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【Giz Explains】3Gでの動画ストリーミングがダメな理由

2010.05.13 13:00 [0] [0]

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携帯電話で、3Gで動画を見ようと思っても、画質が低いとか、途中で止まるとか、パソコンで見るようにうまくいきません。携帯電話でこれだけいろんなことができる世の中なのに、不甲斐ない!のですが、技術的にいろいろハードルがあるのです。


無線vs.有線

そのハードルとは?なぜ、携帯キャリアがボタンを押したら魔法のように速くなる、ことがないのか。

まず、現実はそんなに魔法のようにはいかないのです。ケーブルや光ファイバーのような有線でのブロードバンドでさえ、年間で数十億ドルというコストが新しいインターネット回線のために必要です。そんな投資をしてもさらに、動画やtorrentファイルのような大容量データの負荷で帯域がパンパンになって、通信キャリアが、グーグルなどのコンテンツ事業者も金を出せと言い出したりして、対するネット企業からネット中立性が主張される、みたいな流れになっているくらいです。

これが無線ブロードバンドになると、さらに次のような制約がかかってきます。

スピード: 何があろうと、有線のほうが無線より速いです。電線に電気信号を流すとか、ファイバーに光信号を流すとかの方が、空気中に電波を流して誰かに拾われるのを待つより効率が良いに決まっています。

信頼性: 仮に無線信号を安定受信できたとしても、信号の強さは可変です。それは単に、携帯基地局とかホットスポットからの距離だけで決まるものではなく、それらと端末の間の障害物によっても影響されてしまいます。

コスト: 無線で有線と同じ帯域を提供しようとすると、コストは高くなります。電波には上に書いたような制約があるために、電力がたくさん必要になるからです。また、電波を利用する権利を買うためにもかなりの金額が必要になります。

そんなわけで、とにかく、有線に後れをとるのは無線の宿命なのです。802.11nがどんなに速いといっても、ギガビットイーサネットにはかないません。でも、ポケットに入れて持ち歩くには無線である必要があり、みんなが求めているのです。

続きで、どうしてみんなが求めることが難しいのかを解説します!
 

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これから起こること

上のチャートは、過去4年間でのAT&Tのネットワーク上でのデータトラフィックの変化です。eメール、写真、音楽、tweet、アプリ、音声などなどがある中で、飛びぬけて大きいのはやはり動画です。

とはいえ、本当の動画爆発はまだ起こっていないのです。

本当の動画爆発とは? Netflixのストリーミング動画サービスを例にしましょう。現在、これが見られるモバイル機器はiPadのみで、iPhoneアプリも今年末には出されることになっています。が、Netflixでは、これをスクリーンのある全てのデバイスに広げるというビジョンを描いています。数千万、数億という携帯端末で、どんな映画でも無線でストリーミング視聴できるとしたら? しかもその端末のスクリーンは今より大きく、高解像度・高画質だったとしたら? しかもNetflixだけでなく、HuluでもSlingPlayerでも、ABCやCBS、NBCのような放送局でも、Vimeoでも、もちろんYouTubeでも、同じようなサービスを提供するとしたら? それが動画爆発です。

さらには、携帯電話からの動画ストリーミングもあるでしょう。それもHD画質で。現在、マイクロソフトのKinはVerizonの3Gネットワークを使って、5メガとか8メガピクセルの写真、720pの動画をクラウドに自動でアップロードするようになっています。こうした仕組みはまだ始まりに過ぎません。

これから2年もすれば、上のチャートの右端でものすごく大きく見えているデータ量もごく小さなものに思えるくらい、ネット上を流れるデータ量はさらにさらに増えていくことでしょう。

無線での携帯電話を使った動画配信には主に3つの問題点があります。無線周波数帯、バックホール、そして携帯電話端末です。


無線周波数帯の問題

無線周波数帯は、目に見えないものですが、無限ではありません。実際とても限られていて、特に人がたくさんいる都市部ではそれが顕著です。

ものすごく単純化して言うと、周波数帯は高速道路のレーンみたいなものです。アメリカではFCC(連邦通信委員会)が、誰がどのレーンを使っていいかを決めています。周波数帯がどう割り当てられているかはこちらに公開されています。日本では総務省の管轄で、電波の使用状況も同様に公開されていますね。

FCCでは周波数を10Mhzまたは20MHzごとのブロックに分けています。1キャリアはたとえば700Mhz~710MHzの帯域を使えることになります。通常では、与えられた帯域の半分を送信用、もう半分を受信用に使います。それぞれのレーン(またはブロック)では、その帯域なりのトラフィックしか流せません。そのため、たくさんの人がたくさんのデータを流そうとすると、問題が起こります。

