どうした、マイクロソフト? 大金かけずに「Windows Phone 7」を売り込む戦略で試される本気度...

どうした、マイクロソフト? 大金かけずに「Windows Phone 7」を売り込む戦略で試される本気度... 1

どこまでスマートフォン復活に本気なのでしょうか?

いつかはBlackBerryをも抜き去るスマートフォンプラットフォームとして台頭するはずだったのに、あれよあれよとiPhoneならびにAndroidに大きくシェアを奪われていってしまったマイクロソフトが、一気に巻き返しを図って来月にも投入を予定している「Windows Phone 7」なんですけど、ちょっと気がかりな数字がリークされてきてますよ。

これまでの「Windows Mobile」プラットフォーム路線とは決別し、まったく新たに生まれ変わった最高の出来栄えとして派手なローンチを目指すWindows Phone 7...への大きな期待を抱いている人だって少なくないとは思うんですが、そもそも当のマイクロソフトは、どこまで全力で盛り上げていくつもりなのか、その本気度を眺めてみることにいたしましょう。

できれば今後はBlackBerry&iPhone&Android&Windows Phone 7という四本柱にて激しくスマートフォン市場で凌ぎを削っていってほしい気もしますけど、その強力な一角を本当に占められるまでに至れるのでしょうか?

 

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いよいよ間近に正式リリースが迫ってきたWindows Phone 7をめぐっては、製品発売前の現段階から賛否両論さまざまな評価が飛び交っていますよ。壮大な好評価といたしましては、マイクロソフト自らが絶賛しているように、「Windows」「Windows Live」「Bing」「Zune」「Xbox Live」「Office」「Exchange」「SharePoint」「Silverlight」「.NET」「XNA」「Visual Studio」のすべてが手のひらの中に納まる史上最大の開発プロジェクトの成果とまで打ち出されていますね。ただ、そのわりには、前々から指摘されていたマルチタスクへの非対応やコピー&ペーストがデフォルトの設定では不可能といったポイントを残したまま発売されるとの気になる噂も流れてきたりしています。

このWindows Phone 7の立ち上げに向けたマイクロソフトの意気込みを探るべく、今回はある数字に着目してみることにいたしましょう。公式にはマイクロソフトが発表していないため、あくまでも推測データに過ぎないのですが、ドイツ銀行グループの通信業界アナリストとして知られるジョナサン・ゴールドバーグさんが語っている話では、どうやらマイクロソフトはWindows Phone 7に計10億ドルを注ぎ込んでくる感じですよ。そのうち約4億ドルを立ち上げの際のマーケティング宣伝費用として活用する方針なんだそうです。

もちろんこの10億ドルという総額は2010年内のみの話でして、ゴールドバーグさんが、マイクロソフトの関係者や世界各地の携帯電話キャリア、ハードウェアパートナーメーカーなどに聞き込んだ情報からすると、来年以降もドシドシとWindows Phone 7の成功に向けて潤沢な数十億ドル規模の資金が投入されるようではあるんですけど、この開発費も含めた10億ドルという今年のマイクロソフトの予算は、ちょっと本気度が足りない、思ったよりも少ない金額だったので驚いている人も多いみたいですね。

まぁ、こういう大きな金額の話を聞くと、それがどれほどスゴい初期投資なのかというイメージにも苦しみますので、米GIZMODO編集チームから用意されました、以下の比較データに目を向けてみてくださいね。当然ながら、マイクロソフトだってWindows Phone 7には期待してるんでしょうけど、なんとなく節約型の戦略で思ったほどの勢いは出なかった...だなんてことだけにはならなかったらいいんですがねぇ。

12億ドル

今後のスマートフォンOSは四本柱にって評価を残念に思っている人がいるとすれば、やはり惜しまれつつ消えていくPalmの姿があるのではないでしょうか。その優れたユーザーインターフェース(UI)が一部で大きく持てはやされていた「webOS」を始めとする一連のPalmの資産を手中に収めるために、HPが買収に支払ったとされる額が、この12億ドルなんですけど、なんと落ち目だったスマートフォンプラットフォームを丸ごと買い上げるために払われた金額のほうが、今後の期待を担うWindows Phone 7に注ぎ込まれる全額よりも多いという形になっていますね。まぁ、あくまでも比較対照のデータに過ぎないですけど、それでも興味深い数字だと思いませんか?

