JPEGを捨てて街に出よう! RAW画像のススメ

JPEGを捨てて街に出よう! RAW画像のススメ 1

デジカメユーザーに声を大にして伝えたい!

私はデジタル一眼レフカメラ2005年から使っていて、生まれたばかりの子供とユタ州の渓谷への旅行は全部JPEGフォーマットで写真をとりました。たいがいはJPEGで十分なんですが、今ではRAWで撮らなかったことを激しく後悔してます。

詳しくは続きを読むからどうぞ!

 

まずRAW画像はJPEGの約3倍ファイルサイズが大きく、さらに後処理を施さなければなりません。その代わりにさらなる高画質フレキシビリティがあり、一長一短です。ところがここ昨今画像処理ソフトウェア性能向上が著しく、RAW画像の長所は際立ってきましたよ。

そこで最近は友人にRAW画像で撮ることをオススメしてます。特に写真が好きで重要なイベント、例えば友人の結婚式の写真を撮る人には。

この後にISO 25600で撮影した比較画像をおいておきます。これだけみてもRAW画像の優位性が示せるかちょっと自信がないですけど、JPEGフォーマットとどう違うかは見て取れることでしょう。

RAW画像とは何か?

まずデジタルカメラは光をとらえるために格子状にセンサーを配置したイメージセンサーを使っています。カメラはイメージセンサーでとらえた光を画像処理エンジンを使ってJPEGフォーマットへ変換しています。ところがRAW画像は画像処理せずに、イメージセンサーで得られた情報そのままを記録します。ひとつの問題はこのRAW画像の標準フォーマットは存在せず、メーカー独自でなおかつ各カメラによっても違うことがあります。

一方、RAW画像に対応した画像処理ソフトはいくつも出ています。例えばAdobe Photoshop、Photoshop Lightroom、Apple Aperture、DxOのOpticsPro、Phase OneのCapture Oneなどなど。

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各RAWフォーマットが違うということは、これら画像処理ソフトは頻繁にアップデートして対応しなければいけないことを意味します。最近ではデジタル一眼レフカメラだけではなく、ハイエンドデジカメもRAWサポートしはじめました。例えばパナソニック LX3、GF1、キャノン S90、G11、そしてオリンパス E-P1、E-P2

ここでさらに詳細を見ていきましょう。

まず各ピクセルについて。液晶ディスプレイなどでは各ピクセルは赤、青、緑を混ぜることでカラーを作り出しています。しかし多くのイメージセンサーでは各ピクセルは赤、青、緑のいずれかの色しか感知しません。「逆モザイク」とよばれる処理により、ベイヤーパターンと呼ばれる画素配列(最初の画像)から最終的なカラー画像を作り出します。

次はホワイトバランスの問題。デジタルカメラは手元のWBを変えるだけで黄色っぽいろうそくの光から白い太陽光、そして蛍光灯の青白い光を調整して見たままの白さに調整することができます。ただこの処理はJPEGフォーマットに変換したときに焼付けられてしまい、後から変更できません。RAW画像にしておきたい大きな理由の一つです。

最後にJPEGフォーマットの各ピクセルはRGBそれぞれに8ビット値、つまり256段階の階調しかもちません。RAW画像ならだいたい12か14ビット値で、4096か1万6384階調で濃淡を表すことができます。素晴らしい。

RAW画像があなたにもたらすもの

RAW画像にしてしまうとファイルサイズはでかいし、友達に送ろうにも処理しなきゃいけないしと手間がかかるのも事実。しかしそれでもRAW画像でとることをオススメする理由があるんです。

経験あふれるプロカメラマンなら一発で綺麗な写真をとることができるでしょう。でもアマチュアカメラマン露光オーバーしたり、アンダーだったりします。階調表現が12か14ビットとワイドなRAW画像ならこれを画質劣化なく調整することが可能です。

