ノーマン・ロックウェルは元祖キング・オブ・フォトショップ

ノーマン・ロックウェルは元祖キング・オブ・フォトショップ 1

          

某百貨店の影響かな?この時期になるとノーマン・ロックウェル思い出しません?

ということもあって、今日はノーマン・ロックウェルのお話。彼がSaturday Evening Post誌で有名になっていた頃、Adobeなんて存在すらしていませんでした。でも、この新しい本でノーマン・ロックウェルという画家はフォトショップの神様だ!ってことが、はっきり見えたんです。

ギズモードの読者でも、ロックウェルが最後のSaturday Evening Post誌のカバーを塗装した時に生まれていた人は少ないと思いますけど、みんな彼を知ってるし名前を聞けば、すぐにマンガっぽくてドラマチックだけど、田舎の古き良きアメリカンライフを描写した絵が目に浮かんできますよね?個人的には特に感心がありませんでした。

でも、ロン・シック著Norman Rockwell: Behind the Cameraは、ロックウェルという男を改めて尊敬するような新しい発見をさせてくれました。例えば、ロックウェルが思い描くアメリカのファンタジーを絵にするために大道具とセットをDIY したり、本物の人間をモデルにして細部にいたるまで正確に描写した写真。徹底っぷりを感じました。

この本には、絵以外の事も書いてあるんです。ロックウェルの絵に不可欠な存在シックは、本の著者でもあり、ロックウェルの絵の元となる写真を撮影し、アートディレクションもしていました。本の中では、まずイラストを観てから、イラストの元になった写真を観るという構成になっているんですけれど、写真と絵を見比べると一目瞭然。全く同じじゃないんです。はシックが撮影したいろんなショットの中から、ロックウェルが少しずつ要素を取り入れて1つの絵を完成させているんです。例えば同じものを皆で指差している絵でも、実は一人ひとりが別々に撮影されていたりすることも。

シックの写真は絵と同じぐらい素晴らしくて印象的です。分厚い本の上につま先立っている少年がいたり、ロブスターの罠にはまった裸のマーメード姿になっちゃった女性、ロックウェルスタイルの表情をした男女などなどいろんな写真があるんです。この写真のモデルは、特にモデル事務所に所属しているような人ではなく、彼の仕事をお手伝いしたいと思ってくれる友達やご近所さんたちでした。ただ、ヘンテコな表情になちゃったりして、出来上がった絵に必ずしも満足はしていない場合もあったかも!?

ロックウェルは、商業的に最も成功した芸術家の一人なので、あたりまえですが彼の絵と写真の権利は、慎重に管理されてきました。でも、出版社が親切にも下記の本の表紙と2枚の絵を使わせてくれたんです。

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Going and Coming(1947)

この本の表紙になってる、家族で夏休みでお祖母ちゃんの家をたずねる車から、少年が乗り出しているイラスト、見覚えがありますよね。そして、写真と見比べると、写真にはいない人が絵には登場してますよね?これは、ロックウェルのスタジオで別々に撮影されたモデルを彼が、ここにいたらいいな。と思った場所に描きこんだんです。

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Circus(1955)

私が、この絵で好きなのはサーカスを階段状の観覧席から観ている家族の絵をリアルに描くために、机の上に椅子を置いて元となる写真を撮影してるところ。普通の光景ではありえないようなオバカな撮影風景。なんか楽しそうでいいですよね。そして、ここでも写真にいない人たちが絵の中に登場。前の方にいる人に見覚えがあったりします?ロックウェルはいつでも、彼の絵のために彼自身モデルとして協力していたらしいので、そのせいかも!?

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Man's Tracks on the Moon (1969)

はい。ここに月面着陸がニセモノだったという証拠をご用意いたしました!なぁんて、これはロックウェルがイラスト用に撮影したもの。NASAは彼の作品が大好きだったので、宇宙服とヘルメットを快く貸してくれたり、黒いビニール越しにApollo月着陸船の周りをムーンウォークする姿を写真に収めることを許可してくれました。覚えておいてください。これは、Apolloが新品で冷戦が本格化している頃なんです。なので、NASAの最新のオモチャに近づけるなんて、すごいことだったんです。

Behind the Camera は、いろんな角度からロックウェルをとらえていて、それまで知らなかった事がいろいろ書かれています。彼は積極的に発言する人権活動家で、彼の絵の多くは、人種間関係が扱われている事とか。彼の絵のなかに、2人の殺害された男性の絵があるんですが、一人は黒人で、もう一人は白人。写真では、カーペットの上に生きている2人の男性が目をつぶりながら並んで横たわっていました。また、小さな黒人の少女が、学校までアメリカ人の警察官と歩いている絵があるんですけど、ロックウェルはピンと張りつめた緊張感を非常に細部まで描き込むために、たくさんのクローズアップショットを要求したそうです。

出来ることなら、この本の中の100枚をギャラリーで展示会をしたいです。全てのページが、いろんな意味でハッっと驚かせるものばかりだったから。絵の向こう側に存在する現実にいる人々に会ったり、全ての絵が見事に計画された写真で構成されている事を学んだり、いつでも白黒のものに芸術家が彼の想像で色を加えていった事がリアルに伝わってくるはずですから。本当に、ロックウェルは、元祖フォトショップの神様です。僕のノーマン・ロックウェルへの認識がかなり変わりました。もう軽く見たりしないし、実は言い過ぎかもしれないけどちょっと崇拝しちゃうかもしれません。

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-Wilson Rothman(原文/junjun )