ファン心理ってこうなんだ! ファンボーイズムとは?

ファン心理ってこうなんだ! ファンボーイズムとは? 1

ファンだ、マニアだ、大好きだって実はこういうこと!?

理由があってコレを買ったんだもん、もちろん自分の持っているコレの方が持っていないアレより好きだ。

そう思っていませんか? 実は好きな理由はそうではないようです。

本当は、自分の持っているコレが持っていないアレより好きなのは、今までの過去の選択全てに対する自分への防御、自分の過去を合理化するためだそうですよ。

さて、David McRaney氏の語るファン心理とは、ブランドへの忠誠心とは、ファンボーイズムとは?

自分の所持しないものよりも、所持しているものを好む。その真の理由は今までの自分を防御し合理化するため。

インターネットの登場により人々の議論の方法は変わりました。

コメントシステム、フォーラムやメッセージボード、そこでは必ずたくさんのファン達が議論をかわしています。なぜ自分の持っているこの製品が他の人の持っているモノよりも優れているかを熱く語っています。

近年のアメリカの様な消費者文化では、人々はどんな製品を好むかを通して各々のステイタスを比較しています。一例をあげると、Mac 対 Windowsだったり、PS3 対 XBox 360だったり、 iPhone 対 Androidだったりですね。その他もろもろ、いつまでだって、○○ 対 ××の戦いは続きます。

熱い議論を交わすファンボーイ達。なぜ、ボーイなのか。このような議論の多くは男性の間で交わされます。なぜなら男性は自分のエゴをどんな小さな中傷からも守ろうとするからです。またこの手のギークなファン戦争はコストもかかります、ネット上でのコアギーク達の熱弁、より高価なものを所持していれば製品(ひいてはブランド)への忠誠心が高いというわけです。

ファンボーイズムは何も特別新しいトピックではありません。ブランディング戦略の中にある1つのコンポネントのようなもの。マーケティング業界や広告業界にとってファンボーイ達の存在は、それはもう遥か昔から明らかなものでした。クエーカー社のオールドファッションオートミールの、あのにっこり顔のおじさんのロゴができた頃、そんな昔から明らかなものなのです。

1877年、もちろんあのにっこり顔のおじさん家族がオートミールを作っていたわけではありません。クエーカー社は商品とクエーカー社は誠実であるということをむすびつけるブランド戦略がほしかったのです。

クエーカー社のブランド戦略はたぶん最初のブランド忠誠心をつくり出した戦略だと言えるでしょう。ブランドへの忠誠心をつくり出す、それは不透明で感情的なつながりを人と企業の間に持たせる事、そうさせることによって企業を守ってくれる一般の人々がうまれるのです。

続き、是非どうぞ!

 

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ここでコカコーラとペプシの例を。

ある実験で被験者にコカコーラとペプシをどっちがどっちかわからないようなにコップにいれて飲んでもらいます。頭には脳スキャナーを取り付けてます。被験者のうちの数人は、テイスティングテストで明らかにペプシの方が好ましいと感じたと脳スキャナーが示しました。

そこで今飲んでいたのはペプシだと告げます。ペプシの方が美味しいと感じた数名のうち何人か=今までずっとコカコーラ派だった何人かに予期せぬ反応が起きました。彼らから脳スキャナーが読み取った美味しい、好ましいと感じた喜びのシグナルが著しく低下したのです。そして彼らは実験後のインタビューでテイスティングテストでコカコーラの方が美味しいと感じた、と答えました。

彼らは嘘をついたわけです。嘘とはいっても、このシチュエーションにおける彼らの感覚でいうと彼らはもちろん嘘をついたつもりは全くありません。彼らは最後にはやはりコカコーラの方が美味しいと感じたのです。彼らは記憶を感情に合わせたのです。(ペプシの方が美味しかったという記憶をコカコーラが好きだという感情へ合わせて、最終的にはコカコーラの方が美味しい/好きだという結論に達した。これはわざと行っているものではない、つまり嘘をついているわけではない。)

