TSA検査官、全身スキャナーで「小さい」と馬鹿にした同僚を警棒で殴る!

TSA検査官、全身スキャナーで「小さい」と馬鹿にした同僚を警棒で殴る! 1

昨年クリスマスのデトロイト飛行機爆破未遂の時の爆弾はパンツにPETNを80g以上縫いつけていたことから「下着爆弾」と呼ばれています。

あれがキッカケになってアメリカではこんな全身丸見えの「ヌードスキャナー」(解説)なんてものが出回り、サンクスギビングの今週、国民大移動の24日をボイコットの日にしようと、連日大騒動になってるわけですが、ヌード見られて困るのは検査官も同じみたいですよ?

今年5月、空港セキュリティ検査を行う連邦運輸保安庁(TSA)職員のRolando Negrinさん(45)が同僚を政府発行の警棒でメタ打ちにして逮捕される事件が起こりました。自供によると、Negrinさんは全身スキャナー研修でスキャナーを通過したら局部のサイズがみんなに分かってしまい、ずっとそのことで同僚に馬鹿にされてたんだそうな...。

 同僚は「サイズはいくら?」とからかうのを止めず、他の同僚たちまで「小さな怒れる男(little angry man)」と呼んで、やめるよう頼んでも笑い飛ばし、乗客の見てる前でいじめました。この「精神的拷問」(Negrinさん)でストレスが溜り血圧も上昇。数ヵ月後、いじめの主犯格のTSA検査官Hugo Osornoさんを警棒でボコボコに殴ってしまったのです。情状酌量の余地はありますよね...。

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そのスキャナー導入が進む中、10月末にはイエメン発シカゴ行き貨物飛行機のコピー機カートリッジに仕込まれた爆発物が発見される事件が起こりました。

デトロイトの下着爆弾もカートリッジ爆弾も、作ったのはデトロイトのテロリストの兄Ibrahim al-Asiri。彼は自分の股間に爆弾つけてテロ襲撃したこともあるし、弟の股間に爆弾つけてアメリカに送り込むような図太い神経の持ち主で、頭も良く、どんどん裏をかいてきます。

スキャナー製造元は機能・手順は万全でプライバシー侵害の心配はないと言い張ってるけど、問題の本質はそんなことじゃなくて、こんなテクノロジー頼みの対処で防衛になるんかい? ということですよね。

機内の安全が本当に確保されるなら、誰だって裸同然の姿をちょっと晒すぐらい我慢の範囲内でしょう。でも、TSAがやってるのはそういうことじゃない。ある決まった種類の隠し爆弾を撲滅するため、わざわざNegrinさんが体験したようなプライバシー侵害を積み重ねてまで検査を強行してるんです。

TSAが靴を脱げと言った時(靴の爆弾予防が目的)も、水のボトルを捨てるよう言った時(液状爆弾予防が目的)も、同じ構図。スキャナー裁判原告Bruce Schneierさんはこれを「呪術的思考」だと言ってます。「テロリストがたまたま最後に何をやったか、それさえ対処すればみんな安全だと思ってるんだよ。まるで彼らが他の手を考えないとでも言うかのように」。しかし現実には彼らだって他の手段、考えるわけです。攻撃を企む人たちは今、体腔に爆弾を潜ませて持ち歩いてます。どんなボディスキャナーもそこまでは入っていけないですよ...。

詳しくは、今日ウォール・ストリート・ジャーナルに出た原稿に書いておきましたが、まあ、暗い見通しばかりじゃないですよ。TSA新長官に就任したジョン・ピストルさんは「恐怖主導」から「知性主導」に組織再編すべきだと話してますから、変化の兆しはあります。

10月末のある晩、サウジの諜報員から米政府にプリンターのカートリッジで飛行機を爆破する計画について情報が入った際には、ピストル長官のところにホワイトハウスのテロ対策の帝王ジョン・ブレナン大統領補佐官から直々に電話が入り、航空警察官から貨物検査官まで一連の出動命令はTSAが一手に行いました。爆弾発送元イエメンにまでTSA対策チームを派遣して。いつもロジカルじゃないTSAにしては、すごくロジカルな対処でした。このように情報に迅速に対応し、ターゲットを絞った安全対策をとることこそが、これからの行動規範になっていくと思います。

次に取るべきステップは、乗客の尋問を行い、その上で旅行者の行動に不審な点がある場合や特別な捜査令状が出た場合だけ高度センサーを使う、という場合分けの作業でしょう。全員をデジタルのヌードにするんではなしに。

Photo: TSA

Noah Shachtman-Wired.com/Danger Room(原文/satomi)