北朝鮮のIT習熟度を侮るな! あのアップルも認める高い技術力の一端が明らかに

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もしや、その大人気アプリは北朝鮮製?

いやいや、日本人が抱いている北朝鮮の人々の生活レベルのイメージっていうのは、やっぱり決して良くないと思うんですよね。とにかく国民の大半が貧困と食料不足に悩まされ、まぁ、世界最先端のテクノロジーだとか製品サービスだとかからは完全に置いてけぼりでしょう...。街中にあったとしても、せいぜいゲームセンターだって古き懐かしき極北レベルじゃないのかって想像くらいしか沸いてこないんじゃないでしょうか。

でもね、実は必ずしもそうじゃないみたいですよ。むしろ、本当のところは、いまや世界からも引っ張りだこの超優秀な技術者集団が、現在この瞬間もITスキルを駆使してピョンヤンでバリバリと仕事をこなしてたりするそうです。そりゃね、まだその実力のほどは未知数なんでしょうけど、恐怖の核爆弾だってドシドシと作り上げていると噂の国なんですから、当然ながら、その科学技術レベルは高いはずですよね。

ではでは、知られざるハイスキルを隠し持った北朝鮮のITビジネスの最先端を、今回はヨーロッパから独自ルートで追ってみましたので、ぜひぜひ続きからご覧くださいませ。もしやあなたの手元のソフトウェアだって、元々は北朝鮮で開発されたテクノロジーが採用されちゃっているかもしれません。

 

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まだ世界でも最も実態が謎に包まれた国かもしれませんけど、北朝鮮国内の複数の大学からは、毎年のように非常に優秀なコンピューターエンジニアや科学者たちが輩出されており、その人材を活用しようというIT企業が、実は続々と立ち上がっていってるみたいですね。その結果、現在は北朝鮮において、他国でも稀に見るアウトソーシングブームが沸き起こってるそうなんです。

「インドなど、世界でも例外的にアウトソーシング事業が伸びていっている一部の少数の国を除いては、このところ開発途上国における同分野のビジネスは低迷縮小の流れにあり、ますます多くの国々で、従業員数の削減や事業規模の見直しが進められている。

そもそも現時点で、アウトソーシングを専門に請け負う企業の中でも、100名以上の正規スタッフを雇用できるような規模の成功例を見出すことは容易でない。しかしながら、北朝鮮で有数のアウトソーシング企業は、いずれも1000人を超える従業員を抱えており、そのビジネスの発展の勢いはとどまるところを知らないというのが現状である」

そう最新事情を明かしてくれたのは、オランダはロッテルダム在住で、北朝鮮でのオフショア開発事業に詳しいコンサルタントのポールさんですけど、どうやら北朝鮮との自由な貿易が許可されていない米国などとは異なり、主にEU域内の諸国の企業は、この北朝鮮の豊富な人材活用に非常に積極的になってきてるようでもあるみたいですね。

たとえば、その中でも最も有名なのは、2007年にピョンヤンで設立されたNosotekがサポートを提供するソフトウェア開発事業なんでしょうけど、同社の宣伝によれば、Windows、Mac、Linuxに完全対応しているのはもちろんのこと、すべての主要なプログラミング言語を扱える優秀なスタッフがそろい、各種のサーバー技術、携帯電話アプリケーション、3Dソフトウェアの設計開発などを請け負ってきた実績もあるんだそうです。

「米国による経済制裁などのおかげで、この国のアウトソーシング企業は手つかずのまま力を蓄えて眠っている感じです。まだ世界の他の場所とは違って、価格競争の波なんかも押し寄せてきてませんから、信じられない格安料金で高い技術力を活用できる魅力がありますよ。もっと多くの人々に早く気づいてもらいたいですね」

そう語るNosotekのフォルカー社長は、驚くべき一例として、ドイツのApp Store上で販売されたiPhone向けのアプリケーションに、トップ10の売上げランキングに入る鮮烈なデビューを放ち、もはや堂々とアップルの審査基準もクリアしてヨーロッパユーザーに高い評価が得られている作品も、実は北朝鮮の技術者の手で誕生していることを明かしてくれましたよ。

「残念ながら...という表現を私は使わせていただきますが、まだ北朝鮮への非常に強い偏見があるため、守秘義務の観点から、どういうソフトウェアやアプリケーションが、実際には北朝鮮へのアウトソーシングで誕生したのかは公表しない方針が取られています。でも、たとえば、アップルのオンラインストアに並ぶ各種アプリケーションですとか、インターネット上で広く楽しまれているFlashゲームの中には、私たちが北朝鮮の技術者を紹介し、その成果として生み出されたものが多数出てきていますね。

現在もNosotekのデータベース上には、世界の幅広い企業への紹介を待っており、そのリクエストに柔軟に応じて開発を請け負いたいとの希望を出している、とっても優秀な技術者たちが大勢リストアップされていますよ。今後の成長の可能性も計り知れないものがあるのではないでしょうか」

フォルカー社長の話ですと、なかなか言語や商習慣の違いが大きいので、ダイレクトに北朝鮮へアウトソーシングを依頼できるという企業はほとんどないみたいですが、Nosotekのように、ヨーロッパ各地のビジネスと北朝鮮のITスタッフの橋渡しをする会社の助けを得る形で、少しずつ北朝鮮へのアプローチが広がってきてるんだそうですよ。そして、これまでに依頼があった企業からのフィードバックは、驚くほど良いものが多く、リピーターも着実に増えてきてるんだとか。

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まぁ、そうは言っても、でもやっぱり北朝鮮へとアウトソーシングを依頼するってなると、いくらそれが禁止されていない国にいたって、金正日の独裁体制のことが、まずは頭をよぎりますよね。あんな何の自由もなさそうな国に住む技術者に仕事を請け負ってもらったりして、本当に大丈夫なのか? その懸念を払拭するのは、まだなかなか容易なことではないでしょう。

ただ、どうやら北朝鮮を一流のIT技術国へと押し上げていきたいっていう願いは、当の金正日の意向でもあるようでして、たとえば、2000年に入ってからは、コンピューターすらろくに使えんような国民を育て上げてはいけないと力説し、IT産業の活性化を可能な限り支援していく指示を出してきたとも伝えられていますよ。

最後に、今回の取材に応じてくれた、北朝鮮へのアウトソーシングをフル活用している一企業のトップの談話をご紹介しておきましょう。

「この国の技術者の才能を知れば知るほど、政治力学的なことは横に置いておいて、普通に一個人として尊重しながらビジネスを進めていきたいという気持ちになります。彼らの優れた才能そのものは、決して独裁体制うんぬんとは関わりのないことだったりもしますからね。

実際に北朝鮮へのアウトソーシングで得られているメリットについて話す時、まだ自由にビジネス上のやり取りができない国の企業トップからは、ぜひ早くウチも北朝鮮でのビジネスを立ち上げられるような環境になってほしいという反応が返ってきます。現在は事実上不可能ですけどね」

ボクたちの知らないところで、着実に北朝鮮のIT産業が大きく育とうとしてるみたいでもありますね。ITは国境を越えるなんて言われたりもしますし...

[PC World]

Kat Hannaford(原文/湯木進悟)