彼らは過去にどこかでブランディングされコカコーラへの忠誠心が芽生えているのです。例え彼らがペプシの方を好んだとしても、精神的にどこかでそれを認めるのを拒否しているのです。

このような忠誠心をより高価なもの、趣味に値するものに費やしたとしたら、より多くの時間とお金を費やすことになりますね。そうしたらあなたはファンボーイです。自分のお気に入りをとにかく褒めて防御し、ライバル製品をこけ下ろし、そしてその実は(製品スペックうんぬんよりも)感情のつながりだという事実は無視します。

では、この感情のつながり、ある製品やある企業への感情のつながり、これはどうやって作られるのでしょうか?

マーケティング業界や広告業界ではファンボーイの逆をホステージとよびます。

ホステージはある製品を買うかどうかに対して無興味無頓着です。これを所持するべきか否かを決める事ができません。故にトイレットペーパーやガソリンのような生活必需品でも、こっちのペーパーの方があっちのよりもいいであるとか、このガソリンスタンドはA社だがあちらはB社だから、といったことは全く気にしないのです。

一方で購入対象である製品がiPadのように必需品ではない場合、消費者はあるまとまった金額をその製品に費やすため、ただの消費者を一気にファンボーイ化させるチャンスだと言えます。アレではなくコレを選ぶということ、そこからなぜそうしたかというストーリーを彼らは作り始めるのです。

もし高価なアイテムを購入した事実を合理化する必要があるとするなら、たぶんそのアイテムが自分の持つ自分自身のイメージにどのようにフィットしてくるかをまず描こうとするでしょう。

ブランディングとはこれの積み重ねなのです。あえて選択肢を与え、その中で意味を持ってこの製品を選んだと相手に思わせてファンにさせていく。

例えば、Appleの広告はうちのコンピューターがどんなに素晴らしいか、なんてことは言いません。代わりにどのような人達がAppleのコンピューターを使っているかというユーザー像をみせています。このイメージは消費者/購入予定者に「ほらね。僕って古くさい保守的なオタクじゃないわけよ。センスも才能もあるし、大学では美術系専攻だったしさ。」という雰囲気を持たせてくれるのです。

AppleのコンピューターはMicrosoftベースのコンピューターよりも優れているのでしょうか? データや分析、テストや客観的比較に基づいた上でコレはアレよりも優れているのでしょうか?

愚問。なぜならそんなことは問題ではないからです。

コレが優れているかどうかなんていう考えは、もうすでにコレを持っている自分というのを想像し始めてからでてくる考えなのです。もし自分自身をAppleのコンピューターを持ってそうなタイプとか、ハイブリッド車を運転しそうなタイプとか、タバコはキャメルを吸ってそうなタイプ、なんていうように思いはじめたら、それは自分がブランディングされているということです。

一度ブランディングされてしまえば、競合他社製品の悪いとこを見つけ、自社(自分の所持する製品)がどんなにいいかということをあげてブランドを擁護していきます。

この習性をつくりだすすでに認識されている偏見というものが多くあります。

自分の持っているモノが持っていないモノと比べていかに優れているかを感じる時に生じる授かり効果(Endowment Effect)は、このすでに認識されている心理学的偏見の1つです。

心理学者達による授かり効果の研究でこのようなものがあります。あるグループにお水のボトルには一体いくらの価値があるかとたずねます。するとそのグループはだいたい5ドルくらいだろうと答えます。そこでグループ内の何人かに無料でお水のボトルを渡します。1時間後、お水ボトルを持っている何人かにいくらならそのボトルを研究者に売り戻しますか? ときくと大抵の場合、彼らは8ドルくらいなら、と答えるそうです。

たとえ無料で得たものであっても、所有したという気持ちがそのモノに特別な価値をつけるのです。

他にも誤謬(Sunk Cost Fallacy)というものもあります。

この場合の誤謬は、自分が実は欲しくない/したくないものにお金を費やしてしまい、しかも返品不可という場合に起きる心理学的偏見です。

例えば、食べ物をお持ち帰りしたとします。しかも通常よりも高いな、と思いつつも購入。家に帰って食べてみると不味かった。しかし、それでもなんだかんだで食べてしまいます。映画館でこの映画つまらないなと感じても最後まで見てしまうのと同じです。

