【インタビュー】みんなでARやろう! AR三兄弟に聞いたARの未来

【インタビュー】みんなでARやろう! AR三兄弟に聞いたARの未来 1

AR三兄弟をご存じですか?

数々のAR技術を世に送り込んでは、新しいことにチャレンジしていくAR三兄弟。先日もメディアジーンの媒体を見るためのARシステムを作ってくださったり、様々なAR活動をされています。

そして、今回ギズモードで、このARのエヴァンジェリストともいえるAR三兄弟にインタビューしました。インタビュー中に突然「ギズ限定のARとか作ってくれませんか?」という問いかけにも二つ返事でOKくれるAR三兄弟の懐の深さにも感謝しつつ、記事の最後には「これならできるAR」システム(誰でも簡単にできるARシステム)をギズモード限定で公開します!

インタビューを読み終わったあとに試すとおもしろいですよ。

 

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長男の川田十夢さん

ギズモードゲスト編集長(以下いちる):AR三兄弟って何をやってるチームなんですか?

川田十夢(以下長男):プロダクトですね。僕たちはALTERNATIVE DESIGN++という未来開発プロダクションの一員で、未来を先回りしたプロトタイプを発明しては「これスゴくね?」っていうのを仕事にしています。

いちる:あっミシンの会社(JUKI)やめたんだ。

長男:そうです。独立しました。まだ法人化はしてないんですけど、個人事業主として活動しています。AR三兄弟はその活動の一つで、他にも広告の企画などもやってます。

いちる:ラボな感じですね。なんで兄弟にしたんですか?

長男:僕たち年齢が離れてるんですよね。JUKIにいたときにオルタナティブデザインがやりたいって言い出してから、5年後くらいに(次男三男が)入ってきたんですよ。

いちる:上下関係を取っ払うために兄弟にしたんですね。JUKIにいたときには何をされてたんですか?

長男:デザインやDTPはやってたんで、デザインの実績はあったんですが、会社は何もやらせてくれませんでしたね。

いちる:会社入ったのに仕事がない。

長男:そうです。でも、急に某巨大電話会社から顧客情報管理DBを作ってくれという話が来ましたね。DBなんてまったくやったことがなかったんですけど、丸2日くらい寝ないでやったらできちゃったんです。それがキャリアのスタートって感じですね。

僕はデザインからスタートして、DBとかプログラムとかできるようになって、広告の仕事なんかも手がけてましたね。そんな中本社から「未来のミシン」を作りたいから、考えてくれって言われて、色々作っているうちに特許取ったりしてました。他にも、今、mixiやtwitterが陥ってる問題として負荷分散があると思うんですけど、僕たちも「世界中の人達が作ってるサービスをどうやって負荷分散するか」というシステムを作ったりして、あの会社内では、特別な位置になっていました。

そんなことを色々やってるうちに、もうメーカーの仕事はだいたいやったので、好きなことやろうと。

いちる:人生どうなるか分からない感じですね(笑)

長男:ほんとにそうですね。仕事も取らない限り無いので、時間はあったんです。そうやって探求してるときにこれはいいなと思ったのが「AR三兄弟」です。

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次男の高木伸二さん

いちる:10年後くらいに大化けする技術ってなんだろうね。っていう話を友達としていたときに、ARじゃないかっていうのをしてたことがあるんですけど。ARの可能性ってなんでしょう?

高木(以下次男):ちょっとまだ先の方は分からないんですけど、今の漠然としたARの状況としては、まだ「驚き」だと思うんですよね。でも、もっと進歩していけば、ARで「泣かす」ことができるんじゃないかなと思ってます。今後はARで泣かすのが目標ですね。

そこまで進歩したら、一般にも浸透していくんじゃないでしょうか。昔テレビとかって、見ててすごいと思って、感動するもの流しても、たぶん興ざめしてたと思うんですよ。今のARはそんな状況で、これから「泣かす」ことができるんじゃないかと思っています。

いちる:ARってデバイスが問題になることがありますけど、ニンテンドー3DSでその問題も解決しそうですよね。長男はどうですか?

長男:ギズなんで、未来の話をすると、ARはマーカーがいらなくなると思います。僕らもマーカーがないものを作れるんですけど、老人とか子供とかが、何かここに出てくるんだなと目印として意識させれば、まずARと分かりやすいですよね。でも、ある時点でマーカーという補助輪を外してしまえば、ARだと分かってくれるんですよね。ちょっと先の話ですけど、僕は、ARは社会インフラになって使われると思ってます。この前放送作家の小山薫堂さんと対談したんですけど、その時に話してたのは、薬の処方箋でARを使えば、その病気の人に何に注意するだとか、薬をいつ飲むだとか、生活の中で必要なものとしてARが使われるようになれば浸透ラインだと思います。それをみんなが使えるようになるには、ここに何か出るんだと理解してもらえないとだめなんですよね。

いちる:なるほど。QRコードに似せてるのはなにか意味があるんですか?

長男:QRコードというよりは、角張ったものというのは意識してます。QRコードと似てるんですけど、結構違ってて、QRコードは2次元バーコードでその中にデータがありますけど、ARはデータを取り出すものなので、あえてQRコードよりもシンプルなのに複雑なものが出てくるのが面白いと思ってます。

いちる:へーわざとやってるんですね。

長男:えぇ。わざとやってます。そしていつかARマーカーはなくなりますね。

いちる:なるほど。ちょっとお願いなんですけど、ギズ読者のためにオリジナルARシステムを提供してもらうことって可能でしょうか?

