米GIZMODOの運営会社「Gawker」が来年完全リニューアル。これからの時代におけるオンラインメディアの在り方とは何か? 

2010.12.31 21:00
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2002年に米GIZMODOと共に誕生した兄弟サイト、マンハッタン発のゴシップブログ「 Gawker 」は、2011年、完全にテンプレートを一新、生まれ変わろうとしています

Gawkerがこのブログメディアという枠組みを超えて、どのようなリニューアルのコンセプトをもって設計したのか、その思想とポイントを紹介します。

アメリカのネット事情がベースで、しかもかなりの長文で、読むにはちょっと気合が必要かもしれませんが、2005年から激変したインターネットの状況と、ユーザーの考え方の変化、そしてこれからのソーシャルメディア時代におけるオンラインメディアのあるべき姿勢などが切々と書かれていて、その筋の人にはとても参考になるかと思います!
 

インターネット、テレビ、そして雑誌を統合すべく、Gawkerは、この8年間の歴史の中で、いかにもな「ブログメディア」から「オンラインメディア」へと革新的な変化を遂げようとしています。その中で、最善のストラテジーとしての解は、それぞれのベストな部分を集めることでした。

中央にコンテンツを集中させてスクロールさせるブログレイアウトから、右にメニューを配置するレイアウトになりました。アクティブ領域である3分の2の領域がコンテンツの領域、残りの3分の1を占めるのが右側の枠でヘッドライン記事が表示されています。

個別ページもトップページと同じテンプレートを用います。また、Facebookなどのソーシャルメディアからリンクのリンクから訪れても、サイトに直接訪れても、訪問者はその記事だけではなく、その他の最新記事の一覧も同じように見ることができるようになります。最新記事一覧のヘッドライン枠から、iPadのEメールアプリケーションのように、スケールダウン型に集約されたブログ形式のカラムで、1クリックで次の記事に移動できるようになっています。

オリジナルコンテンツエリアは、ワイドスクリーンの画像、もしくは動画が必ずファーストビュー内に表示され、一目で記事の概要が読み取れるようになっています。この「スプラッシュ」ストーリーは、雑誌のカバー、ヨーロッパのタブロイド紙のように視覚的なインパクトを与え、さらには画像に少し動きをつけることでさらにインパクトを強調しています。

このレイアウトはまさにブログ、雑誌、テレビのそれぞれの側面を収束させたものであると気づくでしょう。Gawkerの新しいテンプレートは、これまでのブログフォーマットからの偉大な変革である、確かな理由があるのです。


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1.スクープと「再発見」の力

Gawkerは、かつては別のサイトのニュースも含んだ、リミックス構成でした。

その日の一番の人気記事、不人気記事の違いはほとんど区別されていませんでしたし、量もさほど多くなく、何よりもっと管理しやすく出来るはずでした。しかしながら、訪問者は、均質でそして熱狂的で、ブログ形式では、記事の重要性が区別しづらく、コアリーダーにとっては、その中身は全て見透かされていたのだと思います。

メディア間の競争において重要なことは、いかに既存のコンテンツをWeb資産として活用するかです。メディア間の競争法則は既存メディアもウェブも同じで、スクープはトラフィック増になるのは当然でした。
例えば、メルギブソンの暴言、マイケル・リチャードの人種差別発言、マイケル・ジャクソンの死などといったニュースなどです。


こういう事から、アグレッシブなスクープのニュースは、スクープは風刺ブログに勝る、ということを学んだのです。


そして、Gawkerは2008年以降成長し続け、米国内で1週間に30万人から140万人が訪れるメディアにまで成長しました。トム・クルーズのサイエントロジーの動画、iPadのセキュリティ違反の記事などは、センセーショナルなスクープ記事として、最高点に達しました。

しかし、このような記事自身は広告収入をもたらしません(広告主はつかないので)。トラフィックは完全に予想できないし、そして広告主は基本的にスキャンダル記事に出稿したがりませんが、しかし読者を「釣る」ことができるのも事実です。一方で、記事自身が広告収入をもたらさなくても、「スクープ」は読者を生み出し、そのトラフィックは結果的に広告収入をもたらすのも事実です。

じゃあそれの何が問題かって?

