企画倒れ? 愛すべきアメリカの駄っ作機ベスト10(動画あり)

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個人的には全部大好きです。

空想科学現実がごちゃごちゃ、理想を現実に変えようと実際に試作機を作って試行錯誤したものほとんど実用化されなかった駄作機たち。しかしそのチャレンジ精神は後世にぜひ伝えたい、ということで選りすぐりのベスト10をご紹介します。

 

X-13 Vertijet

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マグロの陸揚げ? 名前からも分かるように垂直離着陸ジェット機です。

垂直だから飛行機を縦にすればいいじゃない、という単純な発想が大好きです。1947年アメリカ海軍からの要請を受けてRyan Comapnyが垂直離着陸機の開発をスタート。後に1953年アメリカ空軍がX-13としてプロジェクトを引き継ぎます。当初の目的は潜水艦から離発着可能なジェット機の実証実験でしたが、後にVTOL機(垂直離着陸機)の開発へと移行していきます。

Rolls-Royce Avonターボジェットエンジン1機を搭載し、1957年には試験飛行に成功。垂直離陸から水平飛行への移行、逆に水平飛行から垂直飛行が可能でワシントンDCで行われたデモ飛行ではポトマック川を飛び越え、ペンタゴンに着陸しました。しかし運用が大変なことからアメリカ空軍はそれ以上の開発を断念。ある意味、後のハリヤーやF-35のご先祖様といったところでしょうか。

HZ-1 Aerocycle

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アメリカ軍のヘリコプター好きは本当にいっちゃってます。

1950年代、アメリカ陸軍は偵察用に誰でも乗れる一人乗りのパーソナルヘリコプターの開発に着手。このHZ-1はセグウェイを運転するような感覚でハンドルで操縦できます。簡単操作で訓練いらずが売りだったはずなのですが、実際には操縦が難しくてプロジェクトは中止になりました。今ならジャイロ搭載でいけるかも知れませんね。

F2Y Sea Dart

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水上機なのに戦闘機並みの性能を追い求めてしまうのは日米問わずですね。1948年、アメリカ海軍は水上超音速迎撃戦闘機の開発に着手、コンベア F2Y Sea Dartは5機製作されました。

しかし1954年、デモ飛行の途中に空中分解する大事故を起こしてプロジェクトは終了。その後超音速機を搭載する空母の登場により、水上超音速迎撃戦闘機の必要性自体が失われました。モデルライフは短かったですが、水上機で音速を越えるという記録を残しています。

Northrop YB-49

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これが1980年から1990年代の飛行機といったら不思議はないのでしょうが、実はこのYB-49は第2次世界大戦直後に開発されたもの。前衛的すぎて結局コンサバなB-36に負けてしまいますが。

1948年、最初のプロトタイプはエンジントラブルでテストパイロット Glen Edwardsキャプテンを亡くしてしまいます(その後その功績をたたえ、Edwards空軍基地と名前が付けられています)。その後も中央と翼端が分解するなど終始強度不良に悩まされ続けました。

1980年、Northropの車椅子に乗った創始者、Jack Northropがプロジェクトに舞い戻り全翼爆撃機の開発を行います。そして完成したのがB-2A「フライングウィング(空飛ぶ翼)」です。Jack Northropはずっと全翼機のアイディアを温め続けており、後に「私がこの25年間生きてこられたのは、全翼機を作るための神の思し召し」とまで述べています。

XC-120 Packplane

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サンダーバード2号と同じ発想ですね。ガンダムでいえばミデア。1950年に開発されたXC-120輸送機は脱着可能なカーゴポッドが特徴的。荷物を出し入れする代わりにカーゴポッドを取り替えて、すばやく離着陸することができます。

カーゴポッドは3つ提案され、歩兵や空挺団の輸送に使うもの、物資搬送専用のもの、最後は空中投下可能のポッドでパラシュートで降下させます。1950年代には大々的にテストされエアショーでもお披露目されるほどでしたが、結局普通の輸送機には勝てませんでした。

XF-85 Goblin

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タマゴヒコーキ? いやいやデフォルメなし、これが本当のサイズです。

「ゴブリン」とか「空飛ぶタマゴ」という愛称のかわいらしい飛行機は爆撃機が輸送できる戦闘機として第2次世界大戦中に着想。コンベアB-36の格納庫の中に収納し、いざというときには迎撃機として出撃するという算段です。迎撃後はB-36の下に出したフックでひっかけ、格納庫に収納するためランディングギアは存在しません。そういえばガンダムのホワイトベースも、コアファイターを引っかけてましたがあんな感じでしょうか。

アイディアはスゴイよかったんですが、やっぱり空中でフックをひっかけて格納するのは危険すぎると気付いてプロジェクトは中止。同じような技術を使った空中給油機の方がまだ安全で、戦闘機の航続距離を延ばす有効な手となりました。

Republic XF-103 Thunderwarrior

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XF-103は冷戦の初頭、超音速爆撃・迎撃機として開発がスタート。エンジン開発に手間取り、モックアップどまり。長いノーズはほとんどが長距離レーダーで構成されており、ミサイルは機体横のウェポンベイに収納されます。結局1957年、プロジェクトは中止されました。

A-12 Avenger II

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Avenger IIの愛称は「空飛ぶドリトス」。見た目が前衛的で今見ても未来的ですね。これは老朽化したA6イントルーダーの後継となる全天候型ステルス艦上爆撃機で、マクダネル・ダグラス社とジェネラル・ダイナミクス社のジョイント開発プロジェクト。

全翼機のコンセプトは1990年代の流行で、Avengerはまさに三角形をしておりコックピットはその頂点に配置されています。スマート爆弾や対地兵器をウェポンベイに収納することが可能でしたが、開発コストがかかりすぎて1991年にプロジェクトは中止されました。

Convair XFY Pogo

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こちらも皆大好き垂直離着陸機、しかもプロペラ、さらにテールシッター(お尻で着陸する)タイプ。離着陸ともお尻でしかできません。小さな艦船での搭載機として使う予定で、発進はいいのですが着艦が激ムズ。なにせコックピットから肩越しに下をみて、船との距離を瞬時に判断、スロットルを微調整しながら位置もコントロールしなきゃいけないんですから。

技術的問題をおいといても、とにかく熟練したパイロットでないと飛ばせられない機体で、各艦船に搭載するのは現実的ではありませんでした。マッハ2がでるジェット戦闘機が主流になった1954年にプロジェクトは終了。

Lockheed YF-12

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最後を飾るのは多分成功を収めたYF-12ですよ。もちろんこちらは有名なSR-71ブラックバードの元となったプロトタイプ迎撃機。開発中数々の記録(最高速度 2,070.101mph、最大高度 80,257.86フィート、1965年5月1日樹立)を打ち立てたもののプロジェクトは1968年に中止。理由は簡単でベトナム戦争。アメリカ大陸を守るよりも重要なことができてしまったからですね。

YF-12/SR-71は動画でもどうぞ。

写真: Wikipedia, ScienceRay, 99con.com, Wikipedia, Wikipedia, Wikipedia, Egloos, Wikipedia, Wikimedia, Wikipedia

RJ Evans, Kuriositas.com(原文/野間恒毅)