その問題を解決するには、単に携帯基地局を無限に増やせばいいというものではありません。基地局が増えても、帯域そのものは増えません。しかも、基地局が近くにありすぎると、ノイズが多くなります。高速道路のレーンを増やそうとして、1レーンの中に新たに線を引いても、走れる車の数が増えないのと同じです。

キャリア側から見てベストな解決策は、割り当てられる帯域を増やしてもらうことですが、それには数十億ドルが必要です。アメリカの周波数ブロックは競売で権利を得られるのですが、AT&TとVerizonは4GのLTEネットワークで利用する700MHz帯をめぐって熾烈な競り合いを繰り広げました。4Gでは、超高速通信を可能にするため、非常に幅広いレーンが必要になるからです。

ちなみに、周波数はどれでも同じではありません。高校の物理を覚えている方もいらっしゃるでしょうが、低い周波数は少ないエネルギーでより遠くに届きますし、建物も通しやすいです。なので、無線での大規模なデータ共有に適しています。そのため、通常は1700~2100MHz帯を使っている携帯キャリアにとっては、700MHz帯が魅力的だったのです。

FCCでどれだけ競売を開こうと、使える帯域そのものは限られているため、この問題は残り続けます。Clearwireでは、信頼できるモバイルブロードバンドには120MHzの連続した帯域幅が必要だと主張しています。無線業界団体であるCTIAは、この業界全体では800MHzの帯域が必要だとしています。現在割り当てられているのは400Mhzです。FCCの国家ブロードバンド計画に「5年間で300Mhzをモバイルブロードバンドに割り当てる」という計画が含まれていたのにはこういう背景があったのです。


バックホールの問題

バックホールとは、基地局とその裏側のネットワーク接続です。通信キャリアが、基地局と携帯端末の間で仮に無限の周波数を使えたとしても、一方で基地局の後のネットワークも整備しておかないと意味がありません。

まともなバックホールがないと、基地局は、自宅でtorrentファイルを自宅のネットワークのキャパシティ以上にダウンロードしようとしたときのような状態、つまり全てが遅くなります。問題は、基地局の多くはいまだに遅い銅線を使っていて、それを光ファイバーに取り替えるには、これまた高額のコストが必要になることです。キャリアでは、競争上の理由から、現在バックホールのうちどの程度が光ファイバーになっているかを公開していません。

バックホールにマイクロ波無線を使うという選択肢もありますが、その場合基地局同士が相互に無線通信できる距離内になくてはならず、しかもどこかではやはり有線にする必要があります。


携帯電話端末の問題

無線で動画を見るときの最後の問題点、それは携帯電話です。確かに、内蔵されているチップは、技術的には3.6Mbpsとか7.2Mbpsとか、あるいはもっと高速の無線通信をサポートしているかもしれません。でも、実際の速度は理論上の上限の半分くらいになります。これは、部分的にはバッテリー消耗を抑えるためでもあります。そういう意味で、昔の携帯から突き出ていたアンテナ、あれもあった方がよかったのです。見かけを良くするために、なくなってしまいましたが。


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そして動画の問題

動画の問題、そしてその方法にも触れておきましょう。モバイル動画には、電話機で視聴されるという特性から、インターネット全般とは少し違った標準があります。が、携帯でのWebの扱いが改善されるにしたがって、その標準はリアルなWebに近付いてきています。

その標準のほとんどは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)と、3GPP2(3rd Generation Partnership Project 2)というプロジェクトが決めています。AT&TとかVerizonといったキャリアがそこに参加しています。3GPPは主にGSM関係、3GPP2はCDMA関係を扱っています。彼らは、通信系の標準や仕様を決めていますが、そこには携帯電話でのマルチメディアの取り扱いも含まれます。実際、音声や動画のコンテナフォーマットも決めています。それはインターネット全般の標準だとh.264とかMPEG-4に相当するものですが、モバイルでは3GP(GSM用に3GPPが策定)と3G2(CDMA用に3GPP2が策定)という、ほとんどの3G携帯で再生できるフォーマットを決めています。

3GPPではさらに、ストリーミングサービスの規格も決めています。インターネット全般ならRTSP(Real Time Streaming Protocol)やRTP(Real Time Transfer Protocol)に相当するようなプロトコルを作っていて、携帯電話に動画をストリーミングするための主要なフレームワークを定義しています。これはグローバルスタンダードにすべく作られており、様々なネットワークに対応できるよう設計されています。3GPPの動画をストリーミングするときは、キャリアはそれ用の特殊なサーバーを用意する必要があります。