たとえばiPhone 4 の試作機の画像が米GIZMODOから流出した時の大ニュースを振り返ってみます。この件で、クラシックなブログ形式は破綻してしまうことを証明してしまったのです。

反時系列で、iPhone の試作機の動画をトップに出し続けるために、馬鹿げたことに実際に米GIZMODOは他の記事の公開を数時間ストップしていたのです。 その瞬間、その記事は90%ものサイトトラフィックがあるほど人気記事だったのに、他の記事と同等に扱わなくてはいけなかった。ゆえに、新しいサイトで採用される「スプラッシュ」記事は、常にトップページに掲載され、 タブロイド紙や雑誌のカバー同様、ビジュアルインパクトも充分。読者の興味を引く限り、ずっとトップにキープしておける、というわけです。


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2.「アグリゲート」の再定義

Facebookのインパクトは大きいですが、それでも限られた編集記事への入り口となっているに過ぎません。

Facebookとその他のソーシャルメディアによって、人気記事の拡散のスピードが飛躍的に速まっています。Facebookのリファラーは、年初より6倍に増加し、訪問者はこれまでになく急増しています。そうしたソーシャルメディアから流入してきた訪問者を、前述したように、すべてのページをトップページの役割に変えていくことで、固定化できると考えています。

しかし、FacebookやTwitterは機会であると同時に脅威でもあります。ズバリ言うと、個人のブログはFacebookやTwitterにとって代わられていると考えています。個人が流す情報は、パーソナライズされ、また広範囲なものとなり、そして受け手のソーシャルグラフにて選別されていきます。そして、特筆すべきは、オリジナルのコンテンツを必要とするブログよりも、ずっと簡単に作られていきます。

この流れの中で、競争力を維持するためには、どうすればよいのでしょうか? 

ニュースアグリゲーターとしての強みは、記事の選定にあります。しかし、それさえもブログのフォーマットの範疇を出ていません。短い記事を沢山アウトプットするようになれば、価値のあるスクープがより素早く公開されていくことになります。こうなると、編集的位置にいる我々のようなアグリゲーターサービスも専門的な編集者もソース元もあまり明確な区別がなくなってきます。

現状のレイアウトでは、速報や掘り下げた記事の場合も、明確に区別されて考えられているわけではありません。それは、シンプルな引用や速報によって、特ダネをすぐに公開することができることを意味しますが、効果的なニュースアグリゲーションを追い求めることによって、特ダネやフィーチャーすべき記事の押し出しが弱くなってしまうことがあります。つまり、もはや全体的な輪郭というか、記事のバランスはあまり意味を持たないのです。

解決策はあるのでしょうか?

1つには、編集チームに2つの異なる役割を持たせる、もしくはそう認識させることです。記事選びを担当するのか編集を担当するのか、またプロデューサーなのか特ダネ専門なのかに分けることです。次に、単純なブログの流れを捨てることです。強力な記事は他のものとは分けて考えることです。

毎日いくつかは特ダネ記事が必要になります。そしてそれらをトップページに表示、さらに、あまり編集コストのかからない短い速報を散りばめることによって、読者にとって「包括的な理解」と「釣り」になるネタを同時に提供でき、話題をさらに拡張させることが可能です。しかもこれらの小さな記事は、基本的に中ページで展開し、ブログ形式のヘッドラインからリンクされるため、記事の多さによって、メイン記事が埋もれてしまうこともありません。

新興のTVネットワークの番組構成にこれと同じような共通点が見られました。AMCというチャンネルは、ケーブルTVにおいてマストなチャンネルになるために、Mad MenやBreaking Badのようないくつかのヒット番組を必要としていました。しかし、そのような質のよい番組ですべての時間帯を構成するためには、相当なコストが嵩んでしまいます。そこでGawkerと同じような方針をとっっているのです。1、2ヶ月おきに大きな特ダネを用意し、毎週ほどほどの山を作れるヒットコンテンツを出す。しかし、日々のニュースは速報や引用を多用して展開していくやり方をとっています。


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3. センセーショナルなだけではなく、柔らかい性格をもつメディアであることを示す

ある代理店の取締役によると、Gawkerの弱点は、Gawkerがいわゆる「ゴシップ・メディア」としてみられていることだそうです。それは、他のメディアがあまり取り上げない話題を発信する、ゴシップでセンセーショナルなネタを抱える代償だったりします。米国で毎月2000万人の読者を集めるだけあって、そうしたネガティブな側面もあります。トレードオフと言ってしまえばそれまでですが、はたしてそんなに高い代償を支払う必要はあるのでしょうか?

