え、「お塩」を雲にまくと雨が降るんすか!? 「人工降雨」技術に注目

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写真はイメージです。

人為的に雨や雪を降らせる気象改変技術人工降雨」の研究が各所で盛んです。もしかしたら将来実用化されるかもしれません。

気象研究所が科学技術振興調整費を使い2008年から実施してきた人工降雨の研究実験が今夏に終了。今回の実験から、現在研究の進められている人為的に雲から雨を降らす手法に一定の有効性を確認したそうです。今回の実験では、雨粒の核になるシーディング物質(粒子)を雲の中に散布することで雨粒を成長させる「シーディング法」と呼ばれる手法が用いられました。

この手法の基本原理は次の図の通りです。

冷たい雲の場合 (シーディング物質は冷たい雲と暖かい雲によって使いわけます。)

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温かい雲の場合

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シーディング物質を雲へ投入し、その物質を核に水蒸気を集め、雨滴の大きさまで成長させ自重で地上まで落とすという原理です。雨雲自体は人工的に発生させるのではなく、雨を降らすポテンシャルを備えた自然の雨雲から、人為的なタイミングで雨を発生させるということです。

今回の実験ではシーディング物質として「」を利用。

塩の微粒子は水分を吸収しやすいため用いられるのだそう。

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雨雲の下で塩の微粒子をヘリコプターで散布(雲の上で散布すると拡散するため)、上昇気流に乗せて雨雲に吸い込ませることにより、塩を核として水の粒(雲粒)を成長させます。そして、その大きさが0.1~1.0ミリ程度になれば自重で落下し、雨になります

雲に塩を吸い込ませると雨が降るなんて驚きです。

気になったのは、塩や化学物質を含んだ雨が降ってきて、地上の環境に影響はないのかなってことです。シーディングに用いられる物質は塩の他にヨウ化銀などがあるそうですが、ヨウ化銀には弱いながら毒性があり大量に摂取すれば悪影響もありうるそうです。

ウィキペディアによるとヨウ化銀は、

人工降雨に使用される量は非常に微量であり異常摂取でもしない限り人体に影響を与えるほどではない。

とされてはいますが、周辺気象や環境への影響評価は課題でしょう。

ところで人工降雨の研究はもちろん日本だけのものではありません。世界40カ国以上が実施していて、現在100件以上のプロジェクトが動いているそうです。特に米中での研究が盛んで、中国においては、なんと4万もの人が気候改変業務に関係しているというから驚きです。北京五輪の開会式では、事前に雨を降らせることで当日を晴れにしたと言います。この時、中国はヨウ化銀などの化学物質の入ったロケットを1000発以上も雲にぶち込んだそうです。物凄い力技ですね。

他国では干ばつなどの必要性にかられ、有効性を確認しないまま人工降雨を行なっている例が多いそうです。

次の写真は中国の人工降雨弾を放つ高射砲だそうです。

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一方、ウィキペディアによると、人工降雨の限界として次のように書かれていました。

人工降雨はある程度発達した雨雲がある場合に有効であり、かつ成功するもので、雲の無い所に雨雲を作って雨を降らせるのは不可能である。その雨量も、本来の雨量を1割程度増加させるくらいで、自由に降水量を制御できるまでには至っていない。 ある程度発達した雲においても、スーパーセルなど非常に強い上昇気流や複雑な気流を伴う雲の場合、降水を制御するのは困難である。

ということで、かなり難しい技術のようです。

それでも世界中で人工降雨の研究を続けているのにはワケがあります。

気象研によると人工降雨研究の目的は

国連は2025年までに世界の2/3の人口が水不足に直面すると指摘している。日本でも人口集中域では潜在的な水不足の状態にある。地球温暖化が進むと、少雨・渇水や豪雨・洪水などの異常気象が頻発することも指摘されている。今後予想される渇水等の災害軽減対策を早急に講じる必要がある。 本研究では、安定的水資源確保や即効的渇水対策のための人工降雨・降雪技術を確立する。

とされています。

さらに

日本国内では数年に一度の割合で渇水が起きています。渇水は市民生活や経済活動に大きな影響を与えます。人工降雨は、その対策として有望な技術です。

ということで、渇水対策としての人工降雨研究はかなり重要そうです。

現状ではまだ難しい技術なのかもしれませんが、今後研究が進み、降水量の制御が自在に出来るようになることを期待しましょう。人工降雨の研究は個人的にとても興味があるので、今後もチェックしていきたいです。

[四国新聞社MSN産経ニュース「渇水対策のための人工降雨・降雪に関する総合的研究」テクの雑学snowmaniacostdown人工降雨ヨウ化銀pixdausjapanese.china.org.cn]

(鉄太郎)