自殺は続くのか? 従業員の怪死に悩むiPhone製造工場のFoxconnに潜入調査

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ヒド過ぎですよ!

iPhoneの製造などを手がけるFoxconnといいますと、香港に近い中国広東省深センにある工場の生産ラインでキュートな女子工員たちが働いてるって噂になりましたけど、現在は劣悪な労働環境をめぐるスキャンダルのもみ消しに一生懸命です。

そういえば、すでに昨年から、次世代iPhoneの試作機を紛失したとして社内で厳しい取り調べにかけられ、その扱いを苦に社員が飛び降り自殺を遂げるなど、なんとなく怪しい雲行きのニュースが伝えられてた頃から、もう現在の連続自殺につながる伏線が見え隠れしていたのかもしれませんね。

少し前にもFoxconnの極悪労働環境と自殺の急増の関連性が怪しまれた時は、なんとか会社側の責任を否定して言い逃れられたのですが、このところ再び自殺未遂が異常に増えているので、ついに地元紙に潜入調査による工場内の実態をスッパ抜かれるに至り、いよいよ弁解の余地がなくなってきたようであります。

Androidの急速なる台頭を抑えるためにも、なんとか新モデルに期待される「iPhone 4G」で一気に挽回したいアップルには頭の痛い、傘下の製造工場で起きている従業員問題...。ちょっと目をそむけたくなる話題ではあるかもしれませんが、やはり事実は事実ですので、ここは続きで明るみにされた深刻な実態が存在することを押さえておきましょう。

このままでも本当によいのでしょうか?

 

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まず最初に断っておかないといけませんが、確かにiPhoneの製造メーカーをめぐっては劣悪な労働環境に関する批判が相次いでいますけど、別にアップルだけが槍玉に挙げられるべきだというのではなく、例えば、上の写真の女子工員たちが詰めるマイクロソフト製品のメーカー工場となるKYEだって、やはり同じような悲劇的なワークスタイルを強いられていますよ。

とはいえ、Foxconnが特別に取り上げられるのは、その仕事の過酷ぶりなどを理由に相次いでいると思われる自殺率の高さです。今年に入ってから、すでに今月半ばまでに従業員寮からの飛び降り自殺者の数は9名に上ったほか、ここ3週間で即死するには至らなかったものの飛び降り自殺を図った自殺未遂の報告件数は30を突破するなど、明らかに内部で異常なことが起きていると疑われても仕方がない状況になっています。

また、これまでに明らかになっている自殺者の内訳は、男女ともにいずれも25歳以下という共通の年齢層ばかりで、地方から中国広東省深センの工場へと職を求めてやって来てから、全員が半年以内に社員寮の高層階の窓から飛び降りているという不思議な共通点があると伝えられていますね。

このところ急激に生産ピッチを上げるように工場内で通達があったことと自殺者急増との関連性までは証明されていませんが、一体このFoxconnの工場内で何が起きているのかを探るべく、数週間ほど工員になりすまして潜入調査が試みられたようです。以下がその調査結果の抜粋ですけど、なんだか可哀そうすぎですよ!

「噂には聞いていたことですが、1日15時間労働で1週間7日の勤務日という、この数週間の仕事はまったく休みのない状況で特に酷いものでした。しかも生産ラインで仕事に就く若者の多くは、実は意外に教育レベルが高く、地方の田舎から夢を抱いて広東省深センの都会へとやって来ては、大手企業のFoxconnへの就職を果たしたという希望に満ちた表情で入社してきます。それで毎日が奴隷のような工場での単純労働作業という現実を思い知らされるわけですから、絶望感から自殺する人が多いのも無理はありません。

確かにハード極まりない仕事ですけど、もしも給料が非常に高ければ、それはそれで我慢のしがいもあるかもしれません。でも、ちょっと考えてみてください。ここの工場では、皆が最新のiPhoneを毎日毎日手に取って眺めては作り続けています。それは、自分たちの1か月間の給料を丸々はたいても、たった1台でさえ買えない夢の製品です。残業代も休日出勤手当ても無いに等しいんです。過酷労働なのに超薄給! その現実を噛み締めれば噛み締めるほど、もうやり切れなさが無性に募ってくるに違いないでしょうね。

ここで工場側は、甘い誘いを散らつかせます。

『いいか、最初は給料が少ないと思うかもしれない。でも、スキルアップを遂げれば必ず昇給できる道が用意されているんだ。頑張り続けてくれたまえ』

毎日毎日工場の生産ラインの1ポジションで同じ単純労働作業の繰り返しばかりです。そこでスキルアップを図るって、そもそもどういう意味なんでしょうか? ロボットと化すことが求められる製造現場で、何を根拠に独創性を発揮してスキルアップが遂げられるというのでしょう? そんなことはまったく期待されてもいないし、この過酷労働が延々と続いていく以外に道などないことに程なくして気づいた若者たちは、まるで自殺症候群のような集団心理に襲われて、厳しい現実から逃避しようとします。

ちなみにもう1点だけ、重大な労働環境の欠陥に気づいたので挙げるとすれば、これだけ大勢の従業員が共同生活を続けているのですから、もっと会社側の努力次第で変えられそうなこととして、せめて楽しく和気あいあいと働ける職場環境の創造があるのではないでしょうか。

現実はまったく逆でして、とにかく工場では従業員同士が互いに知り合えないように、仲良く友人同士で会話したりできないように、必死で管理体制を強化しているようにしか思えませんでした。寮の同室の人と生産ラインのチーム内の人は絶対に別になるように管理されていて、何か月が経過しても互いに名前さえ知らずに仕事を続けさせるのが理想とされているかのようでした。

非常にストレスのたまる機械と向き合う仕事の合間に友と語り合い、仕事が終わったら、同僚と夜は部屋で楽しく会話できる...。少なくともこういう環境があるだけで、辛い思いや疲れも軽くなるかもしれません。現在のままだと、今後もっと事態は悪化の一途をたどるのは確実でしょうね」

なんかにわかには信じがたい潜入調査報告ですけど、でも、これが現代版女工哀史の現実なのかもしれませんね。

ところで、自殺および自殺未遂が異常に続いている事態の改善を図るため、Foxconnが緊急導入した対策は、お坊さまを工場内に呼び、よく意味が分かりませんが、社内に立ち込める邪気をお祓いする祈祷を全社で行なったと発表されています。う~ん、なんかかなりポイントがずれまくっているような気がするんですけどね...

[The Telegraph]

Jack Loftus(原文/湯木進悟)