GawkerやDeadspinといった名前は、「ゴシップ・メディア」と聞くと、ピンとくる人は多いかもしれません。しかし、運営するそれぞれのサイトには「ゴシップ・メディア」以上の意味が内在するのです。スマートな議論展開、io9やGizmodoでの充実した写真や動画、Lifehackerのような役に立つハウツー紹介サイトなど、単なるゴシップにとどまりません。

記事を差別化できないブログフォーマットのカラムでは、我々の持っている強みを生かすことができません。ランダムなコンテンツの寄せ集めや1ページに言いたいことを盛りだくさんに満載したブログ形式は、もう流行らないと考えます。

トップページ上の2/3を占める「スプラッシュ」は、最も魅力的なゴシップやスキャンダルをアピールできますが、それだけでなく我々の編集全体のスペクトルを見せつけるのに一役買っています。
トップページは、我々のブランドを印象付ける絶好の場でもあります。インテリジェンスな性格や、テイスト、そして美学を指し示すのに適した、言ってみれば、「リブランディング」ができる場所です。

時には綺麗なアイスランドの動画記事とかも息抜きに入れてみたりしますが、そうしたアイテムは実は重要だったりします。何故なら世間からの我々に対する「ゴシップ」や「スナーク」といったイメージを薄めて洗い流してくれるからです。それは読者だけでなく、サイトの読者プロファイルに好感を持っているのに、我々のスキャンダラスなアテンション獲得の方法によって、広告出稿の二の足を踏んでしまいがちな広告主へのアピールにもつながります。


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4. ウェブではビジュアルが物を言う

我々はいつもいつも動画に期待しているわけではありませんでした。5倍のコストがかかる場合でも、トラフィックの点では通常の記事よりも2倍ほどの成果しか望めない場合もありました。過去には動画を取り入れる場合、常に「割に合う」というわけではなかったのです。

しかし、環境は変化してきました。

インターネットユーザーは、今や以前では考えられなかったぐらい、高速なPC、そして大きな画面を使っています。YouTubeは動画をどこでもみられるものにし、それに比例するように誰にでも当たり前のものになりました。Facebookによって、動画を知人や友達にシェアするのがずいぶんと簡単になりましたし、スマートフォンやデジタル一眼レフカメラによって、動画製作はプロだけのものではなくなりました。

そして、我々自身もより効率的なテクニックを学習してきました。例えば、YoutubeVimeoに既にアップされているビデオを紹介したり、アプリやゲームをスクリーンキャスト動画で説明したり、高解像度な画像とキャプションを使ってスライドショーを作ったり、TVからマッシュアップ動画を編集したり...。動画を取り入れるのに、より簡単なフォーマットが整ってきたのです。

かつて我々の強みは文章・テキストにあると考えていました。インターネット動画については、TV関連企業には全くもって敵わないとさえ思っていました。しかし、段々と明らかになってきたことは、従来のメディア企業は、動画においても古い形式に囚われてしまっているということです。カットアンドペーストを覚えるのと同じように、iMovieの使い方にさえ慣れてしまえば、Gawkerのブロガーたちは、従来のメディアをも凌ぐコンテンツを発信することができます。

「タイミング」というのも重要でした。2005年は、動画が浸透するには少し早すぎる時期でした。
ただ現在、機は熟しています。新規訪問者数のトップ100の記事のうち半分は、動画やスライドショー、もしくは何らかのビジュアルのマテリアルを伴うものになっています。

Gawkerの中でもヒットした記事を挙げてみるとわかりますが、トム・クルーズのサイエントロジー傾倒に関するビデオやブレット・ファブレが下半身の写メといやらしい留守電を残したスキャンダル、レッドブックのフォトショップ加工のスキャンダルや新iPhoneのリーク写真などです。全部、音声やビジュアル付きのものです。


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また、ビジュアル要素がもたらす影響は大きくなるばかりで、我々も急いで対応していく必要があります。新しいレイアウトでは重要なストーリーは、何らかのビジュアル要素、つまりは動画、写真ギャラリー、印象的な写真とともに語られるようになります。

