続・それでも僕はチキンナゲット食べ続けます。

続・それでも僕はチキンナゲット食べ続けます。 1

へへへ、あれ読んでからチキンナゲット食べられなくなったって? いや~そうかと思ってもっと詳しく工程を調べてみましたよ。

みなさまが焦ったのはこの極太ソフトクリームみたいなピンクのムニュムニュした練り肉...ですよね? これはたぶんチキンナゲットになる前の原型。食べても全然オーライなものなんですが、見た目よりなにより写真の記述で引いちゃったんではないでしょうか。

基本、チキンを丸ごと潰して、うらごしにかけるんだ。骨、目、内臓、全部。すると、こんな風になって出てくる。

まだあるよ。肉にはバクテリアがうようよいるので、アンモニアで洗うんだよ、びっしょびしょに浸るぐらいぶっかけてね。で、糞マズイので人工的に味付けする。で、このままではあまりにも怪しいピンクだから、人工着色料で染めてやるのさ。

ま、こんなの読んでから食べろって方がムリよね。

そこでヘルプをお願いしたのが、鶏肉分野で長年働いてきた食品科学者でコネチカット大学教授を務めるDaniel Fletcher博士です。教授は親切で話し易く、科学者(マッドサイエンティスト)というより農家のおっさんという風情。なのですが、食肉加工の技には精通しており、ずばりファストフード産業向けにダークミート(調理しにくい部位の肉)をホワイトミート(胸肉っぽい食肉)に変えた実績で知られるお方でもあります。その教授にチキンナゲットが本当はどこから来てるのか尋ねてみました!

実はそこまでグロではない

 チキンナゲットといっても全部が全部、機械で取り分けたチキンからできてるわけではありません。ナゲットには2種類あるんだと、Fletcher教授は言います。

「whole muscle product(全筋肉製品)」は肉を丸ごとひと切れ使い、衣をつけて揚げるタイプのもの(例:Chick-Fil-Aナゲット)。一方、「chop-and-form product(ミンチにして成型する製品)」はハンバーグみたいなもので、「調理や下ごしらえしづらいものを刻んで調理し易くしている」んですね。胸肉・モモ肉を切り分けた後も、鶏肉には全然食べてOKな肉がまだ沢山残ってます。だから無駄を出さぬよう、「他の肉片もこそげ取って、他の製品に加工するのです」と教授。ホットドッグなんかは十中八九これでしょうね。

さ、いつまでもこのムニュムニュを見つめて前世をあれこれ想像巡らすより、バーンと精肉工場を見てみましょう!

とまあ、こんな具合に機械で取り分けるわけ(ちょいと解説が訛ってるけどね)。機械加工と言っても骨すり潰してチキンナゲットに練りこむなんてことはなく、要は骨が丸裸になるまで良いお肉をこそげ取ってるだけなんですよ。

練り状になるまで細かく刻んだお肉は「batter(生地)」と呼びます。ミンチにしたチキンは? ピンクです。スーパーで買った生の鶏肉をフードプロセッサにかけてごらんよ、ちょうどこんな風にピンクのペーストになるから、とFletcher教授は言ってましたよ。

続・それでも僕はチキンナゲット食べ続けます。 2
終始穏やかなFletcher教授が気色ばんだのは1度だけ。蔓延するバクテリアを除去するためアンモニアでチキン消毒してるって話ですが...と持ち込んだら、ショックの余り息も絶え絶えにこう言ってましたよ。「食べ物にアンモニア混ぜる馬鹿がどこにおるねん! 違法じゃよ! そんな離れ業やる人間は見たことない。みんな製品には巨額のマネー投資してるんじゃ。断じてない」

教授曰く、食肉ビジネスは「規制のハードルが高く」、「イメージをとても大事にする」らしいんですね。「人が買わない製品は出さない」という説明には、なーるほどなーと。最近は食品サイエンスも進化してるので、それを考え合わせると、こういうチキンのウネウネが出てくるのも頷けますよね。

美味しさには勝てない

1970年代前後、Fletcher教授が駆け出しの頃始まった食品サイエンス。その最大の使命は「需要のない素材から需要のある製品をつくって食品供給量の拡大を図ること」でした。タンパク質が不足する世界に備えるために。

が、危惧された事態は起こりませんでした。

逆に食品が安くなり、安くなったぶん人が食べ物にうるさくなった。現在では、「みなさん胸肉を欲しがるんです。ダークミートは欲しがらない。ダークミートは今や胸肉の副産物として出る肉なのですよ」と教授。つまり愛されない鶏肉が山と出るわけ。それが食品科学者の魔法の手にかかって、全国のみなさまのお腹を満たしてる。「ブレンドして成型して衣つけて揚げたチキン」と考えるだけで気持ち悪くなっちゃうって人も、Fletcher教授の掲げる「人間としての責務」は無視できないんじゃないかなあ...。「自分が食べるために動物を殺生する以上、残さず活かす責務がある」

気になるチキンナゲットについても「定評のある場所に行けば安全性や味の問題はないですよ」と言ってましたよ。では早速バーベキューソースつきのをダブルで注文といきますかね!

matt buchanan(原文/satomi)