ロボットが触覚を持ったら? その使い道は?

ロボットが触覚を持ったら? その使い道は? 1

       

ロボット工学では、動物や人が持つ感覚機能をロボットで再現することを研究し続けています。

そして五感の中で視覚と聴覚については、ものすごい進歩をしました。でも嗅覚と味覚についてはまだまだ遅れていて、中でも触覚は一番難しいと考えられてきたんです。新しい感圧センサーを備えた電子皮膚が登場するまでは。

この電子皮膚は、ゲルマニウムとシリコンで出来ていて、その周りに粘着質なポリイミド薄膜が巻きつけてあるものなんですが、プロトタイプは約7.6平方センチぐらいのもので、0~15キロパスカルの圧力を与えてみたところ、それぞれの圧力を的確に見抜く事ができたそうです。こんな事ができるのはゴム皮膚のおかげで、内蔵されたコンデンサーを制御する圧力の変化によって厚みが変化するんだそうです。ちなみに、0~15キロパスカルの圧力は、タイピングしている時や何か小さなものを持っている時に遭遇する圧力の範囲です。

そして、この電子皮膚のデザインチームのメンバーAli Javeyさんが、なぜ触感の感度のよいロボットが拡張ロボットの有用性に大切なのかを説明してくれました。

一般的に人間は、壊れやすい卵を割らないで持つ方法を知っています。例えば私たちが棚から食器をおろすロボットが欲しいとします。その時には、確実にお皿やワイングラスを壊さないようにしてほしいって思いますよね。更に、お鍋も落とさないようにしっかりと掴んでほしいと思うでしょ? それを可能にしてくれるんです。

服を着たり、新聞を読んだりという基本的な行動も、直感的な触感と圧力を必要としていて、この新しい皮膚はロボットの握るという行為に、その感覚を加えることができたんです。もちろん、家庭内の作業以外でも同じロジックが適用されるので、お役立ちな場面は多々ありますよね。それを考えると、本当に飛躍的な進歩です。

ただ、今のところ、本物の皮膚の中にある精巧なセンサーの代用品になるほどではありません。私たち人間は、ただ圧力を感じるのではなく熱、痛みなど、他の感覚と繋がった感覚を感じますから、それを再現するのは、難関中の難関なんです。

ただ、人工皮膚は、すごいポテンシャルのあるもので、もしも1種類でも、完ぺきな人工感覚器を完成させる事ができたら、私たちが欲しいと思う様々なタイプのセンサーを作れるようになる可能性は大です。例えば、触ることによって放射能から生物学的作用物質までを検出する能力を持ったロボットが造れるかもしれません。そうすれば、危険で人間が出来ない領域を、ロボットが代わってくれることになり、ロボットの有用性が増大します。

研究のリーダーZhenan Baoさんによれば、この人工皮膚には更にいい事が出来る可能性があるとか。それは、何らかの理由で体に損傷を受け、感覚を感じられない部分が出来てしまったとき、失われた感覚を取り戻す手助けになる日がくるかもしれないということ。まだまだその日がくるには道のりが遠いみたいですけど、頑張ってほしいですよね。

人間の神経回路に人工皮膚を接続するのは、非常にやり甲斐のあるタスクでしょう。最終的には、遠い将来ですが、私たちは人工皮膚が本当に人肌と同じように機能するようにしたいと考えています。神経細胞に接続し、感覚を回復させられるようになったらベストです。初め、私たちが想い描いたプロトタイプは、もっと携帯端末っぽいものか、皮膚感覚を持っている他の体の部分に接続する装置でした。このディバイスはパルスを発生させ、他の皮膚の部分を刺激します。例えば、人工の手が何かに触れたよというような信号を発信してくれるんです。

何年先になるか分からないけど、一歩づつ目標に近づいて人工皮膚の偉力を発揮できるようになってほしいですね。

[ちなみに、今回の人工皮膚の画像が無かったので、こんな感じのイメージってことで東京大学のE-Skinプロジェクトのものを使わせてもらいました。]

-Alasdair Wilkins(原文/junjun )