コロンビアのコカイン密輸潜水艦の艦長の話(動画あり)

コロンビアのコカイン密輸潜水艦の艦長の話(動画あり) 1

麻薬カルテルの下働きに比べりゃ独房監禁の方がまだいい。コカイン3.5トンを運ぶ途中の海上で逮捕されたコロンビアの密輸潜水艦元艦長Gustavo Alonso(仮名)はつくづくそう思ったそうですよ。

これは、ドイツの週刊誌シュピーゲルが匿名を条件に元艦長にインタビューした内容です。Alfonsoさんは刑務所に入って数年になるんですが、うち2年は独房に隔離されていました。アルカトラズの独房は「数日で狂う」って説明だった記憶があるんですけど...あれよりは広いんだろか...。

麻薬に関わる前のAlfonsoさんは長年、漁船の船長を務めていました。ところが奥さんが病気を患い、その手術代4万ドル(330万円)がどうしても工面できなくて困っているところに、「知り合い」がお金を融通してくれたんですね。手術が終わると、またその男が近寄ってきて見返りを求めてきました。それが麻薬密輸潜水艦艦長の仕事だったのです。

 Alfonsoさんが住んでいたコロンビアの太平洋に面した港町ブエナベントゥーラでは、麻薬密売人に接近されたら運の尽き。働く以外、選択肢らしい選択肢は残されていません。

麻薬犯罪組織が労働者を探すのは、ブエナベントゥーラ界隈の貧しい地域だ。この界隈ではみな木造りのオンボロ小屋に住んでおり、働き口もなく、電気も水道も来たり止まったりである。麻薬マフィアはこういう地域を支配し、そこで歩兵探しをする。

数週間前にもここで女性がひとり殺され、2名が跡形もなく姿を消したが、これも輸送が失敗に終わった後、麻薬組織が行った復讐だった。沿岸警備隊から逃げる途中、密輸ボート乗組員が荷物の一部を投棄したのである。数日後、警察は鼻高々に没収した貨物を披露した。が、麻薬組織にとってこれは裏切り行為。裏切りには報復をするのが彼らのやり方なのだ。(シュピーゲルより)

自分と家族の命の心配もさることながら、Alfonsoさんは狭苦しく、糞尿まみれの、コカインをどっさり積んだ半潜水鑑での過酷な暮らしに耐え忍ばなければなりませんでした。

「あのボートを見せられた時には怖くなった」、「ハッチ開けて顔出しても、海のど真ん中だし。救命ジャケットも脱出用ボートもないんだからね」と、Alfonsoさんはシュピーゲルに語ってます。

ボートは3つのパートに分かれている。船尾のハッチを開けると貨物置き場で、ここは高さは1メートルもないほど。乗組員は四つん這いになって麻薬の袋をよけながらようやく制御室と寝台に到着できる。

Alonsoはハンドルの後ろが定位置だった。隣には進路を割り出すGPS端末とラジオ。寝台の下にはディーゼルタンク。Alonsoの後ろのエンジンルームにはターボディーゼルエンジンが2基備え付けになっている。が、照明もなければ、トイレもなし。狭すぎて、立つのも寝るのも覚束ない。(シュピーゲルより)

どっちみち中は灼熱地獄で、エンジン音はうるさいし、ゆっくり寝れる環境じゃないよね...。同誌によると、米国で麻薬密輸潜水艦経由のコカインに当たる確率は「3分の1」とも。先進国の金曜夜の娯楽の影にこういう生活があるんですね...。

「自分も海底で何週間もコカイン抱いて寝てみたい」と思う方は、National GeographicのTV局が昨年流したコカイン密輸潜水艦特集で実物をじっくりご覧ください。

もっと詳しく知りたい方は、VBS TVのコカイン密輸潜水艦特集も秀作です。

[Der Spiegel, Image via AP]

Jeff Neumann(原文/satomi)