誤謬偏見にはわかりにくい場合もありますよ。たとえばあるモノを定期購入しているとします。それもかなり長い間定期購入を続け、ある時これちょっと高すぎるな、と気づいたとします。しかしなかなか定期購入をやめられない、なぜなら今までにこれに投資してきた金額を考えてしまうからです。今までこれだけかけてきたのに、今やめるのかよ...と思うわけですね。

BlockbusterはNetflixより優れているのでしょうか? TivoはDVRよりも優れているのでしょうか?

もしすでにある程度の金額を今までに会員として払ってきていたら、なかなか他の選択肢に鞍替えすることはないでしょう。なぜなら、このブランドに今まで投資してきた、と感じるからです。

こういった偏見は重ねもっと大きな習性に変わっていきます。ブランディング、ファンボーイズム、インターネット上でのなぜ自分のコレがあんたのアレよりも優れているかという果てしない討論、これらは選択支持偏向(Choice Supportive Bias)からうまれます。

選択支持偏向は人の心の大きな部分を占めており、何かモノを買うたびに顔をだしてきます。

例をだして選択支持偏向がどういうものか見て行きましょう。

例えば新しいテレビを買おうとしているとします。選択肢はいくつかありますよね。どれを買うか決定する前に市場にある様々なテレビを比較しますよね。

どちらがより良いのか、SamsungかSonyか、プラズマテレビかLDCか、1080pか1080iか。テレビの価値を決める指標は実にたくさんあります。

そのうち、これにしよう、と1つ選択します。1度どれにするか決めてしまうと、後から一連の流れを見返した時に自分のとった行動は正しかったと理屈付け(合理化)していくのです。その他の迷いに迷った自分が選んでいたかもしれない全てのテレビの中で自分が選んだコレが何よりもベストであると信じることによって、その理屈付けは行われて行きます。

店頭ではこれは実によく理解された現象であり、消費者が迷いすぎないように与える選択肢を多くしすぎないようにしています。ある研究では、購入の際の選択肢が少数だと後で自分のチョイスに公開しにくい、と発表されています。

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何かを選択するその瞬間は実に感情的なものです。故に感情をコントロールする脳の部分にダメージのある人は物事を完全に理論に基づいて判断しようとします、結果ほんのささいな朝食シリアルでさえも選択するのが大変困難な状況になることもあります。たかだかシリアルでも、全てのファクト、カロリーや形や重さ栄養素等、多くのものを比較して検討しなくては選択できないのです。選べない、それは感情で左右されないからです。単純に「あたしこれスキー!いつもこれなの!」なんて選択が不可能なわけです。

もし、自分の選ばなかったアレのほうが自分が選んだコレよりも優れているのではないか、と感じる場合があれば、自分になぜコレを選んだのかと問いかけて自分を納得させ不安を解消させていくのです。

こういったこと全てが、関連性、感情、自分自身の描く自分のイメージ、そして自分の所持するものへの偏見のつまった巨大な神経/精神をつくっているのです。

だからこそネット中でゲームやスポーツ、携帯電話からテレビ番組までありとあらゆることで常に激論が交わされているのです。

ネット中で、そうインターネットはこの習性(ファンボーイ達の習性)を盛り上げ育てるのにピッタリな場所だからです。

次にあなたがなぜあなたの持つコレが他社のアレよりも優れているかを怒り心頭で説明するような時があれば、ちょっと思い出して下さい。その誰かもあなたと同じようにファンボーイであり持論を持っている、ということを。つまり、あなたがどんなに言った所で宗旨替えすることはないだろう、ということを。

【参考リンク】

Barry Shwartz on choice at TED

Radiolab on choice

Bruce Everiss on fanboys

10 Golden Rules of fanboyism

※このエントリはYou Are Not So Smartの許可を得て転載したものです。

David McRaney(原文/そうこ)