が、ネットブックやiPadが増えるに従って、モバイルでもより多くの動画が従来型のHTTP経由で流れてきています。HTTPのストリーミングには、主にふたつの種類があります。

ひとつは、non-adaptive HTTPで、これはネットワーク状況に関らず、つねに同じビットレートでストリームするものです。非常にシンプルです、が、それゆえに、もしネットワークの調子が悪くなると、遅くなったり、フリーズしたりといったことになります。

一方、adaptive HTTPでは、ネットワーク状況に合わせてリアルタイムにビットレートを調整します。特殊なサーバーも不要です。この方式は、アップルのiPhoneやiPadが無線でストリーミング動画を再生するときに実際使われていて、アップルではHTTP live streamingと呼んでいます。マイクロソフトではsmooth streamingと言っています。

さらにコーデックについても少し説明します。インターネット全体としてはh.264をインターネット動画の標準として採用する流れになっていますが、モバイルでも同様です。たとえばVerizonやSlingPlayerでは、現在はWMVをストリーミングに使っていますが、Verizonでは確約ではないながら、「h.264が有望」とし、SlingPlayerはすでにh.264に移行すると宣言しています。h.264では若干ながら使う帯域が少ないことと、ハードウェアアクセラレートをサポートしているからです。

また、アップルのHTTP live streamingはもちろんh.264だけをサポートしていますので、3Gで動画をストリーミングするアプリを使えば、HTTP live streaming経由で、h.264フォーマットで動画が流れてきます。

ちなみに、3GPPの場合ほとんどの動画はh.263かMPEG-4、音声はAMRというコーデックでエンコードされています。が、こちらも徐々にh.264に移りつつあります。


違うアプローチ

動画を流す方法は、ふたつに大別されます。ユニキャスティングと、マルチキャスティングです。

ユニキャスティングは、上に書いたこととほとんど同じです。おそらくみなさんが慣れ親しんでいる方法です。たとえばYouTubeとか、一般的なサイト上で動画を見るときとか、普通に動画を見ているときは、基本的にユニキャストです。これは、最初から最後まで、オンデマンドのものです。

一方、マルチキャストは基本的にはブロードキャストで、複数の人に対し継続的に流されるものです。ニュースとかスポーツといったライブイベントに適していますが、ユーザー側が時間を合わせて視聴しなくてはいけないものです。

アメリカで携帯電話向けの動画マルチキャストサービスというとQualcommのMediaFLOがあり、VerizonのVCASTとAT&TのMobile TVで提供されています。MediaFLOを受信・デコードするチップセットが必要になるため、視聴するにはMediaFLOをサポートする端末が必要です。基本的な流れは、Qualcommがブロードキャスターからコンテンツを受け取り、ブロードキャスト用のネットワークに送り、携帯電話がそれを受け取る、というものです。ほとんどTV放送と同様の仕組みですが、FLOプロトコルを使って送られてきます。

マルチキャストの利点は、非常に大規模に配信できるということです。スーパーボウルとかワールドカップみたいな巨大ライブイベントを流すことも可能です。数百万人に送るのも、1万人に送るのも、変わらない負荷でできるからです。MediaFLOではQualcomm独自の設備を使っているので、携帯キャリアのネットワークの制約からも外れます。そのためQualcommでは、MediaFLOがオンデマンドのインターネット動画ストリーミングを補完するものとして位置づけています。


現状は...

で、我々はどんな動画を実際見ているんでしょうか?

アップルのHTTP live streaming、つまりiPhoneやiPadでのストリーミングは、NetflixでもSlingPlayerでも、64~200kbpsです。VerizonのVCASTは、端末のレベルに合わせて同じ動画を複数エンコードしています。たとえばHTC Incredibleでは256kbps、15fpsで受信できるのですが、Verizonはこれをさらに400kbpsと30fpsにしようとしています。AT&Tでは、そのほとんどの端末でサポートしているため、3GPPを重視しています。ビットレートは64~200kbpsです。QualcommのMediaFLOは320x240でストリーミングしています。ともあれ、どれもHD画質にははるか遠いビットレートです。

でも、これから、LTEやWiMaxのような4Gネットワークが普及し、端末にも、速くて効率の良いプロセッサーが搭載されれば...モバイルでのストリーミングが、きっとダメじゃなくなっていくはずです。


matt buchanan(原文/miho)

(※ ご指摘ありがとうございました。記事修正いたしました!)

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