祝ノーベル賞! 脅威の万能物質グラフェンを鉛筆とテープで作っちゃおう(動画)

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グラフェンは原子1個の厚みしかない特殊な結晶構造をもつ炭素。世界的に珍しい2次元物質のひとつで、これを合成したマンチェスター大の教授2人は今年ノーベル物理学賞に輝きました。さ、みなさまも早速この科学界にセンセーションを巻き起こした薄膜を家でつくってみましょう!

案内役はTV番組司会者のJonathan Hare物理学博士。6分でグラフェンづくりの極意を明かしてくれますよ。

 

ね? 特別なことは何も要らないんです。時間とエネルギーさえあれば。

グラフェン(グラフィン)は炭素原子が六角板状になった結晶で、これを積み上げたのがグラファイト(黒鉛)。グラフェンを300万枚積み上げると高さ1mmのグラファイトの結晶体になります。従ってグラファイトの塊(鉛筆やの芯で書いたものでもOK)にテープ貼ってペリッと剥がし、そのテープをもう1回折ると「グラファイトの厚みは半分」になり、もう1回折るとまた半分になり、これを延々やってくと最後には原子1個の厚みのグラフェンになるってわけですね。あははは、簡単~。(真っ平らなシリコン膜に鉛筆で落書きして払い落とす方法もあるみたいですけどね)

映像の最初に電気回路が出てくるのは「コインで回路繋いでも電気は流れるし、鉛筆で黒々と書いて繋げても電気はホラ、通るんだよ!」ということを教えるデモ。おー本当だ...電球がぼわ~んと光ってますね! 最後に「グラフェンが重要な理由」として「電気伝導率が異様に高いから」と出てきますが、そこに話が繋がってます。

さて、ではテープを折って広げ折って広げてる間に上の動画の前のパートを見てみましょう。「グラフェンとは何ぞ?」、「なぜ重要なの?」に博士がズバリ答えます!

(訳)この25年、炭素の世界には革命が起こってます。

炭素と言えば昔からダイヤモンド(0:27)とグラファイト(黒鉛。0:46)の2つがよく知られています。ダイヤモンドは3次元的な結晶構造です。「graphite」はギリシャ語で「書く」の意。鉛筆の芯もこれですもんね。原子が6角に繋がった板が重なってできています。それがこの25年で他の様々な分子構造が発見され、なかなか面白いことになってるんですね。

まず炭素のチェーン(1:12)。これは少数(20個もないぐらい)の原子が1列に繋がってるものです。とても安定していて、ほ~らこんな風にリング状に曲げることもできます。1970年代宇宙で発見されました。

原子が20を超えるとどうでしょう? ケージ(格子)が形成できるんですね。これは「フラーレン」って呼びます。

例えば、ここにありますのはC60ことバックミンスターフラーレン(1:25)。1985年に発見されました。これを発見した人は1996年ノーベル化学賞を受賞しましたよ。

こちらはナノチューブ(1:35)。この直径はナノメートル...つまり何千、何百万分の1mm。炭素原子がチューブ状になってて、とてもとても強く、とてもとても長い。発見は1991年。

グラフェンは2010年に発見され、用途を考案した人たちが今年ノーベル物理学賞をとりました。

原子がものすごく沢山ある構造(同素体)でおそらく一番安定しているのはグラファイト。グラフェンを何層にも積み上げたものですね。あとはダイヤモンド。これは何百万個もの原子でできています。もうひとつの構造はアモルファスカーボン(無定形炭素)。これはパンをトースターで10分も焼くと焦げる、あの黒いやつ。あれはたぶん巨大なグラフェンの板が曲がたり捩れてるものと、炭素のケージ、その両方でできてるものと思われます。

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なぜ炭素はこんなにも万能なのでしょう?(3:00)

ひとつには、炭素と炭素の結びつきがとても強いことが理由として挙げられます。この手元にあるのはC2ですけど、これ本当に強くて、星の表面でも見つかってるんですよ。普通星の表面は高温過ぎて元素の中の原子と原子が離れちゃうんですが、C2は沢山の星で見つかってます。

もっと大事な要因は、炭素と炭素を結ぶボンド(結合手)です。炭素の結合手は4本あります。ダイヤモンド(3:38)では結合手が1本ずつ繋がっているのでシングルボンド(1重結合)。チェーンはトリプル(3重)、シングル(1重)、トリプル(3重)、シングル(1重)と交互に繋がってます。

ケージはダブル(2重)とシングル(1重)です。この5角形の紫色のところは全部シングル(1重)、5角形と5角形の間を結ぶ結合手はダブル(2重)。このように一重結合、二重結合、三重結合というバラエティーがあるから用途に幅があるんですねー。(4:25で最初の動画に戻る)

[(The Vega Science Trust]関連:ノーベル賞のグラフェンができる事のわかりやすいまとめ | スゴモリ英文校正エナゴの学術論文ブログ

Alasdair Wilkins(原文/satomi)