世界貿易センタービルの光の塔に囚われた1万の鳥たち

世界貿易センタービルの光の塔に囚われた1万の鳥たち 1

同時テロから9年―これは9月11日夜、グランドゼロから夜空に放たれた世界貿易センタービル(WTC)を模した二筋の「追悼の光」です。

よく見ると、光の塔の中にひらひらと舞う不気味な光が見えませんか?

あたかも異次元に通じる門のような、この世のものならざる光景です。

と言っても超常現象ではありません。これは自然な説明が成り立つのです。

当夜の映像、ご覧ください。

 


(上の写真・動画撮影者は今週のフォトコンテスト優勝者Robert Bejaranoさんです)


(UPDATE:真下の911メモリアルパークから撮った@mastashoeさんの動画

そうです、光に舞い込んできた渡り鳥なんですね。その数、1万羽。

温暖な地方目指してニューヨーク上空を通過中、あまりのまばゆさに幻惑されて迷い込み、光に閉じ込められてしまった鳥たちです。方向を見分ける目印もない夜空のこと。遠方から強い光を見て思わず吸い寄せられてしまったんでしょう。

世界貿易センタービルの光の塔に囚われた1万の鳥たち 2

オーデュボン協会NY支部市民科学ディレクターのJohn Rowdenさんはこう語っています。「こんなことは過去一度しか起こったことがないですよ。様々な状況が折り重なって生まれる現象です。気象状況もあるし、月の満ち欠け(相)も絡んでいますね」(追:前の週の嵐の向かい風で鳥がたまっていたことに加え、鳥の体内コンパスは日・月・星が頼りなのですが、この日は新月2日目で月明かりも弱く、ロウアーマンハッタンは曇りで星も見えなかったようです)

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(写真上:Timothy Schubertさんが撮った遠景)

光に飛び込んで、移動の時間と労力を無駄遣いした鳥の数は推定1万羽。地上から空を見上げた人たちはこの異様な光景に息をのみ、戸惑いを隠せない様子でした。この空に光り輝く点の正体がなんなのか、誰にも理解できなかったんですね。

真夜中に連絡を受けて現場に駆けつけた鳥類学の専門家たちの手によって、鳥の鳴き声は録音することができました。

鳥を光の塔から解放するため、NYC当局はこの夜、計5回も消灯を余儀なくされました。一夜明けて9月12日、鳥たちはみな日の出とともに空の彼方に消えてゆきました。冬の約束の地目指して。

[Gizmodo and Wired]

Jesus Diaz(原文/satomi)