世紀末は石牢です。世紀の大噴火から酔っ払いを救った石牢

世紀末は石牢です。世紀の大噴火から酔っ払いを救った石牢 1

カリブ海に浮かぶ島マルティニーク。

98年前の春5月、昇天祭の当日この島を襲ったプレー山噴火は「20世紀最大の噴火災害」とされます。

噴煙が天高く舞い上がり、火砕流がみるみるサン・ピエール全市を呑み込み、住民3万人以上が死亡。--停泊船の約100人を別にすれば、生き残った島人は舟で命からがら洞窟に逃げた少女(後に沖合で発見)と靴職人(本人は「地下室にいた」と証言。でも専門家の意見は「海に飛び込んだのではないか」)と、あとひとり。

酒癖の悪い常習犯で、噴火前夜も酔っ払い喧嘩で空気孔1個の粗末な半地下牢に放り込まれていた囚人ルッジャー・シバリス(Ludger Sylbaris)だけでした。

シバリス(当時27歳。ジルバリスと書く人も多い)は噴火から4日後、石の壁を漏れ出る声を聞きつけた救助隊の手により無事発見されます。華氏1075度(摂氏580度)の熱雲からくる高熱で肺は傷んでいましたが、独房のお陰で命拾いした稀有な人です。

現地を訪れた方がここに書いてるように、日本では新田次郎の短編小説『熱雲』(文春文庫『ラインの古城』収蔵)の主人公ジャンのモデルにもなってますが、現実にはどうしようもない酔払いなのに、小説は実直な男になってるんですよね...いや~事実は小説より奇なり。

後に釈放されたシバリスは、バーナム・アンド・ベイリーのサーカス一座に入り、「この世の終わりを生き抜いた男」として噴火体験談を語って暮らしましたとさ。

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B&Bサーカスのポスター。「唯一の生存」とある

[Atlas Obscura and San Diego State University via io9]

Kat Hannaford(原文/satomi)