iPhoneはPalmになっていくはずだった? ジョブズの計算ではアップルが手にしていたパーム買収劇の裏側...

iPhoneはPalmになっていくはずだった? ジョブズの計算ではアップルが手にしていたパーム買収劇の裏側... 1

もしや次のiOSはwebOSだった!?

さまざまな予想や憶測が流れる中、突如としてHPからの正式な買収発表が出されて、名門のPalmの行く末が今春に決したのですが、本当は別のシナリオが現実になる可能性も高かったんですってね。もう少しでアップルやResearch In Motion(RIM)がPalmを手中に収め、iPhoneやBlackBerryが大変貌を遂げる未来も描かれていただなんて、ご存知でしたか?

すでに順調にHPによるPalmの買収手続きも進んだ現在だからこそ明かされる、Palmをめぐるデッドヒートの裏側を、匿名ではありますが、その各社との交渉に深く関わってきたというある人物が、特別にギズに向かって語ってくれましたよ。

こうやって見ると、成長著しいモバイルのスマートフォン市場ですが、まだまだこれから業界再編の波が訪れることだってあるのやもしれません。まず今回はPalmを取り巻く激しい駆け引きの実態から見てみることにいたしましょう!

 

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すべての社名を公表することはできないとのことですが、実はPalmの買収をめぐっては、なんと16社も名乗りを上げて、Palmの有形無形の資産をゴッソリと手に入れることを願い出ていたんだそうです。最終的にはHPが12億ドルで根こそぎ持って行っちゃったわけですが、条件さえ合えば、別にPalmとしては、絶対にHPの傘下に入るなんて最初から決めていたわけでもないので、もうどう転んでもおかしくなかったとのことですよ。

そして、そのPalmの身売り先の最有力候補には、アップルが挙がっていたことが改めて示されました。とりわけスティーブ・ジョブズCEOのPalmに対する買収願望は、異様に強いものが感じられたようです。まぁ、なんと言っても、ジョブズは3Comの傘下にあった昔のPalmも、どうしても手に入れたいと真剣に買収を画策した過去の経歴の持ち主でもあるようですからね...

とにかくアップルが目をつけていたのは、Palmが取得した大量の特許技術とアプリケーション周りの知的財産権だったと明かされています。しかも、ジョブズが提示していた条件は、Palmにとっては破格の待遇が約束されていて、買収後も完全にアップルとは別路線で、これまで通りにPalmは独立した経営と製品サービス提供が保証されるという好条件だったとのことですよ。

webOSなどのiPhoneやiPadへ応用できそうな技術は活用するにしても、そもそもPalm Preを始めとした、真っ向からiPhoneへの対抗馬となるスマートフォン事業の存続を全面的にバックアップしながら、アップルがPalmの支援を持ちかけた真意はどこにあったのでしょうか?

実はジョブズが最も警戒しているのは、グーグルのAndroid陣営というよりは、RIMのBlackBerry陣営であったりもします。そこで、物理キーボードを搭載するスマートフォンとして、なんとしてもPalmには踏ん張ってもらわなければならなかったわけなんです。これ以上はBlackBerryの繁栄を許さないためにも、Palmをアップルが支援してRIMの勢いをそぎつつ、本丸であるiPhoneの普及促進を図っていくシナリオが描かれていました。

そもそもアップルが対立するアプリケーションストアを抱える2路線のスマートフォン事業を軌道に乗せようと考えていたこと自体、なんとなくあり得なさそうなシナリオではあるのですが、今回の話は、実際にPalm買収劇の裏側に通じた人物からの証言をそのまま紹介していますので、これがアップルの真の狙いだったということになっています。

そしてアップルは、どうやらPalmに対して、6億ドルで全面支援を約束して買収するという提示額を出していきます。HPが結着させた12億ドルの買収額の半額程度だったということですね。そして、さすがはアップルだな...という交渉姿勢といたしましては、いろいろと他社が買収額を提示して対抗入札してきていることを知りながら、この提示した6億ドルの金額を一切動かすことなく、一連のヒートアップしていった競争入札には加わらなかったとのことですよ。

もしPalmがアップルの条件さえ飲んでいれば、きっとアップルは破格の安値でPalmを手中に収めていたんでしょうね~

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さてさて、アップルがBlackBerryへの対抗策としてPalmの買収を真剣に検討していた裏側で、これまた興味深いことに、このところライバル製品の登場でBlackBerryのシェア低下の恐れに悩む当のRIMも、最も買収成立に近い位置でPalmの入札競争に参加していたことが明かされていますよ。

買収完了後のBlackBerryとPalmとの共存関係は横に置いておきまして、実のところ、最初に最も高額の買収提示額を出してきたのはRIMであったことをお伝えしておきたいと思います。HPなどは、まったくRIMの提示していた金額に及んではいませんでした。ですから、順調に行けば、PalmはRIMの傘下に収まっていた可能性が非常に高いのですが、土壇場になってHPが急速に入札額を吊り上げて、最後は手中に納める展開となりました。

どうやらRIMは、当初はPalmの所有する特許関連の技術資産のみを買い上げるつもりでしたが、途中からPalmの全社買収へと切り替えて、一気にPalmを手に入れる計算が立てられました。しかしながら、社内で多方面からの反対に遭い、最終的には少し入札額を引き下げたことが仇になって、わずかの買収提示額の違いでHPに抜き去られてしまったようですよ。

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iPhone、BlackBerryと来ましたら、やはりここにAndroidのグーグルの存在を忘れることはできないでしょう。そして、案の定、Palmの買収劇の裏側にはグーグルによるアプローチの姿も確かにあったことが明かされていますよ。

ただ、ちょっとグーグルの思惑は他と異なる要素も多く、Palmが有する知的財産権を根こそぎ買い上げるプランを打ち出していましたが、その狙いは、積極的にAndroidの開発に採り入れていきたいというものではなく、アップルによって買収されてしまうのを防ぐためというのが本音だったんだとか。

そして、ここからが今回明かされた裏情報ですが、グーグルは、まさかアップルがPalmを欲しがるようなことはないだろうとの結論を下すに至ってしまい、それならばわざわざ競争入札に参加する必要もないと途中から判断して、1度も買収額を提示することもなく、Palmとの交渉は立ち消えになっていたようです。もしも本当にアップルがPalmの買収に成功していたら、グーグルの度肝を抜いて、さらに面白い展開になっていたのかもしれませんね...

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他にも今回の人物の話では、ノキアやレノボといった大手メーカーがこぞってPalmの買収交渉に詰めかけて、どこがPalmを競り落としてもおかしくないという激しい入札競争が展開されていたとのことですよ。まさにHPによる買収成立なんて、紙一重の差でしかなかったんでしょうね。

ちなみに実際にPalmを手中に収めたHPですが、なかなかその後の展開は順調のようでして、まんまと狙いのwebOSを活用しながら驚きの新製品発表に向けた準備が進んでいますよ。タブレット、携帯電話、プリンターに至るまで、実に幅広いHP製品へwebOSを搭載して、魅惑の新発売ラッシュも期待できそうです。HP傘下という形ではありますが、これからのPalmの復活健闘ぶりにも注目でしょうかね...

[Business Insider]

Brian Barrett(原文/湯木進悟)