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1880年代日本の彩色写真とファルサーリの物語

2010.02.25 15:00 [0] [0]

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黒船来航1853年、開国1854年、そしてこれが1880年代の日本。

撮ったのはアドルフォ・ファルサーリ(Adolfo Farsari)です。過ぎし日の世界を今に伝える写真。息を呑むばかりですね。

写真に劣らず興味が尽きないのが、ファルサーリの生涯でしょう。

北イタリア生まれ。ナポリで陸軍入隊。借金から逃げるようにアメリカに渡り、奴隷制廃止運動に傾倒し南北戦争では北軍に入隊します。書物だけ頼りに独学で写真を覚えて独立、小金持ちの未亡人と結婚。2人の子宝に恵まれながらも離婚。またまた逃げるように単身日本に渡って横浜で写真館を構え、土産物や出版物を手広く扱う会社を起業します。

なんかよくわからないけど、日本初(?)のガイドブックも自分で調べて出してたみたいですよ。晩年はホームシックでイタリアに帰ってしまいますが。

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カメラ大国日本で最初に写真が盛んになった街は横浜と長崎。

1860年代から横浜には、同じくイタリア生まれで英国の新聞社の特派員として1963年幕末の日本に来たフェリーチェ・ベアト(Felice Beato)を筆頭に、彼から写真館を買取ったオーストリア人シュティルフリート男爵(Baron Stillfried)、関東初の商業写真館を開いた下岡蓮杖(Shimooka Renjo)、坂本竜馬・高杉晋作の写真を残した上野彦馬(Ueno Hikoma)など、名うての写真家が大勢集っていました。彼らが残した古き良き日本の写真は「Yokohama shashin」と総称されます。

ファルサーリの来日はフェリーチェ・ベアトから遅れること10年(1873年)。シュテルフリート男爵の弟から写真館を受け継いだのは、そのまた10年後の1883年です。1885年には日本人女性との間にキクという女の子が生まれます(晩年イタリア帰国のとき連れ帰って親族を驚かせた)。

やがて日本人写真家との競争が激しくなり、気づいた時には外国人は、技術に定評のある彼ひとりになっていました。
 

ファルサーリは写真をスタジオでセピア色に焼き付け、日本の職人さん(絶頂期には40人も抱えていた)に丁寧に彩色を施してもらっていました。これはフェリーチェが持ち込んだ技法で、欧州ではまだ普及してないものでしたが、日本人は浮世絵で慣れてるせいか上手だったそうですよ。今のアニメーターみたいな感じですかね。

東洋随一の大物フェリーチェが事業に行き詰まって日本を去ったのに、ファルサーリには商売の才覚もあったようで、アマチュア写真家が増えたと見てとると、すかさず暗室を無料で開放し、帰りに土産物を買ってもらえるようにしました。

こうしてファルサーリの写真は、欧米から遠路遥々日本に訪れる裕福な観光客の間で好評を博します。1889年横浜に寄ったイギリスの作家ラドヤード・キップリングも、彼を贔屓にするひとり。インドの新聞にこう書いてますよ。

「ファルサーリは感じのいい、風変わりな、芸術家魂を持った人で、その作品の質のためにお金を払わねばならないのだが、彼の商品は払うだけの価値がある。通常彩色された写真は大抵の場合、酷いものだが、ファルサーリの彩色はその仕上がりがとてもよく、この素晴らしい国の光のトーンを蘇らせている」(ソース:イタリアと日本の関わり-アドルフォ・ファルサーリ

130年前の限られた技術でこれだけのものが残せるなんて、ファルサーリの技術の確かさ、構図の巧みさ、情感と表現力には舌を巻きます。失われゆく日本に彼が居合わせた幸運に感謝しなくては。


[Quazen] 関連:イタリア、とりわけヴェネツィア
(幕末・明治期日本の写真は長崎大図書館の日本古写真DBも必見です)

Brian Barrett(原文/satomi)
 

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幕末ニッポン ベアトの見た風景2 魚屋

ベアトの世界感をミニュチュアで。




 

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