「RAW画像での撮影は、JPEG画像よりも許容範囲が広いといえるでしょう。たとえちょっと撮影に失敗したとしても、後から修正することが容易です。」とオリンパス・アメリカのデジタル一眼レフカメラ・プロダクトマネージャーのRichard Pelkowskiさんは言います。そして「オリンパスユーザーにはRAW画像とJPEG画像を同時に生成するモードをお勧めしています。これならJPEG画像で簡単に友達に送れますし、RAW画像もあるので修正も効きますので。」とのこと。

アーティストのJonathan Machenさんはコンデジから一眼レフカメラに乗り換えました。

Machenさんいわく、「私がカメラに求めるのは、肉眼で見たままの光の加減を焼き付けることなんだけど、だいたい無理だってことに気づいてきたよ。特に動きの早いファミリーの写真はね。明るかったり暗かったり、色々な場所で動き回るキッズを撮るのにいちいち『写真とるから止まって!』なんて言ってられないし。」

最近レストランでディナーをとった時、人懐っこい犬がよってきて写真を撮ろうとしたときのこと。完璧にカメラのセッティングを間違えてしまったそうです。「写真とったらさ、もうほとんど真っ黒なんだよね。ところが後で処理したら画像が蘇って、私もマイワイフもニッコリさ。」

もちろん間違いさえ犯さなければいいわけですが、そうでなくともRAW画像はテカリ気になる影を和らげることもできるんです。実際に私が体験した中でいえば、暗い部屋の中で撮った生まれたての我が子の写真を調整したり、物凄い明るい太陽と渓谷で作り出されたくっきりとした影からディテールを蘇らせたりできましたよ。

ホワイトバランスを後から調整できるのも、美点のひとつ。よくあるのはイベントやカンファレンスの登壇者の顔が黄色くなってしまったり、抱きかかえた子供の顔が影になって青白くなってしまったのを調整すること。

パリに本拠地をおくDxOのセールス&マーケティングディレクター、Cyrille de la Chesnaisさんは最近のPCの性能向上により、レンズ歪みイメージセンサーのノイズ補完することもできると言います。「レンズ歪みの調整やノイズ低減はやはりJPEGよりもRAW画像の方が効果が大きいですね。」とのこと。

ムーアの法則はRAW画像にも効く

ここでRAW画像の長所以外、PCの性能向上について考えてみます。「逆モザイク処理」は非常に複雑な処理ですが、PCの性能向上、特にマルチコア技術の恩恵を受けてます。

デジタルカメラでは画像処理エンジンが必ず搭載されており、撮影後JPEGフォーマットに変換するのに使われています。これが凄いのは撮影とともに瞬時に処理が終わることで、このチップの性能向上も目を見張るものがあります。

もしJPEGからRAW画像を使うようにすればこの画像処理エンジンの性能に頼ることも不要です。なぜならあなたのパワフルなPC上で処理をすればいいし、しかもソフトウェアは最新にすることもできるのですから。

Adobe、LightroomのプロダクトマネージャーのTom Hogartyさんは「このデジタルネガ画像をみれば、技術進歩は一目瞭然です。」といいます。

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Hogartyさんは、有名な風景写真家 Ansel Adamsさんによる写真をみせながら、こう続けます。「以前のプリントは階調表現が不十分でした。しかしプリントの技術も日進月歩ですから、階調情報は多い方が将来性があるのです。プリントしたものがすべてで、その後技術向上しても画質向上しないなんて寂しいでしょ。」

11月にリリースされたDxO Optics Pro 6と10月に出たLightroom3 β版はどちらもRAW画像からよりよい画像を取り出すことができます。De la Chesnaisいわく、DxO Optics Proはノイズ除去機能が向上しており絞り値に直すと1ほど絞れるのだとか。つまり暗い場所でノイズを嫌ってISO800を使っていたとしても、これからは気楽にISO1600を使えることを意味します。

それにしてもノイズ除去機能は複雑な問題を抱えています。低周波ノイズパターンはしばしば赤や青のボツボツが広がったり、ピクセル間の輝度や色合いさえも悪くします。オリジナルの色あいや

解像度を保ったままで、印象派のようなボツボツがないのが良いノイズ除去と言えるでしょう。

この他ソフトウェアに関連する美点としては、処理しているうちにこう撮影しておけばよかったということがわかる点でしょうか。私の経験では最初露出オーバーだったりアンダーだったとしても正しい露出値がなんとなくわかり、その他の設定を含めて次の撮影に活かすことができます。

RAW画像は万人向け?