長男:そうですね...。プログラムを書いてもらうのは大変なので、誰でもできるARを配布するというのは可能です。

いちる:ほんとですか? ありがとうございます! これはちょっと楽しみだなぁ。

長男:ライセンス的にも商用利用しなければ誰でも使って大丈夫なはずですよ。

いちる:ほんとにありがとうございます! 感謝です!

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三男の小笠原雄さん

いちる:これからAR三兄弟はどうなっていくんでしょうか? 今後こういう方向にいきたいとか、やりたいことってあるんでしょうか?

小笠原雄(以下三男)まだARってお祭り的なんですよね。デザインとかと自然に結ばれるといいかなと思ってます。さきほどあった話ですけど、デバイスがまだケータイ・PCがメインなので、テレビなんかにもぐいぐい進めていきたいですね。

いちる:今この瞬間で役に立っているARってあるんでしょうか?

長男医療分野で使用できそうな研究が進んでいます。今まで僕たちが見せてきたのは視覚のARで、大学や企業などのラボ(ここで挙げた触覚ARは稲見研究室の事例)では触覚や感覚のARというのが研究で進んでいます。例えば、メスの先に搭載された色彩検知センサーがあります。メスって鉄なので電気が通りますよね。で、この触覚のARを使ったメスを使えば、メスの先の色彩検知センサーで察知した異物情報を、自分の指先に触覚ARで伝えることができます。こういった技術は5年もあれば認知されてゆくと思います。でも、技術の限界というのは必ずあるので、僕らは、ハードの浸透を待たずにできることを実現させてゆきたいと思っています。

いちる:パッと思いつくのは遊戯王ですね。ああいう実際の場に行くとARで実現するというのは可能だと思うし、ゲームに感情移入できないっていう人が増えてるので、技術と物語と現実がうまく融合するポイントにおもしろい所があるんじゃないかと近いところはありますよね。ところで、ARに有効なガジェットってなにかありますかね?

長男:ビューワーですよね。たぶんブレイクポイントになるのは、ヘッドマウントディスプレイですかね。でもあれって危険なんですよね(笑)

以前、神戸大学の教授をされている塚本昌彦さんというウェアラブルコンピューティングの権威の方が、僕の講演に来たことがあったんですけど、近づいてくるのがもうロボコップにしか見えなくて、明らかに未来から来たなと。

そういう最先端のものって、一般の認知が進むまではどうしても怪しく見えてしまうんですよ。ブレイクポイントになると思うのは、メガネのような形状で、網膜に自然に情報を照射するというものが年内に発売されるらしいんですが、それが一般性が帯びてきたら先に行ける気がするからなんですけど。

いちる:なるほど。年内に出るんですか。ちょっと欲しいですね。何かいまここで体験できるARってありますか?

長男:今メディアジーンさんと作ってるARシステム(AR CHANNEL)があるので、それをやってもらいましょうか。

AR CHANNELでどっきりにひっかかるいちるさん

長男:このARは、マウスもキーボードがなくてもコントロールできるというのが画期的なんですけど、ほんとにうっかり作ってしまいましたね。

いちる:これはやってるだけで面白いかも! あっ、もうそろそろ時間ですね。本日はあり(AR)がとうございました!

AR三兄弟:あり(AR)がとうございました!

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さぁ、「これならできるAR」の公開です! AR三兄弟から特別にいただいたこのARシステムは、簡単に誰でもARが楽しめちゃうものになっています。

一からARをプログラムするのではなく、ARとはこういうものだということを知るためのたたき台としても十分な完成度です。こちらからダウンロードしてください。使い方を以下に記載しておきますが、ライセンスについても書かれているREADMEを必ず読んで下さいね

使い方

1.marker.pdfを印刷します。

2.Main.swfを開きます。(ブラウザにドラッグ&ドロップ等)

3.カメラを認識した後、マーカーをかざすとデフォルトの画像が表示されます。

4.表示物を変更したい場合、imageフォルダにファイルを入れます。

5.dat.xmlの各タグの値を変更すると、表示したいものや、位置や大きさを変更できます。

<filetype>表示するものを画像か動画か設定する。

画像の場合はimage

動画の場合はvideo

<filename>読み込むファイル名。

画像の場合の拡張子は、.png .jpg .gif

動画の場合の拡張子は、.flv .f4v

に対応しています。

<width>表示物の横幅です。(単位はピクセルです。)

<height>表示物の横幅です。

<positionX>マーカーを支点としたX位置

<positionY>マーカーを支点としたY位置

<positionZ>マーカーを支点としたZ位置

<rotationX>X軸の回転の値

<rotationY>Y軸の回転の値

<rotationZ>Z軸の回転の値

本ARシステムのライセンス等について

ARToolkit関連のライセンスに関するお問い合わせ

ARToolworks社 日本代理店 株式会社エム・ソフト

http://www.msoft.co.jp/artoolkit/

ALTERNATIVE DESIGN++ , AR CHANNEL

(大野恭希)

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