WikiLeaksで見えた「外交ってそういうことだったのか」

2010.12.02 23:00
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タグ:Wikileaks

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WikiLeaksによって、アメリカの外交文書が暴露されています。その中では、外交上行われている(またはその可能性のある)いろいろな情報収集手法が明らかになっています。

たとえば、こんな感じです。
 

・Bluetoothチップを人体に埋め込んでトラッキング


ある会談では、グアンタナモ収容所の収監者の体にチップを埋め込み、Bluetoothを使ってトラッキングしてはどうかと提案がありました。提案したのはサウジアラビアのアブドラ国王です。技術的にどうかというと、「これは馬やタカには行っていること」だそうです。つまり、動物では可能なんだから、人間でもできるんじゃないかということですね。

まあ、技術的にも細かいことを言えば、Bluetoothだと通信範囲が狭いので、世界中動き回る人間をトラッキングするのには向かないとか、問題はあります。でも、そういう問題じゃないですね。しかもグアンタナモ収容所といえば、イラクやアフガニスタンで拘束したテロ容疑者を収容しているのですが、その扱いが非人道的だとして、ただでさえ批難されているのです。アブドラ国王と会談した米国大統領補佐官のジョン・ブレナン氏は「馬には弁護士がいませんからね」と丁重に回答、法的に問題視されるだろうと指摘しています。


・アフリカ要人のDNA収集


アフリカの軍事的・政治的要人に対しては、別の情報収集手法が使われたようです。あるリーク文書では、外交官に、アフリカの要人に関してこんな情報を集めるよう指示されていたのです。

eメールアドレス帳、インターネットおよびイントラネットでの「ハンドル」・eメールアドレス・Webサイトの身元確認URL、クレジットカード番号・マイレージ番号、仕事のスケジュール・関連する経歴情報


プライバシー的にどうかと思われるものも含めて、かなりの情報です。クローリー米国務次官補も、「外交官は我々の政策や活動を形成するための情報を集めています。全ての国の外交官は同じことをしています。」とつぶやいていて、業務における情報収集の重要性を裏付けています。

さらに同じ文書では、重要人物について「指紋、顔画像、DNA、虹彩スキャン」まで収集するように言われています。どうやってそんな遺伝子とか生体情報を集めるのかは明らかにされていません。ブラシについた髪をこっそり集めるのか、爪を切るのか、口に綿棒を突っ込むのか...。


・国連も標的に


生体情報は国連メンバーに関しても求められています。それはアメリカにとって重要な同盟国であり、安全保障理事会のメンバーであるフランスやイギリスに関してもです。

また生体測定(この「生体測定」が何を指すのか具体的には不明)の対象は、福祉系の組織リーダーにも及びます。たとえばWHO(世界保健機構)の事務局長とか、UNAIDS(国連エイズ合同計画)汎米保健機構の代表といった方々です。なぜ国務省がこれらの組織の人物の生体情報を必要とするか、外交とどういう関係があるのかは、謎です。

さらに国務省の指示には、国連の重要人物のパスワード暗号化キー、さらに「公的コミュニケーションに使われる、職業的または私的なネットワーク」の詳細を集めるようにとあります。これらがスパイ行為にあたるどうかは、(クローリー次官補は否定していますが)定かではありません。でも、情報を取られる側は、パスワードや個人的なコミュニケーションまでトラッキングされていたと知ったら良い気はしないでしょう。

アメリカだけでなく、世界中の外交官が同じようなことを仕事の中で行っているのかもしれません。WikiLeaksで明らかになったことは、氷山の一角でしかないのです。


Photo by Jorbasa


Sam Biddle(原文/miho)
 

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日本の外交―明治維新から現代まで (中公新書 (113))




 

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多極化世界の日本外交戦略 (朝日新書)