いいえ、そうは思いません。ただ今よりもっと多くの人が使っていいでしょう。

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Facebookに写真をアップするとき、ノイズだらけの歪んだ画像を正すいい機会です。サンフランシスコに住んでいるRobert BalousekさんはRAW撮影をし、Adobe Lightroomで画像処理をしてます。

Auto-fix(自動修正)ギャンブルだね。」と彼はいいます。「ぼくは自動修正を全部の画像にはかけず、いくつかにしかしない。というのもたまにいい感じになるけどだいたいは今一歩。ぼくは専門家じゃないけど、どんな感じにしたいかは分かっている。」

もしもあなたがプロでなくても、もっといい写真にしたい旅の風景をより綺麗に収めたい超写真好きで全部Flickrにアップしている両親の写真を引き伸ばしてプリントをするというのなら、RAW画像を使いこなした方がいいです。

昨今のソフトウェアであればRAW画像をマニュアルで使いこなすのもずいぶんと楽になってきました。ApertureとLightroomは多くの写真を一度に処理することができます。自動修正機能もずいぶんと改良されました。WindowsもMac OSX同様のサポートを受けられ、従来アイコンやファイルネームでフォルダ内の画像ファイルが表示されてましたが、サムネール表示ができるようになります。

実際問題RAW撮影をするとメモリカードにハードディスク、それにバックアップまで含めるとずいぶんと容量を食ってしまいます。しかし昨今1.5TBのハードディスクが100ドル以下、8GB SDメモリカードが20ドルで変えるご時世、巨大ファイルもそんなに苦じゃなくなってきました。

標準化が世界を変える

現在様々なRAWフォーマットが乱立していて、OSや画像処理ソフトはそのサポートに苦しんでますが、RAWフォーマットの標準化が助けになりそうです。Adobeの Digital Negative formatはAdobeが長らくコントロールしていましたが、国際標準化機構(ISO)へ標準化提案を行いました。

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DNGは今まで情報を付加する方向で改良されてきました。例えばニュートラル、風景、ポートレート写真といった撮影情報の付加や「opcodes」と呼ばれるレンズの情報を付加し、レンズの光学特性の自動調整に使ったりしています。DNGはメタデータも持つことができ、コピーライトや画像処理情報を入れられる一方、オリジナルRAWデータに変換することもできます。

メーカー側の対応ではペンタックスはDNGサポートを推進している一方、ニコンキャノンといったトップメーカーは相変わらずなしのつぶてです。Hogartyさんは標準化の動きでこの状況が変わることを願っています。

「メーカー側が懸念しているのは、このフォーマットがAdobeによるものだからだろう。実際問題DNGをサポートしているカメラは現在ほとんどないが、だからこそISOによる標準化を推し進めて、標準フォーマットとして各メーカーに採用してほしい。」

究極をいえばHogartyさんはもっとRAW撮影が広がって欲しいそうだ。

「現在のメインストリームは写真を綺麗に撮影することが中心で、編集や修正といったものは重視されていない。しかしRAW画像処理によってさらに写真が綺麗になるのであれば、もっとハッピーになれるはずだ。」

とはいえ、長い間RAW画像はスナップショットを撮る一般ユーザーを振り向かせられなかったのも事実。しかしそれはもう過去のもの、技術の進化が解決しました。

もしまだRAW撮影にためらいがあるのであれば、まずはRAW+JPEG撮影を試してはどうでしょう。RAW画像で混乱したくないのも分かりますけど、こんなに利点があるのを見逃す手はないですよ。

[初出:CNET

By CNET(原文/野間恒毅)