コピー自体が強力であれば、テキストグラフィックでうまく見せたりすることもあるでしょう。
このビジュアル要素の配置場所を640 x 360ピクセルの枠としています。これは、現在のデザインよりも64%ほども大きく、各ページにおいて、ヘッドライン部分より上の、最も重要な配置にしています。さらにサイト閲覧者は、より高解像度な960 x 540のサイズ、つまり現在の動画標準サイズよりも3.7倍も大きなサイズを試すことができるようになるのも遠くないでしょう。


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5. ビデオ広告の成長

よりビジュアル的要素が重要になっているのは、ウェブのエディトリアルだけではありません。ウェブ広告においても動画の存在が大きくなっています。

30〜50%の米広告代理店のRFPによると、クライアントは15秒CMのような動画資産をたくさん持っています。これらの動画は一般的にTVコマーシャルのためにつくられた編集バージョンで、制作価値は安いウェブのバナーなんかよりずっと高く、想像性やクオリティの点で、我々の編集コンテンツにより近い意味を持つものです。

前述したように新しいレイアウトでは、各ページのメインビジュアルは64%大きくなりました。恐らく、そうした大きなビジュアルをもし1つ以上置いてしまうと、ページが重く掴みどころのないものになってしまいますが、それは記事についてだけでなく、広告についても当てはまるのです。新しい動画広告は編集記事内のビデオと同等の大きさの場合のみ、役に立ちます。しかし、両方をうまく立たせる唯一の方法は、コンテンツの余白に広告を入れるのではなく、記事の間に広告を挿し込んであげることです

これもTVにならったアイデアです。我々のようなWebの出版側は、TVCMのエモーショナルでブランド認知に役立つ側面や番組表だけでなく、番組と番組の間のコマーシャルからも学ぶことができるのです。

我々の展開するビジュアルコンテンツの殆どが、写真もしくはグラフィックスで、動画コンテンツも自社制作でなく他から引用してくるものなので、プリロール広告はほとんど利用できません。

しかし、2つの独立した編集記事の間の640 x 360のエリアに、あたかもスライドショーの中の1枚のスライドのように、もしくは次のセクションに移る前の単なるスポットとして、15秒CMを差し込む事も可能です。


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6. 編集番組表を使う

2010年の年初に立てた編集カレンダーに沿った展開はある程度成功してきました。

週ごとにテーマを与える流れは、全体的な骨組みを作ることが出来、その記事リストのおかげで、以前ではウェブのニュースサイクルの中で消されてしまったトピックスについてもカバーできました。それ以上に、広告代理店が広告を配置するのに魅力的なコンテキストを持ったブランド力を備えさせてくれました。

しかし、週ごとのカレンダーは、雑誌の世界では素晴らしくフィットしますが、柔軟性がありません。

年初に意欲的に取り入れられたテーマであっても、途中でストーリーが明らかになってしまうと展開が近づくにつれて重荷となり、次第に辛い仕事となってしまいます。オンラインの広告主も先読みが非常に難しく、我々の週テーマと広告主の打つキャンペーンが一致することは殆ど無いのです。そして、こうした1回限りのセクション広告がどれだけ受けるかは予測できるものではありません。

通常1日毎に(1つの広告主に対して)限定的に販売されるカスタムアドの組み合わせである、トップページ上の「ロードブロック」という広告枠は、クライアントが厳密に配信設定できるようになっています。また、広告に必要不可欠な閲覧数は、ある程度正確に見積もることができます。というのも、トップページのトラフィックは、中ページのトラフィックよりも一貫性があり、パターンが存在するからです。

しかしながら、配信タイミングや時間ごとの読者の気分やコンテンツに合わせて、広告をターゲッティングすることは事実不可能なので、この1日中買い切りできる枠は、GIZMODOのようなトラフィックの高いモンスターサイトでは売り切れ必至なのです。

編集カレンダーは、ホリデーシーズンなどのイベントや季節ごとの番組のために用意されています。しかしほとんどのトピックスが、あまり時間に関係なく、雑誌というよりは、むしろTVに近い番組表に組み込まれていきます。例えば、Lifehackerの個人金融に関する記事は、読者と広告主の両方から人気があります。来年からは、例えば、金曜3時は個人金融の時間、といった形でレギュラー化されます。

