電子書籍はもっと安くならないのか? リアル書籍とコスト構造を比較!

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なかなか厳しいようです...。

電子書籍から比べると、従来型のリアル書籍はまるでコストのかたまりみたいに思えてくることがあります。紙代、印刷代、倉庫や配送の費用...。そういうコストがなくなるんだから、平均的な価格になりつつある12.99ドルって高すぎやしないかとすら思えてきます。が、ニューヨーク・タイムズによると、そうでもないらしいです。

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このチャートは、主要な出版社へのヒアリングをもとに、リアル書籍のハードカバーと電子書籍の平均的な収入とコストをまとめたものです。

これを見ると確かに、現状では電子書籍のほうが1冊あたりやや高い利益が得られるようです。が、だからといって一気に価格を5ドルとかにすべきじゃないか?というのは早計のようです。以下のような理由があるからです。

1)電子書籍の売上は現在、書籍市場全体の5%にも満たない

2)価格を下げると、リアルの書店、特に小規模な個人経営の書店が生き残れなくなる

3)リアル書籍市場では、ハードカバー発売後に、安価なペーパーバックを大量に販売してなんとか利益を出していた。が、電子書籍ではそれができない(特にハードカバーの価格が最初から下がってしまったら無理)。

4)オフィスの家賃やら従業員の給与は、この4ドルちょっとの利益から出すので、この部分を削るのは厳しい。

5)とにかく出版とは儲からない事業で、利益を出している出版社なんてほとんどない。

いずれの理由も業界側の都合ですが、とにかく出版社が電子書籍価格を自ら下げるとか、DRMフリーの電子書籍を出すとか、そんな期待はできなさそうです。出版業界は、音楽業界の二の舞になることだけは避けようと必死なのです。そもそもものすごく薄いマージンの上でやってきましたし、過去数年すでに出版業界は厳しい状況ですからね。

ちなみに、アメリカと日本では出版流通の仕組みが違うため、コスト構造も違っています。特に違うのは書店への支払いです。アメリカでは、書店が書籍売上の半分程度をもらえるようになっているようですが、日本では、書店と取次が合計で約3割程度となっています。

ただし価格もかなり違っていて、アメリカのハードカバーが平均26ドル(約2300円)もするのに対し日本のハードカバーの書籍は1000円台前半が中心です。いずれにしても薄利で、電子書籍を安くしてくれるゆとりなんてなさそうです...。

[NYT]

matt buchanan(原文/miho)