15億ドル

こちらも正確な数字はアップルが未公表のため、各アナリストが出している推測データとはなってしまいますけど、アップルが今年4~6月の3カ月間で売り上げたiPhoneの販売総額は、かなり控えめに見たとしても15億ドルを超えると言われていますよ。Windows Phone 7の年間初期投資が10億ドルって、こうやって見ると、そんなに驚くほど豪勢な投入金額の予算ではないと思えてきちゃいませんかね...

80億ドル

もう少しワイドな視点でも眺めてみることにいたしましょう。ガートナーが発表したデータによれば、先ほどと同じく今年4~6月の3カ月間というスパンで見ていきますと、その期間に全世界で売り上げられたスマートフォンの総額は80億ドルにも上っていますよ。6160万台ものスマートフォンが販売されたんですってねぇ!

130億ドル

さてさて、こちらは当のマイクロソフトが昨年1年間に全世界で注ぎ込んだセールス・マーケティング費用の合計金額です。えっ、ということは、Windows Phone 7のためには、昨年の数字ベースで見ても全社で1割に遠く満たない開発宣伝費用しか使う予定がないということなんでしょうか...

150億ドル

一方、こちらは現在も全米でトップのスマートフォンユーザーのプラットフォームシェアを握っているBlackBerryのメーカーであるResearch In Motion(RIM)が、全世界で過去1年間に売り上げたBlackBerryの総販売額のデータですよ。ちなみに純利益だけでも24億8000万ドルを確保しちゃってるみたいですね~

400億ドル

さらに、今年はスマートフォンがかつてない伸びを見せる1年ともなりそうなのですが、全世界で販売されるスマートフォンの年間売上高の合計は400億ドルを突破予定ですよ! なんともスゴい額の数字ですね。

2500億ドル

最後に紹介する比較データになりましたけど、なぜスマートフォンの販売に各携帯電話キャリアが積極的なのかを垣間見れる数字ともなっていますよ。iSuppliが出している予測データによれば、今後5年以内に、キャリアがワイヤレスデータ通信料金のみで売り上げる金額の合計は実に2500億ドルにまで達するみたいですよ。もはや音声通話ベースでは採算が取れないキャリアにとっては、スマートフォンが一大市場を形成する頼みの綱となっていく感じでしょうかね...

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ちなみにマイクロソフトの携帯電話戦略を語る上で、やはり忘れてはならない過去の失敗にも触れておかねばならないでしょう。純粋にはスマートフォン路線ではないとも同社が主張する「KIN」の存在ですね。若者をメインのターゲット層とした、ヒップなソーシャル携帯電話として大いに盛り上げていくはずのKINは、残念ながら、一度も成功の喜びを味わうことなく、ほんの一瞬で発売直後に姿を消す運命に終わってしまったのですが、なななんとこのKINの立ち上げまでにマイクロソフトが注ぎ込んだ一連の開発費およびマーケティング戦略の宣伝費の合計が、非常に控えめに見積もったとしても10億ドルだったと言われています。そう、Windows Phone 7と同じ10億ドルだったんですよね。

えぇっ、そんな、これからスマートフォン市場での復活を賭すWindows Phone 7と、期待されたものの消えていったKINの扱いが、予算上はマイクロソフト社内では同じ金額でしかないという現実って、なんだかちょっとショックなような気がしませんか?

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当然ながら、注ぎ込まれたお金の額が大きければよいってもんじゃないことくらいは分かっているつもりです。大した費用が割かれたわけではないのに、優れたアイディアで爆発的なヒットを飛ばして伸びていった製品サービスだって多々ありますね。ただ、今回のマイクロソフトのWindows Phone 7に懸ける意気込みを考えますと、なんか年間売上高が625億ドルを超える巨大企業にしては、ちょっぴり本気度に欠ける投入資金なんじゃないのかなって評価も、すでに多方面から出てきちゃってるようですよ。

参考までに、過去の製品リリース時のローンチキャンペーンにマイクロソフトが注ぎ込んだとされる宣伝費用を挙げておきましょう。それほど成果が得られなかったとも言われる「Windows Vista」の立ち上げには約5億ドルが使われたそうです。一方、昨年の「Windows 7」のリリース時には広告キャンペーン費用に約3億ドルが用いられたとの話ですよ。来月に迫ったWindows Phone 7の発売時には、テレビCMや紙面広告、オンライン広告に、マイクロソフトから4億ドルが拠出されるというわけなんですが、さてさてどうなることでしょうかね? あっ、それにプラスして全社員を総動員したサプライズキャンペーンも展開されていくんでしたっけね...

Wilson Rothman(原文/湯木進悟)