34時間働けますか? 従業員自殺が止まらないFoxconn、地獄の勤務体制が判明!

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もしやiPadの過酷な増産体制が原因?

iPod、iPhone、iPadなどの一連のアップル製品の製造などを請け負いながら、中国広東省深センにあるFoxconnの工場で謎の連続飛び降り自殺が続いていることを受けて、ついにアップルも独自調査へと着手する緊急対応を取り始めましたが、どうやら次々と明らかになってくる内情は、こんな捨て身の潜入体験レポートで判明したよりも、さらにさらに深刻のようですよ。

上の写真で悲しみの訴えをしているのは、このほど自宅で就寝中に怪死を遂げたFoxconnのエリートエンジニアである利さんの若奥様なんですけど、今回の事件のポイントは、決して利さんは自ら死を選択する飛び降り自殺なんかしておらず、もう幸せいっぱいの新婚家庭を、いかにして雇われ先のFoxconnが課した殺人的な勤務体制によってメチャメチャに破壊されていったのかが、なんとも不気味な形で公になりだした点にありますね。

喜びの結婚式を終え、いよいよこれから二人で手を取り合ってラブラブな家庭を築いていこうと誓い合った矢先、Foxconnという悪魔が立ちはだかった! いや、もう涙なしでは読めませんよ。しかしながら、ようやく遺族の奥さんが口を開いて真相に迫ることができましたので、中国政府なんかに封じられる前に、しっかりと続きで暴露してまいりたいと思います。どうぞ早めにチェックしてくださいませ。

 

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Foxconnでは、製品開発部門のエンジニアとして手腕を振るい、28歳の中堅社員として工場内でもポジションを固めつつ、ようやく念願の出身故郷の恋人と今春に結婚式を挙げることができた利さんは、広東省深センの勤務先近くに小さな部屋を借りては、新妻を迎え入れて新婚生活をスタートさせました。

でも、上の結婚式の写真の幸せにあふれた笑顔が家庭に宿ることは、残念ながら、ほとんどなかったというから驚きです。やっぱりどう考えても、Foxconnに愛する夫を奪われてしまったんだわ...との怒りを隠せない、後に残された悲しみに暮れる妻の証言に耳を傾けてくださいませ。

故郷を離れて深センの新居に引っ越してきた時は、喜びと幸せな期待に胸をふくらませつつ、どんな楽しい新婚生活が待っているんだろうって気持ちでワクワクしていました。まだそんなに豪華な物はそろえられませんでしたけど、つつましく彼と二人っきりの暮らしがようやくスタートしたんです。それはもう私はハッピーな気分に満たされながら、毎日彼の仕事からの帰りを待ちました。

ところが、いつも朝早くに出かけては、なかなか日付けが変わる夜中までは家に帰って来ないという毎日の繰り返しでした。せっかくの日曜も、かなりの割合で休日出勤を命じられ、いつも私は新しい部屋で独りぼっち...

「こんなの結婚前の辛かった遠距離恋愛の頃と変わらないわ。いいえ、もっとあの頃のほうが、あなたは私に時間をくれた。どうしてそんなに仕事ばっかりの生活なの? ねぇ、ねぇ、まだ新婚旅行にだって行ってないし、もっと私と一緒に時間を過ごして!」

そう泣きついた私に対して、彼は力なく笑ってみせては、でも約束してくれました。

「うん、ゴメンよ。本当はこんなはずじゃなかったんだ。もっと去年は仕事も自分のペースで進められて、やりがいがあるもので、だから、君と結婚して、ここで一緒に暮らしていこうって呼び寄せられることになったんだ。

でも、今年に入ってから、何かがおかしい。もう狂ったように働かされてる。工場のシフトやノルマが急にキツくなってしまったんだよね。

だけど、こんなことがいつまでも続くことはないって信じてるよ。もうちょっとの辛抱だ。そうしたら、必ず君との時間だって、もっとたくさん取れる。新婚旅行にだって行けるさ。ゴメン。あと少しだけ待っててくれないかな」

