱いが解かれたCIAの騙しのテクニックの歴史を始まりに遡って解説しており、あの超トップシークレットの「MKULTRA(CIAマインドコントロール機密プロジェクト)」部門結成の裏事情にも触れています。

MKULTRAは1973年、永久に歴史から抹消されるはずだった組織ですが、そこはスパイのこと。書類の一部がシュレッダー処理から漏れ、結局その情報の断片から歴史の全容が明らかになったのです。

発見されたマニュアルの書き手はジョン・マルホランド(John Mulholland)という、今で言うデイビッド・コッパーフィールドやデイビッド・ブレインのような大御所マジシャンです。脱出王ハリー・フーディーニ(Harry Houdini)亡きあと、目にも止まらぬ手さばきでマルホランドの右に並ぶ者はなかったわけですが、相手はスパイ。マジックはプロとは限りませんよね。まかり間違えば拷問や処刑が待ってるだけに、教えるのは大変だったようです。

CIAは瓶詰め工場から脱出する方法から、友だちに毒を盛る方法靴紐の結び方で暗号メッセージを送る方法紙を盗む方法馬鹿を装う方法までスパイに伝授していました。もちろん、カストロ殺害方法も。

以下のイラストにはマルホランドが書いた原本のマニュアルにないものも混じってますが、どれもラングレイ(CIA本部所在地)で考案されたものです。

 

1. 瓶に紛れて脱出する方法

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光の屈折のお陰で荷物の中に人がいるとは分からない。

2. 馬鹿に見える方法

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(左)ふつうの顔/(右)馬鹿を大袈裟に演出した顔。

顔の筋肉が緩めば緩むほど、目の焦点がボケればボケるほど、効果は大きい。これを適度にやることで単なる集中力散漫、無関心を示すことができる。

3. JIB

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グリップの操作で首を回したり、土台を折りたたんで上下に調節できる。

4. 靴紐で暗号を送る方法

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いくつかバリエーションを考えておくと、サインを送るのに使える。

5. 毒を盛る方法

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マッチを摺ったら、すかさずその左手を下げて実行。

6. 隠し銃

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(上)シングルショットの22口径の発砲装置「CIA STINGER」を忍ばせた歯磨きチューブ。(下)一見Paper Mate社のボールペンだが、中にカストロ暗殺工作用の皮下注射器が隠れている

7. 開くコイン

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縁のそばを強く押すと開く。

8. 紙を1枚抜く方法

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堅い面にワックスを軽く塗って押し付けると、紙がくっついてくる。しめしめ。

イラストを共有してくれたBob WallaceさんとKeith Meltonさんに感謝! 本書はアマゾンで2105円にて発売中です。スパイを愛する人すべてに薦めたいですね。詳しい情報はBob WallaceさんとKeith Meltonさんの新サイト「CIA Magic」で是非どうぞ。

Wilson Rothman(原文/satomi)