読者は、もちろんいつでも個人金融に関する記事を読むことができます。もしニュースがレギュラータイムでなく、他の日にブレークしたら、前倒しして公開されるでしょう。そしてVISAのような広告主は、記事がいつ投稿され、いつ読まれているかに関わらず、全ての個人金融のコンテンツに絡むスペースを買うことができます。

しかし、あくまで予定表に組み込み定期化する狙いは、決められた時間に、その週で最も質のよい個人金融に関するフィーチャー記事をトップページに公開することにあります。その他の関連ストーリーはその時間帯の周辺に散りばめられていきます。これがウェブ版の番組表なのです。そしてTVと同じように時間別にスポンサーを獲得することもできます。

例えば、VISAは関連のある枠だけを買うのではなく、Lifehackerの個人金融の時間帯の限定スポンサー枠を買うこともできます。「VISAの提供でお送りします」といえるだけでなく、VISAカードの特長や機能を、逐次的に説明していくストーリーのある広告をサイト内で展開できるのです。

広告主へのアピールの一方で、我々は、単独ではサイトを維持できなかったトピックスを再利用することもできます。我々の旅行関連サイトのGridskipperですが、3万ドル(約250万円)を超える編集コストにもかかわらず、月に200万PVに達したことはなかったんです。旅行に関する情報を毎日求める人は少ないものなので。でも、そうした情報って、まさに旅行に行こうとしているときに、欲しいですよね。そうした読者に対して、もし例えば木曜夜に週末旅行のネタを定期的に展開していけば、興味を持って読んでもらえるかもしれません。


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7. Gawkerはブランディング媒体である

メディアバイイングの担当者なら、効果指標がアテにならないことをよく知っています。

経験豊富な担当者なら、CTRは広告効果の指標というより、読者の愚行(迷った末のクリック行動)を表す指標だと考えているかもしれません。しかし、広告代理店のエクセルシート上では、無価値なネットワークに集約された無価値なサイトの中の無価値な広告枠ほど、クリック単価が安くなっています。バナーを買うような広告主でさえも、ダイレクトマーケティングの媒体であるかのように扱ってしまっているんです。

我々のようなメディアにとっては、これはなんとしても回避しなければならない問題です。クオリティの低い広告と価値のないビジターを獲得するための底辺まっしぐらな競争になんて、参加したくはありません

Gawkerでは、すでに我々の広告枠とそうしたコモディティ化した広告ネットワークと切り離しています。ネットワークアドの仕組みは、すでに5年前にやめています。サイトの価値を低くし、我々のブランド価値を下げるものになってしまっていたからです。今日では、我々の売上の大部分が、トップページへ1日1組の広告主限定で表示する「ロードブロック」という枠によるものです。この枠は、広告ネットワークでは満たせないブランディングの機会を提供できるのです。

専門家は、オンライン広告が価格を押し下げる「無限の在庫」に苦しめられていると言っています。我々のトップページのスポンサード広告は有限です。もしHBOがすぐに決断しなければ、Showtimeがキーとなる秋のTVシーズンにGawkerやJezebelの枠を買い占めることもできます。1日という期間単位で考えると、両方の広告主に対して提供することもできないのです。2004年から2008年にかけて半分に落ちた収益も、今は安定しています。

我々はこの成功をより深めることができると考えています。

前述したように、予定配信されるコンテンツにスポンサーをつけることで、我々は1日に1組の限定広告枠とは別に、いくつかのスペシャルな広告枠をサイト内に設けることができます。それにクライアントは、トップページへの露出と予測可能なトラフィックによって、彼らの広告キャンペーンが適切なコンテンツに合わせて展開されることが分かるので、広告出稿に躊躇することがなくなります。例えば、週刊のエンタメガイドに合わせて、ケーブルTVの番宣ができたり、個人金融のコンテンツと合わせてVISAの新しいクレジットカードの広告がでたりと...。

このモデルがTVのように聞こえるかもしれませんが、偶然ではありません。ローエンドなオンライン広告にもはや未来はありません。少なくとも、目的のないメディア企業にとっては。我々は編集者と広告主に対して、これまでウェブが上手く利用できていない、つまりTVがうまくやってきたようなやり方で、より大きく魅力的なキャンバスを展開していきたいと考えています。


【1/4追記】以上の点を鑑みて構築されたGawkerのbeta版サイトは、現在http://beta.gawker.com/より見ることができます。
また文章を何点か修正しました。

Nick Denton(原文/mayumine)


 

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