その彼の約束をひたすら信じて、来る日も来る日も、ひたすら疲れ切っては仕事から戻り、それでもまた朝早くに出勤していく彼を仕方なく励ましては見送っていました。いつか二人でいっぱい一緒に過ごせる時がやってくるんだって信じて...。でも、もう二度とその日はやって来ないのです。

そう涙ながらに語ってくれた奥様の話から判明した、利さんが愛する家族のためと思って耐え続け、まさに文字通りに身を削って働き続けたFoxconnでの勤務体制は、もう想像を絶するような過酷さでした!

利さんが自宅に戻って就寝中に、突然、夜中に呼吸困難に陥って、そのまま心臓が停止して死亡したのは先月27日未明のことです。しかしながら、その週に利さんがこなしていた殺人的勤務シフトはと言いますと、まずは24日の午前7時に出勤してから、そのまま24日の夜は家に帰ることなく、深夜残業~徹夜勤務~早朝シフトと丸一日を工場内で過ごし、25日午後5時までの34時間の連続勤務をこなします。翌26日は午前7時から通常の出勤体制で、いつものように残業で午後9時まで14時間の働きづめとなり、もうすっかり疲弊しきって帰宅した利さんは、そのままバタンとベッドに倒れ込むように眠ったところ、突如として深夜に呼吸困難から急死して、帰らぬ人となってしまったのでした。

ところで、一連の連続飛び降り自殺報道が続く中で、この利さんの過労死事件に関しましては、まったく中国本土のメディアは報じていません。問い合わせをしてみたFoxconnからも「会社として個々の従業員のケースをコメントすることはできません」との声明が出されて、一切の事実関係に関する説明を断固拒否しています。世界から大非難の注目を集めたFoxconnは、かえって従業員への締め付けを強化し、どうやら中国当局までもが報道規制を敷き始めたようなんですよね。

このまま夫の無念の過労死を闇に葬らせたりはしまい...と立ち上がった利さんの奥様が、まだ検閲がかかっていない香港のメディアに事件の真相を語ったことから、ようやく外部より過労死の実態が明るみになってきた感じなんです。きっと香港から発される情報は中国の本土側には届かないようになっているので、まだあんまり当の深センの工場の仲間なんかも事実を知らされていないのでは?

それにしましても、とうとうFoxconnの一製造ラインに過ぎない新米工員のみならず、会社にとっては貴重なスキルを有するエンジニアにまでも、連続怪死の悲劇が襲いかかってきたようです。といいますか、もしかすると、こういう過労死なんかが実はしょっちゅう以前から起こっているのですが、単なる病死みたいな扱いにされて、勤務体制うんぬんなんかの文句は一切受け付けられずに、すべて闇夜に葬り去られていただけなんでしょうかね。なんと言っても、今では従業員全員に対して「死んでも絶対に会社にだけは迷惑をかけません」との念書まで署名提出を義務づけているとのことですからね。

最新のIT製品を安くで遅れずに入手できる! それはガジェットを愛する世界のすべての人々の共通の願いだとは思いますが、でも、その影にこういう殺人的な中国での工場勤務を強いられる人々の血と涙の努力があるのかと思うと、なんだかとってもやりきれない複雑な気持ちですね...

いまや未亡人として残されたのに孤立無援の利さんの奥様は、これから決して泣き寝入りなんぞはしないとの固い決意で、夫を殺したFoxconnを徹底提訴していく方針を明らかにしています。もう二度と利さんは戻ってきませんが、せめて悲しみに暮れる奥様の気持ちが晴れるように、また、これ以上は他にも悲劇が続かないように、そっと応援してあげようと思います。

[Mingpao via NowNews via MIC Gadget]

Kat Hannaford(原文/湯木進悟)