「サムスンはアジア一番の汚職企業」金勇澈の暴露本が韓国で総スカン

「サムスンはアジア一番の汚職企業」金勇澈の暴露本が韓国で総スカン 1

贈賄、わいろを受け取る検察、脱税、裏金。―まるで暴力団かヤクザの世界ですが、2月出版の新刊「Think Samsung」を書いた金(キム・ヨンチョル、Kim Yong-chul)さんによると、これみなサムスンで行われていること、だそうですよ。それも日常的に。

金さんはチョン・ドゥファン(Chun Doo-Hwan)汚職追求のスター検事として1998年サムスンに引き抜かれ、以後2004年までサムスンの法務顧問トップを務めた人物です。2007年11月には政官財の癒着を告発して一躍時の人になりました。その詳細を474ページにまとめたのが、この本です。

でも相手はサムスン、今や収入高で世界一の家電企業で、韓国で最も「批判を許さない会社」(ニューヨーク・タイムズ)、その権力は絶大です。韓国では大手新聞社が軒並み広告出稿を拒否し、書評で取り上げる雑誌もほとんどなく、ベストセラー入りを伝える新聞も書名・著者名は一切出さない、という村八分状態。孤立無援の中、応援についてくれたのはカソリック教会だけ。当のサムスンは告訴もせず、完全無視です。

無視するのも当然で、本の内容は信じられないような話のオンパレード。お金が人の手から手に巡っていく様には愕然とするばかりです。

金氏は、李(イ・ゴンヒ、Lee Kun-Hee)サムスン会長とその取り巻きが子会社から10兆ウォン(90億ドル、8470億円)の資金を盗み、役員名義で違法に開いた借名口座に隠し、株で運用したと非難している。

本によると、帳簿をシュレッダーにかけ、証拠を捏造し、政治家・公務員・検察・裁判官・記者にわいろを贈ったその主な目的は、李氏が違法に進めていた一人息子・イ・ジェヨン(Lee Jae-yong、41歳)への会社経営権受け渡しを邪魔立てされないようにすることだったという。(ニューヨーク・タイムズより)

 

 頼みの検察庁は借名口座を見つけたはいいものの、李会長が先代の創業者から受け継いだ資産の運用口座であり「贈賄を示す証拠はなかった」と結論づけました。わいろ受け渡しを手伝った当の金さんが、送り先の検事のリストを渡しても、です。ゴルフバッグ一杯に現金が届いた女性議員がいても、ですよ。

「私がこの本を書いたのは子どもたちが、韓国では正義が勝つのではなく、勝つ者が正義になる、そう信じる大人に育つのを恐れたからだ」

とNYタイムズに語る金さん。サムスンはメディアに圧力はかけてないと言ってますが、ある大学教授がKyunghyangの日刊紙に金さん本を絶賛しサムスンを批判するコラムを書いたところ、掲載拒否されたそうですよ。自粛? 

新聞やマスコミの助けはないものの、Twitterやブログのクチコミで金さんの本は12万部を売り上げました。韓国のノンフィクション本としては好調な売れ行きです。しかし本の成功と引換えに失ったものも多く、ほとんどの友人や知り合いは金さんの元を離れてゆき、近頃はもっぱらサムスン製品ボイコット運動の音頭に明け暮れる金さんでした。

[New York Times, Image: NYT]

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Jack Loftus(原文/satomi)