音楽業界とインターネットの関係

音楽業界とインターネットの関係 1

ニューヨークで行われたNew MusicセミナーにTom Silverman氏(Tommy BoyレコードのCEO兼会長)とEric Garland氏(Big ChampagneのCEO)が登場して音楽業界を語りました。

Silverman氏はこう語ります。

音楽ビジネスは今までずっとアルバムを中心に作られてきた。だがこのアルバム中心の考え方は、今では太陽が地球の周りを回っている、のような自明のものになった。そう、我々は今アルバムを聞かなくなっている。我々が聞いているのは各曲の集合体である。今、人々は音楽と今まで以上に密接な関係にある。そして我々はそんな大きなチャンスを逃してきた。

2人のポイントは音楽を売る側じゃない、聞く側の人間にもなかなか興味深い内容ですよ。

アルバムからシングルへ

昨年リリースされたアルバムは10万タイトル。その中で1枚しか売れなかったのがなんと1万7000タイトル。セールスが100枚以下なのは8万1000タイトル以上。1万枚以上のセールスがあったのは実に1300タイトルのみ。この数字はCDとデジタル音源の両方を足したもの。CDに限って言うと、セールスが5000枚以上なのは新アルバム中のなんとたったの2%! なんとも驚きの数字です。

以下の図は、アルバムとシングルセールスをグラフにしたもの。

(CD・デジタルの総合)

音楽業界とインターネットの関係 2

Silverman氏の言う「我々は今アルバムを聞かなくなっている。我々が聞いているのは各曲の集合体である。」が実によくわかります。

このシングルセールスの大きな伸びは、iTunesで数多くの曲をシングルとして99セントで販売しているのが原因の1つと考えられます。「今までの歴史を見ても、アルバムはシングルの約5倍の値段である。」と語るSilverman氏は、シングルの値段をアルバムの10分の1に設定するのは間違いだと考えます。シングル1曲が1.29ドルでも安いくらいだと。そうすればアルバム購入が消費者にとって大きなディスカウントとなり、アルバムのセールスももっとあがるはずなのに、というわけです。しかし、そう思ってはいても、Silverman氏とGarland氏は二人ともこの考え方が変化してきていると感じています。その理由はUniversal Musicのデジタルセールスがアルバムの売り上げの14%を占めているという事実。この数字が9.99ドルのアルバム値段設定が消費者にとって手が出しやすいものだという見方を示しているからです。

 

Facebook・Myspace・Twitter:音楽業界注目のFFF数値

Garland氏によると、今音楽業界が最も注目しているのはFFF数値

これは、SNSでのファンの数FriendsFansFollowesだそうです。Garland氏はこのFFF数値をレースのように競っている、だがゴールは何なのだろうか? と疑問も口にしています。

Garland氏はセミナーでTwitterや特にFacebookでの人気がいかにうなぎ上りであるか、一方で一時期は絶頂であったMyspeceは停滞している事を、Lady Gagaや他アーティストを例にあげてコメント。また、Garland氏はここでFacebookのほとんどのユーザーの「お気に入り」がそのままほぼ強制的に「ファン」にならされているという最近の仕様をあげ、それがFacebookのFFF数値に大きく影響していると指摘。

わかりやすい例として、Garland氏の友人の話をあげています。Susan Boyleさんが一躍人気者になった時、Garland氏の友人はYouTubeで星(評価)をつけ、それをFacebookにも載せました。するとFacebookはそのデータを見て、すぐさま友人はFacebook上でSusan Boyleさんの「ファン」に登録された、ということです。友人はSusanさんのファンではありませんでした。Silverman氏はこれを「消費者のリアクションの指標にはまったくならない、これはただの自動システム。」と注意を促します。

業界が注目しているFFF数値ですが、Garland氏の話からもこの数値の見極めがいかに難しいかがわかります。Lady GagaがMespaceでの友達数が減ろうとも、それは彼女の人気が下がってきてるという見方と直結することはできないということです。

(日本では、mixiのマイミク数やコミュニティのメンバー数なんかもFFF数値にはいりそうですね。)

GoogleとYouTubeはiTunesよりも重要な要素か?

Garland氏が音楽業界で最も重要な会社だと指摘するのは、なんとYouTube。iPodやiTunesがあるので、よくAppleと言うだろうと思われるそうですが、実は音楽業界でのYouTubeの重要度が急上昇中なんだそうです。

Garland氏はYouTubeをネット上最大のオンデマンドミュージックの場所であると表現。人がどこで音楽をきいているか、(ビデオを見るだけではなく)音楽をきいているかに注目すると、より多くの人がYouTubeで聞くようになってきているようです。

ネットラジオ:Pandora

Garland氏、Silverman氏は2人ともPandoraが今1番人気のネットラジオサービスであると言います。市場のシェアは52%、6億近い会員ユーザー数、そして10億近いステーションの数! 全ラジオの1.7%はPandoraだという驚きの数字。

やはり、インターネットが音楽業界に与える影響は驚くほど大きく、従来の音楽のあり方がどんどん変化していっています。さて、音楽業界はこの変化に対応できるか? 出版業界と共に注目の業界ですね。

Austin Carr - Fast Company(原文/そうこ)