日本人2人がノーベル化学賞! クロスカップリングとは?

2010.10.07 16:00
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皆さん既に御存知とは思いますが、ノーベル化学賞受賞者のうち2名が日本人!!米パデュー大特別教授の根岸英一さんと、北海道大名誉教授の鈴木章さんです。
化学者のつぶやきというサイトにわかりやすく解説されていたので、それをさらにかいつまんで紹介させていただくと、御三方の業績は

ベンゼン環などの「炭素をつなぐ」ための新たな化学反応(クロスカップリング)、およびそのための触媒(パラジウム触媒)を開発し、これまで合成が事実上不可能だった有用物質(医薬品や機能性材料)を効率的にかつ自由度高くつくりだすことに成功した

ということ。

カップリング反応とは、「2つのものを結合させる化学反応」の一般名称で、特に異なる二つのものがくっつく反応の場合クロスカップリング(cross coupling)と呼びます。


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そして、それまで難しかったベンゼン環の炭素同士をクロスカップリングさせる触媒(反応を加速させる物質)として有効だったのが、御三方の使ったパラジウムという金属だったわけです。


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asahi.comによると

ヘックさんは、有機化合物の合成反応を仲介する触媒にパラジウムをいち早く使った「ヘック反応」を確立し、根岸さんがこれをクロスカップリング反応に応用した「根岸カップリング」を開発。亜鉛化合物やアルミニウム化合物を使った反応などにバリエーションを広げて、使いやすい形に改良した。亜鉛を使うと反応が安定し、合成できる物質の種類が増えた。

 さらに、鈴木さんは北海道大教授だった79年、亜鉛の代わりにホウ素を使って改良した「鈴木カップリング」を開発し、実用化に結びつけた。従来のカップリング反応は特別な溶液中などで行う必要があったが、鈴木さんの反応はこの弱点を克服した。特別な条件を整えなくても反応が進み、毒性が強い化合物を使わずにすむ。

とのこと。

さらにプレスリリースによると

本年のノーベル化学賞パラジウム触媒によるクロスカップリング反応の開発に対し、Richard F. Heck 、根岸栄一鈴木章氏に贈る。

この化学の手法は化学者の可能性を大幅に広げ、その結果、高度な化学物質、 たとえば自然が創造したのと同じくらい、複雑な炭素をベースとした分子が合成できるようになった

炭素をベースとした化学は生命の根幹であると同時に、花の色、蛇の毒、ペニシリンのような抗菌剤など数多くの不思義な自然現象の原因でもある。有機化学は天然の化学に基づき更にそれを発展させ、炭素原子のすぐれた性質を利用して、機能性分子に必要な安定な骨格を作り出すまでになった。これにより人類は、新しい薬やプラスチックのような革新的な物質を手にすることができるようになった。

このような複雑な化合物を作るためには、炭素原子同士を結合させなくてはいけない。しかし、炭素原子は安定で 他の炭素原子とは容易に反応しない。したがって、化学者が炭素-炭素結合を作るために最初に取ったのは、炭素の反応性をより高める様々な方法であった。このような方法は簡単な分子を合成するときには有効であったが、より複雑な分子を合成する場合には、誤験管内に多くの不要な副産物ができる結果となった。

パラジウム触媒によるクロスカップリング反応はこの問題を解決し、化学者は精緻で効率の良い合成法を手にすることになった。
ヘック反応、ネギシ反応、スズキ反応では、複数の炭素原子が一個のパラジウム原子の上で出会い、近くにあるために そこで化学反応が開始する。パラジウム制媒は世界中の研究現場で、また、製薬や電子産業に使われる分子などの 商業生産にも使われている


ということです。
要するに亀の甲(ベンゼン環)を自由に繋げられるようになって、超便利って話です。
特に鈴木教授の開発した「鈴木クロスカップリング」は基礎研究から実用にいたるまで幅広く使われている化学反応の一つ。文句なしの受賞ということです。
日本人のノーベル賞受賞は17、18人目。おめでとうございます。そしてとても嬉しいです!!


[プレスリリース【速報】2010年ノーベル化学賞決定!『クロスカップリング反応』に!! :化学者のつぶやき、ノーベル化学賞根岸英一氏・鈴木章氏ら3人に :asahi.com(朝日新聞社)]

(鉄太郎)
 

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私の歩んだ道―ノーベル化学賞の発想 (朝日選書 (670))