TSAの全身ボディチェックで操縦不能になったパイロットの独白

TSAの全身ボディチェックで操縦不能になったパイロットの独白 1

アメリカの空港では今、TSA(運輸安全庁)の全身スキャナー解説)を受けるか、手でパタパタパタパタ首から股間まで「パットダウン」する全身ボディチェックを受けなきゃなりません。これが本当に屈辱なのです。どれぐらい精神的ダメージが大きいかというと...

あるパイロットはこれで操縦不能になっちゃったのです。「甘いこと言ってんじゃねーよ」とか言わないで、まずは彼の話を聞いてみてください。

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僕はUSエアウェイズのパイロットです。人工股関節なので、金属検出機で引っかかります。この5年ぐらい仕事の日は毎朝尋問を受け、棒の探知器検査とパットダウン(全身ボディチェック)を受けてきました。 他に何か解決策がないか会社・組合に聞いても、何ら解決策はないままでした。

およそ1年前、新たに「groin check(股間検査)」なるものに遭遇しました。両側の先端から付け根まで1インチ(2.54cm)手の甲を泳がせて行う検査です。それに触らなければ構いません、と言うと、検査官は「ホモ恐怖症」はやめろとなじって、触らないなんて確約はできないと言いました。僕は、だったら検査は受けないと言い、航空会社に電話をかけて指示を仰ぎました。すると、なんでもいいから飛行機を飛ばせ、そしたら解決策を探すの手伝ってあげるから、と言ってくれたんですね。そこで股間検査に応じたんですが、あまりの屈辱・怒りにコックピットに入ってからも雑念に囚われて仕事がほぼ手につかない状態になっていました。幸いその時は機長が僕の異変に気づき、代わりを務めてくれました。ひとことも言わず。

組合に電話でこのことを報せると、 局部を触らせなきゃならない義理はあなたには全くない、こんなおかしな話はない、いいですか、連邦航空規則の上でも会社の航空操縦マニュアルの上でもあなたにはパイロットとして任務遂行できる状態に自分の体調を保つ義務があるんですよ、また再び同じ状況に置かれるようなことがあったら、もう飛ばなくていいですから、と言いました。まあそれでも股間検査はますます頻繁に起こるようになり、しまいには受け入れるよう自分を無理やりねじ伏せ、余計な考えを頭から追い出すようになりましたけどね。

そして10月30日。僕はフェニックス発シャーロット行き1745 EST発1550号機を飛ばす予定でした。...と、会社から、「ボディスキャナーを拒否すると新しいパットダウン(全身ボディチェック)を受けることになるが、それは従わなくてはならないぞ」というメッセージがみんなに届いたのです。僕は「やるなら今だ」と思いました。会社規則に従う方を選び、あまりにも酷かったら今度こそ飛ばないと、心に決めたのです。

 

いざ行くと金属探知機がビービー鳴り、スキャナーを通るよう言われました。が、それはパス。パットダウン(全身ボディチェック)を耐える方を選び、証人として機長の同席を得た上で個室検査を要請しました(証人要請の権利は常にあるんですね)。

彼らはシャツの襟から着手し、ズボンのウェストベルトの中に進み、全部回って股間のものの内側を上り、正面から各側面を絞るようにし、裏の両側も下から上に調べました。計4回も触りやがった! 次に全身を手のひらで力いっぱい押しながら触りました...おしりも正面の股間のものも両側1インチ(2.54cm)ずつ。 僕はひとことも喋らず外に出ました。機長とふたり、屈辱に頭をうなだれて。 こんな堕ちぶれた処遇に甘んじることになるとは考えたこともなかったです...一度も。

飛行機に辿り着くと機長も僕も、僕がとても飛べる精神状態ではないという意見で一致しました。僕は顔を真赤にし、滝のように汗をかいていたんですね(言葉には出さなかったけど、ありったけの罵倒の言葉を吐いてました)。その時初めて気づいたんです。これは恥辱ではない、怒りをもたらす侮辱なのだと。同僚と会社、組合に報告しましたが、どこも代替案が見つけられなかったので、結果としてフライトはキャンセルになりました。僕は法の定めにある一字一句を守ったのに、自分のキャリアと評価、僕の稼ぎに頼っている周囲の人たちの生活を危険に晒してしまったのです。

というわけでみなさん、これだけは保証します。(10月に検査を拒否して逮捕されたパイロットの)マイケル・ロバーツさんが言うように、我々の尊い人権の最後の「land grab(土地争奪)」が今目の前で繰り広げられています。この5年、僕は検査が急速に悪化するのをこの目で見てきました。既に700回以上もパットダウン(全身ボディチェック)に耐えて。まるで何か酷い手法を画策し、それを僕らに試して様子を眺めて、それで問題がなければ、またもっと酷い手法に進む、という調子です。こんなこと、ここで止めさせないと。僕らの体は僕らのものであって政府のものじゃないんです。誰かが爆弾を1ポンド分も直腸に忍ばせたら、いくら手探りで検査したって見つかりっこないでしょ。今のこれが飛行機爆発を未然に食い止めるTSAのアプローチなら次は何か、考えてみたことあります? これを許せば次は体腔チェックですよ、それがもう、すぐそこの曲がり角まで来てるんです。彼らは「安全という名のもとに」と言えば何でも安全対策になる、何やっても正義と思ってる。でも、そうじゃないんだ!

(以上の証言はFedUpFlyers.orgRutherford Instituteからの再掲です)

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これに先立つ10月には、上記のようにメンフィス勤続4年半のパイロット、マイケル・ロバーツ(Michael Roberts)さんが検査を拒否して解職の危機に晒される事件が発生。ロバーツさんは顛末を会社のウェブに公開し、沢山の同情票を集めました。

こうした声を受け、エアラインパイロット乗員組合(ALPA、米国・カナダの航空会社38社に組合員3万8000人)が働きかけた結果、アメリカ運輸保安庁(TSA)は19日、パイロットに限りID照合などでセキュリティチェックおよび執拗なパットダウンはパスして良いことにする、と発表しました。

すると乗務員から「ダブルスタンダード! なんで自分たちだけが受けなきゃならんの!? おんなじ訓練うけてるのに! 」と不満の声があがり、TSAは23日、乗務員もパスしてOKと発表しました。良かったね。

Howard Pinkham、Justin Hyde、Jesus Diaz (原文1原文2原文3/satomi)