僕がKindleの電子書籍しか買わない理由

僕がKindleの電子書籍しか買わない理由 1

Kindleは1年以上前に壊しちゃいましたが、電子ブックは今もKindleで買ってます。大体はiPadで読む用に。

Kindleが単に「カビ色の液晶つけたオフホワイトのアルミ&プラスチックのアグリーな端末」だと思ったら大間違いで、それはコカ・コーラを「赤い缶に入ってる茶色い発泡液」と言うようなもの。Kindleは生きてるんです。

Kindleで買った電子書籍は、AmazonのE-InkリーダーKindleはもちろん、iPhoneiPadMac、PC、Android携帯でもKindleアプリ開いて読めますからね。人気端末持ってる人はKindleブック、読める確率高いです。もしまだでも対応アプリが出るのは、時間の問題

よく出版業界と音楽業界のデジタル化を比べる議論には拡大解釈なところもありますよね。紙の本が今すぐ消えるなんてこと考えられないし。でも、今のデジタル出版が数年前の音楽業界と似た転機に差し掛かっているのもまた事実で、例えば使い捨てのデバイス vs. 持続可能なプラットフォーム、という縮図なんてソックリそのまんまです。

今は基幹技術 が安くなったんですよね。楽曲プレーヤーも前は高かったものですが、あれはポータブルの大容量のストレージが高かったからです。それが安価になって、今では台湾製や知名度そこそこの会社さんのMP3プレーヤーはiPodの何分の1という値段で買えるようになりました(しかも倍のフォーマットに対応してたりする)。

電子ブックリーダーも前はE Inkみたいな電気泳動ディスプレイが高かったせいで、端末も割高だったのですが、それも昔の話。今はあらゆるファイルやフォーマットを判読可能な文字に変える電子書籍端末が本当に安く買えるようになりました。

6月21日アマゾンはKindle 2をいきなり70ドル安い190ドルまで値下げし、価格破壊も後戻りできなくなりました。25日、Plastic Logic社は高価な対抗機種「Quo」(649/799ドル)の先行予約をキャンセル。巨大ディスプレイの「Skiff」もあえなく死滅。ハードウェアはコモディティになりました。

しかし、安くて汎用性の高いオープンな競合製品が出てからも、iPodは相変わらずMP3市場で7割(米国内)のシェアを維持しています。なぜか? 理由はiTunes。そう、プラットフォームがあるお陰なのです。iTunesの米国内における合法楽曲ダウンロード市場のシェアが7割というのは決して偶然じゃないんですね。

 iTunesは楽曲の購入をとても簡単にしました(後にTV番組・映画も)。Windows対応になってユーザーは爆発的に急増。アップル独自のFairPlayというDRMで保護がかかっていたので、iTunesで買ったものはApple端末でしか再生できなかったのに、そんなのどこ吹く風(今は楽曲はDRMフリー)。一度iTunesで買うと、出れなくなっちゃうんですよね。

Kindleのポジションも、これに薄気味悪いぐらい酷似しています。

Kindleブックはeブック市場のシェア8割を握っています。こんな支配的地位が確保できたというのも、Kindleが電子書籍の購入・取り込みを簡単にしたサービスの走りだったから。書籍はオープンなePub形式じゃなく、アマゾン独自のフォーマットとDRMがかかってますが、いろんなプラットフォームとデバイスで楽しむことができるし、一度Kindleで買うと、出れなくなっちゃうんですよね。

KindleのポジションはiTunesより不安定に見えます。Barnes&NobleやiBooksからの競争に晒されているし、出版社とも緊張関係にありますから。

でも、考えてみればiTunesだって何年か前には、(中間業者の力が強大になるのを恐れてハンデつけるくせに、利益はなるべく多く吸い上げようと粘る)レーベルと戦っていたので、そんな大差ないんですね(面白いのは、アマゾンを有力なiTunes対抗馬に仕立てあげようと頑張ったのがレーベルなら、今は出版社がiBooksを有力なKindle対抗馬に仕立てあげようと頑張っていること)。

違いがあるとすれば、Kindleの方がiTunesよりベターなポジションにつけていることでしょうか。Kindleの本はAmazonが売るハードに縛られてないので、他の機種でも読める。Kindleはハード売るための道具じゃなく純粋にサービスなのです。

iTunesはiPodを高い利幅で売るために生み出されました。 iBooksも、iPadとiPhoneを売るためにあるサービス。一方アマゾンはどうか?

ジェフ・ベゾスCEOはフォーチュン誌の29日付けインタビューでこう語ってます。

我々の電子書籍ストア戦略は「一度買ったら、どこでも読める」ですよ。iPhoneで読みたい時も。BlackBerryで読みたい時も。自分の本はどこでも読みたい場所で読めるようにしたい、そう考えていますね。

彼が売りたいのは、Kindleという端末1台じゃないんです。Kindleというサービスなのです。

というわけで極端なこと言うと、今の電子書籍には2通りの選択肢があると思うんですね。いろんなファイルやフォーマットに対応はしてるんだけど、買ってみるまで本当かどうか実体がよく分からない電子書籍リーダーを買う選択肢。たぶん読める。でも簡単じゃないかもしれないし、単に一度買ったファイルをよそに移して常時シンク取っておくのが面倒臭いから使い続ける端末かもしれない...という一抹の不安を抱えながら。

あとひとつは、ずっと使い続けたいサービスに長期の投資を行う、という選択肢です。少なくとも、そこで買った電子書籍は片手に余るぐらいの種類の端末で読めるし、転送も簡単にできれば、どんなスクリーンに呼び出しても読みさしのところから開いて読める―。

僕はどうせ選ぶなら他より長生きなプラットフォーム、選びますね。せっかくお金出して買う本だもの、全部何年も読みたいし、どんなスクリーンでも読めた方がありがたいに決まってます。今んとこそれができるのはAmazonなんですね。

確かに独自のフォーマットとDRMの網はかかってますけど、「(どこでも読めるようにするのが)我々の使命です」とまで言われると、ついて行きたくなっちゃうんですね。

(日本のみなさんはどこで電子書籍買ってますか~? 理由も教えてくださいね!)

関連:電子書籍の新標準「EPUB」とは何か

matt buchanan(原文/satomi)